見出し画像

風俗とフランスと韓国と日本と

一昨日友達とフラットで話していてある話題が上がった
売春の違法性について
会話のきっかけはヒョンなことで「イギリスって風俗少ないよね」というわたしの一言
フランス人の友達が「だって風俗は違法だからね」とすかさず答えた
そこから風俗を仕事にするのは本人の職業選択なのか、それともお金稼ぎの手段としてやむをえず強いられている規制すべきことなのか、数時間話した
今日はここで気がついた日本の文化で育ったわたしと彼らの価値観の違い、わたしに残ったぐるぐるもどかしさのシェア

この日がきっかけで日本の法律を調べた
日本には風営法という法律が存在している
これは「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」で風俗営業が公序良俗を害さないこと、そして周辺環境との調和を図ることが目的
キャバクラやホストをはじめパチンコやゲームセンターなど客の射幸心を煽る店が対象になっていてその営業内容によって1〜4号に振り分けがされている
営業許可を取得するには暴力団との関係がないことや営業時間の規制(特別許可を得ない場合原則午前0時から五円6時までの営業は禁止されているが、基本破られているのでは無いかと思う。)、そして学校の近くで営業できないなど場所の規制、その他数々の規制がある

ただ街を歩けばホストやキャバクラがわんさかあることでわかるようにそこにはたくさんの抜け道がある
厳しい規制ゆえの?いや規制の曖昧さゆえの!
セクシーキャバクラと呼ばれる類の風俗は民営法上「1号営業」に区分されるが実態としては「客に接待をして飲食を提供」という営業内容を超えたより性的なサービスを提供している場合がある
そもそも「接待」の概念が曖昧すぎて「1号営業」か否かを判断するのは困難だろうと感じる
さらに無店舗型風俗営業(デリヘル)等は店舗を持たないため風営法が適用されない
つまり違法な風俗営業形態は形を変えながら存在し続けることができる
こうして法律があるにも関わらず実態としては法律のグレーゾーンで営業されているサービスが溢れかえっている訳である
さらにソーシャルメディア上のやり取りは法律での規制外追いつかずさらに無法地帯化を招いているように思う

彼によるとフランスでは規制も強化が進み、利用者に高額の罰金が課せられるようになってから風俗店の数は大幅に減ったとのこと
同じ場所にいた韓国人の彼女たちによると韓国の規制も厳しく日本のように当たり前に風俗が存在する光景は無いらしい
ドイツでは国が運営しているオフィシャルな売春施設がある
北欧では風俗自体が規制されている国もある

ただわたしが着目したのは各国の規制の違いというよりも「風俗営業」への感覚の違い、倫理観の違い
正直な話をするとわたしは風俗で働くことは「職業選択」として存在する権利であり、稼ぎの手段であると考えている
日本ではシングルマザーの母親などが子供の養育費のためなど、なむを得ない目的を理由に日中デスクワークをして夜風俗で働くなどの話が聞かれる
メディアで切り抜かれることも多い
当然福祉がより充実して彼らに十分なお金が行き渡ることが最善だと思う
ただ現在の福祉制度と不景気の中彼らから夜の仕事を奪えば彼らはいかにして、稼げようか
代替策もないまま倫理の観点で彼らの職を批判することは綺麗事にしか見えない
風俗で生計を立てる知り合いがいる
少なくとも
彼らの前で倫理観を語れるほどわたしは自信を持って「風俗完全撤廃!」と言えない

そんな話をするとフランス人の彼と韓国人の彼女たちは顔を顰めて
「それは選択じゃない。彼らはお金がないという状況で断れない性的交渉を強いられてる、これは彼らに最低限の権利がないことを意味してる。自分の身体のことを自身で決められない、人権侵害に該当する。」
と主張してきた
ここでは書けない内容だけれど国際的に取引されている性的搾取問題を「現代の奴隷」と名付けて説明もしてくれた

彼らの主張も十分に理解できる
本当にそうだと思う
だけどそれでも風俗が当たり前に存在する日本社会に慣れてしまっているのだろうか
「職業としての選択肢なのでは」という考えがこびりついて離れない
「性」に関する社会問題には常にグレーゾーンの扱いと倫理観の違いが壁として存在する
「同意」ってなんだろう
「搾取」ってどう定義づけられるだろう
身体・精神的苦痛を負った彼らの責任の所在は?
個人の問題と捉える国と社会の問題と捉える国
今のわたしには何をとっても一貫した自分の意見が語れない
海外で生活をすると改めて日本の法律や慣わしについて考える機会がある
こうやって目の前の人間と意見を交わすこと、考えに耳を傾け自分の考えを客観視して整理することが今できる最大限かもしれないと悔しくも、もどかしい



いいなと思ったら応援しよう!