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フランス滞在記①🇫🇷ー消費者がバケットの値段を決める国ーlilleにて
12月、大学の長期休みに入ると同時にフランスに飛びクリスマスまでの10日間をフランスで過ごした
ユーロを導入しているフランスはイギリスよりは物価が安いとはいえ10日間の衣食住は大学生がバイト代で賄える金額ではない
私がどうしたのかというと、フランス人のフラットメイトの帰省について行くことで、彼の実家にお世話になったり友達の学生寮に泊めてもらったりして北フランスから南フランスに移動しながら過ごした
沢山の人のお陰様で素敵な縁と思い出に恵まれたフランス滞在、感謝
大学生の私の旅観
フランス滞在記に入る前に少し私の旅観を書いてみたい
大学生の私には旅の仕方が大きく分けてふたつある
①心底どうしても行きたい国に安宿を予約して行く旅
②現地に友達が居て彼らの地元に連れて行ってもらう旅
2度目のマレーシアや、今回は②にあたる
どちらも素敵な旅でそれぞれに良さがある
まず①心底どうしても行きたい国に安宿を予約して行く旅、これは1人旅なことが多い
(人を誘っても誰も来たがらない内容だからかもしれない笑)
生きている間に行ってみたい国や場所が国内外にあって、そこへ行く為に手段を選ばない、つまりかなり状態の悪い安宿の泊まったり食事を1日1回に削って過ごす、そんな旅には予想外のことやどうしようもならない時に起こるミラクルが待っていて、何にも代え難い体験をすることが多い
もちろん心底困ったり、懲り懲りだなとため息をつくことも多い
②現地に友達が居て彼らの地元に連れて行ってもらう旅についてはこれまた素晴らしい
その土地を知る上で地元の子に案内してもらうほど素晴らしい街探索はない
地元にしか伝わらない話、彼らしか知らなかった事件や揉め事、以前建っていた建物、
おまけに彼ら自身の幼少期の思い出や家族とのストーリーから街を感じることができる、旅を通して彼らの考えや物事の見方にも触れられる
どんなツアーガイドや観光パックよりも深く街に1番近い距離で、その土地を知ることができる
今回のフランス旅は後者
「ペイ・ホワット・ユー・ウォント(Pay-What-You-Want)」
私がイギリスマンチェスター空港を出てまず最初についた都市はフラットメイトの実家があるフランス北部、ベルギーとの国境に位置する小さな街「lille」
聞いたことが無かったし、きっとこの機会がなかったら一生訪れることが無かったであろう小さな街
lilleでの滞在期間は他の年より長かったこともあり書こうと思えば色々出てくるが、私が最も衝撃を受けたフランス人とパンの話を書いておきたい
街を歩いていて彼が私に「フランスのバゲットは僕ら自身で値段を決められるんだ」と教えてくれた
「?」
私にとって衝撃的な文化だった
フランスの一部のパン屋では「ペイ・ホワット・ユー・ウォント(Pay-What-You-Want)」という仕組みがあるらしい
これは「Pay-What-You-Want(あなたが払いたい額を払う)」、つまり「消費者が自分で支払う額を決める」という何とも、フランスらしいというか、ユニークな自由度の高い仕組み
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基本的にバゲット(フランスパン)は1本 1,2ユーロ〜2ユーロ
「それ、みんな安い金額で買いたいんじゃない?その仕組みは成り立つの?」という私の疑問に対して
彼が「みんながみんな2ユーロを払えるわけじゃない」、とさらに詳しく話してくれた
この仕組みを取り入れる店では消費者がパンなど商品を受け取った後、自分の満足度や経済状況に応じて支払い額を決めれるらしい
「今日はお金が少ないから1ユーロだけ払う」
「今日のバケット、焼き加減最高!満足したから2ユーロ払おう」
と言ったように
また、フランスでは、余剰のバゲットやパンを貧困層に寄付する「パン・ソリデール(Pain Solidaire)」という文化も根付いている
これは客が「余分に支払うことで他の人が無料でパンを受け取れる」という仕組み仮に1本のバゲットが1.5ユーロだとすると、客が2ユーロを支払うことで、その差額が次に来た経済的に困窮している人のパン代として使われる、だから次に来た客は少額、または無料でパンが受け取れたりする
店に経済的負担をかけずに、顔の見えない善意で繋がる輪
パン、ということもあってキリスト教との繋がりを思い浮かべたけれど無宗教が多いフランスではそういう意味合いでもないみたい
これらは、食べ物が経済的な状況に関係なくすべての人に手が届くようにするために導入することが多いそう
貧困層への応援、「食べ物を手に入れる権利は誰にでもある」という理念
またそれがフランス国民の愛するバケットで生まれているのも意味合いが大きいと感じた
パン屋が社会のためにここまで考えて使命感を持って仕組みを取り入れている、ということに「フランスにおけるパン文化の存在がいかに大きいか」を感じさせられた
食文化とその国の人々の暮らし観のつながりは本当に深い
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問答無用で食べたことがない美味しさ
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「イギリスのチップスとは格が違う、ネクストレベルだろう?」と言われながら食べた
丸一日の長時間移動後の体に沁みた、美味しかった
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フランス人は本当にフランスが好き笑