Not for EU lavel-スーパーで感じるEU離脱の影響-
今日はイギリスのEU離脱の影響を肌で感じた話
自炊に励む留学生の私にとって日常的に通うスーパーにはもはや部屋同等の安心感を感じている
いつも通り物色していると"not for EU"と書かれた商品を見つけた
書かれていたのはソーセージ
他の商品も見てみる
スナック菓子や菓子パンには表示が無い
寮の近くのスーパーで商品の裏を見るとここにも同じ表示を見つけた
日本でも知識として知ってはいたが疑問はまだ多くて、現地の教授にも日本の教授にも話をした
ニュースについて同級生とも色々と話をする間にEU離脱と貿易、運送事情の深い関わりと複雑な事情とイギリスが直面している問題が何となく見えた
何となくっていうのが大事
「NOT FOR EU」ラベル
ラベルについて調べると避けられないのがまだ記憶に新しい英国EU離脱の話
イギリスは2016年の国民投票を受けて2020年の年末にEU(欧州連合)を離脱
これは当時高校生だった私も驚いた
EU加盟国って増えていってるところしか知らなかったし減る事例は初めてだったから
テレビの前で「そのパターンもあり得るんだ」みたいなことを思った記憶がある
欧州連合離脱、通称「ブレグジット」、Brexit( "British" と "exit"が由来)を受けて、これまでとシステムが変わって部分的にEUとは異なる独自の製品規制を定めた
なぜ変わったのか、誰に、どんな影響があるのか
「NOT FOR EU」ラベルは、ブレグジット後の新たな規制に基づき、主にイギリス国内、その中でも特に北アイルランドで販売される食品に表示される
このラベルは、対象商品がEU市場(アイルランド含む)に流通しないことを示す目的がある
ではなぜEU市場に流れないようにしたいのか
これには英国側とEU側双方に意図がある
「NOT FOR EU」ラベルはイギリス本土から北アイルランドに輸送される際、アイルランドとの「ハードボーダー」(国境における厳格な物理的検査や関税などの厳しい貿易手続きが必要な境界線)として機能する
イギリスで考えるとイギリス本土から北アイルランドを経由してEU圏内であるアイルランド共和国へと物品が流れる場合、通常の国境と同じように入国審査や関税、税関検査が行われる状態
(元々北アイルランドとアイルランド共和国は地理的に隣接していることから、自由な往来がブレグジット以前のEUの単一市場のもとで確立されていた、だからハードボーダーは要らなかった)
そしてこれはEU基準よりも緩い基準のことが多い
EU市場にイギリス基準の商品が入ると、EUの食品安全基準が守られないリスクがあるため、EUはこれを避けたいという意図がある
一方のイギリスも、意図せずとももしそのような違反が発生すれば輸出相手先への信用を失いかねない、それにEUから厳しい検査や制裁が課される可能性もあるからイギリス側だってこれを避けたい
英国とEUの間で異なる食品規制に対応するためにイギリス国内向けの製品に簡易な手続きが適用される「グリーンレーン」とEU向け商品の「レッドレーン」というレーンを使ったシステムも導入されていて
でもニュースで見る限りこれも期待していたよりうまく機能していないみたい
EUが受けるメリットとしては「NOT FOR EU」ラベルによって、EUに流入してはいけない商品が明確に識別されるため、不正な輸入や密輸の抑止効果があると言われている
特に、北アイルランドとアイルランドは国境が物理的に存在しない
このラベルがないとEU市場にイギリス製品が流れ込みやすくなり、不正な流通経路が拡大するリスクがある
また、イギリス製品がEU市場に流入すると規制の違いや関税が原因でEU内の製品より安価になる可能性がある
これにより、EU内の生産者や流通業者にとっては競争が厳しくなる
また、特に食品や農産物などの分野の地元産業の競争率の激化が考えられる
日本からイギリスに来て生活していると信じられないことだけれど、安価な製品のEU圏への流入が地元経済に悪影響を与えるリスクも頻繁に議論されるトピックになっている
すでに高くて信じられないけど笑
ただこれらの規制が強まりすぎるとアイルランド島内の移動が大幅に制限され、経済活動や社会的交流に悪影響が出る
だから今「ウィンザー・フレームワーク」や「北アイルランド・プロトコル」により、北アイルランドはEUの単一市場とイギリス国内市場の双方にアクセスできる特別な地位にいる
やはりでも思うのは、そもそも利権の一部を取り返したくてのEU離脱だったのだからデメリットの部分(捉えようによっては)である製品規制についてはイギリス国民、政府へのメリットが顕著に少なく、後押しするきっかけがないためノロノロと進められているように感じる
EUに圧をかけられてしょうがないなあ、と勧めている感じも否めない笑
というか英国からするとデメリットの方が目立つ
このラベルが消費者に与える印象
国民の中にも私のように「何だこれ??」みたいな理解の浅さの消費者が多いようで、パッと見ただけでは「EU向けでは無い=英国プライベートブランドか?」とか「EU向けでは無い=英国製品がEU基準を満たしていないってこと?」と誤解する可能性が高い
こんな誤解で英国製食品の品質への疑念を持たれては生産者はたまった物では無いしブランドとしてのイメージ価値の低下につながる恐れもある
さらにはラベル導入による追加コストや複雑化した手続きも、サプライチェーンや小売業者にとっての負担となっている
メリットがない上に手間やコストを負担せざるを得ない生産者には同情せざるを得ない
これまでより格段に運送も生産過程に人件費も時間もかかる
何となく全て移行期故に中途半端な感じ
私が生産者なら「やるなら英国全土に一気に広めて消費者の誤解が生まれないようにするか、やらずに一部の利権を得たままEUにEU市場への介入を頼むか、はっきりしてくれ!!」と叫びたくなるはず笑
「ブレグジット」自体もちろん初めて経験しているイギリス
規制の段階を設けている様子からも手探り状態なのがよくわかる
動きが右へ左へ動く今、これからどんな風に動いていくのか目が離せない
まだまだ知識が足りない分野だから自分も勉強しながら見守りたい