理性、物欲に破れる
昨年、初めてのミラーレスカメラを買って以来、ことあるごとに望遠レンズ欲しい、しかし、望遠レンズは高い……と、もにょもにょしていたが、ついに?早くも?物欲に負けて、望遠レンズを買ってしまった。選んだのは、レフレックスレンズ・トキナー SZX 400mmF8 Reflex MF。
ケンコー・トキナーが望遠レンズを出していた
先日、いつものようにカメラ売り場をウインドショッピングしている時に、ガラスケースの中に鎮座している、とあるレンズが目に入った。
サードパーティ製のレンズは今まで気にしていなかったのだが、その300mmの望遠レンズの価格に驚愕した。安い!!!
気になって、店員さんに見せてもらった瞬間、安さの理由がわかった。レフレックスレンズだったのだ。レフレックスは、今はもうないと思っていたので、それを製造しているメーカーが存在していること自体に感動した。ありがとう、ケンコー・トキナー!
レフレックスレンズ(ミラーレンズ)とは
レフレックスレンズ、別名ミラーレンズとは、一般的なレンズが凸レンズや凹レンズで光を収束させて像を結ばせるのとは違い、凹面鏡で光を反射、収束させて像を結ばせるレンズのこと。言ってみれば、反射望遠鏡をカメラにくっつけて使うようなものだ。
中にレンズが入っていないのに、レフレックス「レンズ」を呼ぶのは何だか変な気もするが、カメラのあの部分の部品を総称して「レンズ」ということなんだろう。
レフレックスレンズには、中に重いガラスの塊が入っていないから、非常に軽い。そして、光をガラスの中に通さないから、原理的には色収差がない。更に、一般的な望遠レンズに比べて価格が安い、等の特徴を持つ。
このレンズを買った場合の問題点
しかしながら、良いことばかりではない。あまり使っている人がいないのには理由がある。
ケンコー・トキナーのレフレックスレンズがマニュアルフォーカスである事は、自分にとっては問題ではないので、ひとまず置いておく。
なにしろ、オートフォーカスがない時代からあるレンズ、New FDレンズの望遠で超安い中古があったら、それを使う気でいたのだから、それに比べたら、今使っているミラーレスカメラで使える新品のレンズがあれば、そっちを選ぼうというものだ。
以前レフレックスレンズを使ってみて気になっていた欠点
大昔に、New FDレンズの500mmレフレックスを使ったことがある。その時、このレンズは使いにくいな、と感じたことが幾つかある。
第一に、軽すぎること。常日頃、レンズもカメラも小さい方が良い、軽い方が良い、と言ってはいるが、望遠では適度な重さがあった方が、手ぶれしにくい。三脚、せめて一脚があればこの問題は解決するのだが、やはり機動性が犠牲になる。三脚がいつでもどこでも立てられる訳でもない。
第二に、レンズが暗いこと。以前使った事があるレフレックスレンズは、F5.6くらいだったように記憶しているが、晴れた日の昼間は問題ないものの、夕方になるにつれピントを合わせるのがどんどんつらくなった。当時も目は悪かったが、今はもっと悪くなっているので、マニュアルフォーカスで暗いレンズというのは、大きな不安を感じる。
もっとも、手ぶれとピント合わせの問題は、レフレックスレンズ特有の問題ではなく、どの望遠レンズにも言えることだ。
レフレックスレンズ特有の問題としては、画面の真ん中に反射鏡があるという構造上、画面中央の画質が周辺に比べて悪いという欠点があるものの、モニタで目で見てわかる程の劣化ではないので、普段使いに使う分には問題ないと思われる。
トキナー SZX 400mmF8 Reflex MFを選択
……というような、レフレックスレンズの良い点、悪い点を念頭に置きつつ、価格ドットコムやケンコー・トキナーのサイトを眺めて考えてみた。
最初にカメラ売り場で見てその小ささ、安さにハートを射貫かれたのは、300mmの SZ 300mm PRO Reflex F7.1 MF CF だったのだが、これだと上の第一の軽すぎ問題が気になる。
そして、既に生産終了になっている SZX 400mmF8 Reflex MF がとてもお安くなっている事に気がついた。型落ちということか。待っていたらもっとお安くなりそうだが、一般的でないレフレックスをそんなに数を作っているとも思えないから、待っているうちになくなってしまうかもしれない。SZX 400mmF8 Reflex MF なら、適度な重さもある。
そうやって悶々としながら、メーカーサイトをグルグルしている時に、このシリーズの使い方ページを読んでいたら、まさに富士フイルムのX-T4で使い方が解説されているのに気がついた。
これはまさに、自分のために作られたレンズじゃん!と思い(もちろん、気のせいである)、それが決定打となって、SZX 400mmF8 Reflex MF を購入してしまった。
さんざん迷った挙げ句、結局、「そんなにほいほい買ってどうする? そんな難しいレンズ、買った値段分使いこなせるのか?」という理性の声は、「欲しい! ただそれだけだ!」という物欲に負けたのである。
ミラーレスがレフレックスの欠点をカバーする
そんな訳で、隙間時間で数コマ撮ってみたが、以前に気になっていた欠点がデジタルカメラになったおかげで随分改善されていた。
まず、ボディ内手ぶれ補正と高感度設定が可能なことで、手持ちでもほとんど手ぶれしない。いや、筒先が揺れることで被写体がフレームアウトしているから、手ぶれはしている。でも、写っているモノ自体はぶれていないように見える。
APS-Cの400mmって、35mm換算だと600mmだから三脚必須だなぁ、と思っていたが、これなら手持ちでいけそうではないか。
そして、SZX 400mmF8 Reflex MF は、絞りF8で固定なので相当暗いのだが、そもそもミラーレスは一眼レフと違い背面のモニタばかりでなく、EVFも処理した画像のため、明るさがある程度変えられる。マニュアルフォーカスで不安を感じていた点が、二つとも随分と緩和された訳だ。
とはいえ、このレンズを使うには、難しい点が残っていることは間違いない。久々のピント合わせに、「自分の手で写真を作っている」という感触を味わいつつ、あーでもない、こーでもない、と楽しんでみようと思う。