マレーシア(インド)備忘録❽ 滞在したシク教家族の話🇮🇳
イポーに滞在する3日の間、インド人の友達の実家に泊めてもらった
3日間の出来事を書いておきたい
まず家について出迎えてくれたのは一番下の12歳の妹
明日も学校なのに楽しみで遅くまで起きていてくれたらしい、窓から覗いている姿が可愛らしかった
そして彼女達の母親がカレーを食べさせてくれた
空腹で食べたこのカレーがもう、本当に本当に美味しくて夢中で食べた
緑色のカレーはサルソン・カ・サーグ、からし菜カレー
それとチャパティを焼いてくれた
この時はフラワーのだったけどトウモロコシ粉で作った黄色いチャパティも作ってくれた
チャパティは必要に応じて焼いていくからいつでも作りたての熱々
すぐに「もう一枚いる?」と聞きにきてくれる
私たちはこれを3日間「チャパティーワンコそば」と呼んでた笑
明日作り方を教えて欲しい、とすぐに頼んだら笑っていいよと言ってくれた
マレーシアで本場のインドカレー
こんな幸せが味わえたのは彼女達がインドのパンジャーブ地方から来たシク教徒だから
彼らはマレー語ではなくパンジャーブ語を話す
からお母さんお父さんとの会話はかなり苦戦した笑
私はマレーシアの大学で彼女に会うまでそもそもシク教の存在を知らなかった
滞在させてくれた3日の間彼らと可能な限りたくさんの話をした
「生まれてから一度も髪切ってないよ」
姉妹の衝撃発言に驚いた
「そもそも給料の10%は寄付される仕組みになってる」
また目ん玉飛び出る話
彼女達の家に泊めて貰ってその生活からよりシク教のことが分かれた気がする
シク教って何なの
シク教は16世紀に始まった比較的新しい宗教
同じインドのヒンドゥー教が多神教なのに対し、シク教は一神教
イスラームでは女性のみがヒジャーブという布をつけるがシク教では男性も基本的にターバンを巻く、友達のお父さんもぐるぐるに巻いてた
北インドでナーナクが開祖した
その開祖から始まり現在まで10代の指導者がいて指導者はグルと呼ばれる
シク教徒はこのグルを信じてあがめる
そうやって10人のグルとその教えであるグル・グラント・サーヒブを信じるのがシク教徒
インド・パンジャーブ州、アムリトサルにある黄金寺院が彼らの総本山
インドではヒンドゥーやイスラムが多い中1.7%の割合
でもインドの1.7%は約2300万人程 さすが人口パラダイス笑
また特徴としてシク教誕生の頃から裕福で教養があり教育水準の高い層の帰依が多かったことから、裕福な人たちが多いことが挙げられる
そういえば通ってたマレーシアの大学では他のマレー人がシクの彼女をお金持ちいじりしてた笑
あとシク教はベジタリアンだから彼女は高頻度でサブウェイを利用しててそれもいじられてた
何で彼らがここマレーシアにいるのか
マレーシアにも4 万人ほどのシク教徒がいるらしい
ここではマイノリティ民族に属されるシク教
彼らは主に英国植民地だった場所に居る
なぜ彼らがインドから出たのか、また出なければ行けなかったのか
彼らがパンジャーブ地方から東南アジアへ出た理由の一つ目は英国が治安部隊として彼らをマレー半島に送り込んだから
英国は海峡だけでなくマレー半島の内部にも植民地勢力を広げていた
二度のパンジャーブ地方でのシク教徒とイギリス 東インド会社との戦争の経験から、イギリスの植民地行政官はシク教徒達を「勇敢」と思っていて、だから英国は支援をしてでも彼らを警官隊や軍人としてマレー半島に送り込みたがった
1874年から1914年にかけての間シク教は意図せずマレー半島に流れた
ただ全てのシク教徒が無理やり連れて来られたわけじゃなくて
1915年から1957年にかけては政府機関や事務職、企業の警備員などの仕事に就くために彼らの意思でマレーシアに移り住んできた
流入期からもわかるように今マレーシアにいるシク達は当時(上記いずれかの時期)流入したシク教徒の子孫
大体がこのように生まれた子孫として第二から四世代に当たる
私の友達は父親が嫁を探しにパンジャーブに帰った際出会い、マレーシアに連れてきた(父親も、もちろんシク)パターンなので少し特殊
こうやってシクはシクとしか婚約しない
そういえば私が来月から留学する英国はシク教が世界で4番目に多く43万人程度暮らしているらしい、彼女達の親戚もイギリスにいると教えてくれた
またイギリス留学の楽しみが増えた
シク教の食文化とイメージ
シク教徒は肉類、魚介類、卵といった、動物系の食べ物を食べない
また、ゼラチンやラードといった動物性の食べ物が含まれる調味料も使わない(これはムスリムも同じ)
全く食べないの?と聞くと「死にかける時は食べるけど今はそんなサバイバルな状況無いから」と返ってきた
調べてみるとどうしても、野菜でご飯が作れない時に限って自分で動物を狩るなら、食べて良いらしい
友達いわくシク教は他と比べてワンランク上の宗教らしい、神ではなく自己の内部に信仰心を宿すところとか、ベジタリアンであることとかが理由だと教えてくれた
あとは生まれてから髪や髭を切らないのも
友達やその家族もターバンに切ったことがない髪をしまっていた 重たそう、、
シク教徒は体が大きくてお金持ち、というイメージが持たれている
彼らには身長が高くて恰幅がいい人が多くそれが英国が彼らを警官隊や軍人としてマレー半島に送り込みたがった理由の一つになったのかも知れない
真か否かわかんないけど今でも警察官の採用に有利な民族だと言う話も聞いたことがある
またビジネスで成功している人、社会的に活躍している人が多くお金持ちが多い
「世俗の職業に就いてしっかり働きなさい」という教えのもと、勤勉に働く人が多いとも言われている
大学で出会った私の友達も働くことへの意欲がとても強い
泊めてくれた彼女のお父さんは大手の銀行に勤め上げ経済や投資に関する知識も豊富、子ども達は父親からそれらを学ぶらしい
元々「社会のリーダーになるための教え」を伝授するもの、という意味を持って生まれたシク教
そのため宗教が誕生した当時、裕福で教養のある人たちが多くて結果的にそれが今でもイメージとしてこれらのイメージが残り続けているのかも知れない
シク教の教え「公益奉仕」
シク教は平等を重んじる
これは滞在期間中、この家族も何度も話してくれた話だった
インドで取られている政策、身分によって人生が決まってしまうカースト制度も否定する立場をとってる宗教らしい
会話の中で「我々はイスラムともヒンドゥーとも違う、カーストに反対して平等を重んじる新しい宗教である」というアイデンティティが強く感じられた
特に印象的だったのがお父さんが教えてくれた「公益奉仕」の話
「私たちはお金を貯めない、貧しい人たちに分ける」
続いて娘達が話してくれた
「シク教の給料の10%は貧しい人たちに送る仕組みがあるよ」
知らなかった驚いた
シク教の他者奉仕の教えは教え、という形だけでなく信者に生活のベースで強く根付いていた
シクの他者奉仕の代表的な話として「ランガル」という伝統がある
パンジャーブ語で「ランガル」とは「無料で食事を提供する」という意味
シク教寺院では無料で食事を提供している
シク教では平等を重んじる
だからシク教寺院では性別、民族、国籍、地位など関係なく食事を提供する
そしてこのランガルの運営もボランティアでまわっている
私自身、泊めてくれるだけで有り難かったのに本当に至れり尽くせりの3日だった
滞在中、服をプレゼントしてくれた
イポーを出る時はお母さんがお弁当を持たせてくれたし妹が道中お腹が空かないようにとパンをくれた
帰り際お父さんが少しだけど、とお金が入った包みをくれた
袋にはUnicefのロゴ、貧しい人たちへの寄付金はここにいってるのね
慣れない食べ物はお腹はやっぱり壊してしまうし
トイレもお風呂もなかなかパンチがある
最終日の夜、2番目の妹の運転でイポーをまわって色んな話を教えてくれた
イポーで一番高いホテル
彼女たちが育った学校や
家族の思い出の場所
明らかに4人乗りの車に6人で乗って少し窮屈だったけど楽しくて寝たくなかった
末っ子が懐いてくれて本当に可愛かった、大事に集めたシールとかボーペンをプレゼントしてくれた
ソニー、かっこいい男の子 ソーナン、素敵な女の子
教えて貰ったふたつのパンジャーブ語
「あなたはソーナンソーナン」と何度も言ってくれた
せっかく貰ったソーナン、この先も胸張れる自分でいよう
イポーで出会ったこの家族が大好き
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