時論公論 バイデン大統領が挑む 年齢の“見えない壁” myメモ
来年2024年のアメリカ大統領選挙でバイデン大統領が再選を果たしたら、2期目に入るとき82歳。任期を終えるときは86歳になります。いわゆる核のボタンを握り、超大国の舵取りに日々決断を迫られる大統領職に定年はありません。
G7広島サミットの円卓図
80代はバイデン大統領ただ1人。次いで岸田総理大臣で、60代が3人。50代が1人。最年少のイギリスのスナク首相ら4人が40代。平均年齢は56歳でした。平均より二回り上のバイデン氏の高齢を印象づけました。
世論調査(NPR/PBS/ABC/Wポスト)
Q1 心身の健康問題は?
本当に心配62% 対立陣営の選挙戦略36%
Q2 2期目は高齢すぎる?
そう思う68%
Q3 大統領にふさわしい健康状態か?
そう思う33%
世論調査では、大統領選挙でバイデン氏の心身の健康が問題とされることをどう思うか尋ねたところ、62%が本当に心配と答え、36%が対立陣営の選挙戦略にすぎないと答えました。
大統領の支持率は、ここ数ヶ月間ずっと40%台前半です。
支持率を不支持率が上回り、再選に向けて必ずしも有利な状況とは言えません。再選を目指すのは、終わらせるべき仕事が残されているからだと説明するものの、その仕事が具体的に何を指すのかがはっきりしません。
ローズガーデン戦略とは
バイデン氏の再選キャンペーン手法は今、ホワイトハウスの執務室前の重要法案の署名式や外国首脳との会見も行われる庭になぞらえて、ローズガーデン戦略と呼ばれています。
各州を回って有権者に直接支持を訴えるのではなく、大統領としての日々の職務遂行をそのままキャンペーンとするものです。常に注目を浴びる現職のメリットを最大限に生かしながら、大統領の心身の負担は、できる限り少なくするのが狙いです。
再選に向けた3つの課題
後継候補を育てられるか(不人気のハリス副大統領)
目立った実績に乏しく、不人気ぶりに喘ぐハリス副大統領を盛り立てられるかです。大統領にもしものとき、直ちに後継となる副大統領は、かつてなく重みを増し、勝敗を左右する鍵になりそうです。
経済のかじ取り
有権者の関心が最も高い経済の安定した舵取りです。債務上限の問題で、デフォルト危機は何とか回避できました。現職の大統領である以上、インフレの高止まりや景気後退のリスクは、再選の成否を危うくしかねません。
女性票・マイノリティ票・若者票の取り込み
前回の大統領選挙でバイデン氏が勝利した最大の原動力は、女性やマイノリティ、そして若者票の取り込みに成功したことでした。 そうした若い世代が80代に入った大統領に共感し、再選に向けて前回に続き、必ず投票に行ってくれるとは限りません。来年の大統領選挙では、40歳前後から下のミレニアル世代と次のZ世代を合わせた若い有権者が、4割以上を占めると予想されています。