【NPB】WARで振り返る2012年ドラフト会議(12球団別)
2012年ドラフト
横浜DeNAベイスターズ
【総獲得WAR】41.7
【最高WAR選手】宮﨑敏郎(24.9)
【寸評】外れ1位で強肩強打の大型遊撃手白崎浩之を獲得。打撃・守備ともに粗削りな素材型選手との評価だったが、大成せず。
2位指名の三嶋一輝は、最速155キロの速球派右腕。1年目から先発ローテに定着し、コントロールに難があるものの奪三振力に長け、6勝を記録。しかし、その後は先発投手としては安定せずリリーフに転向。2018年には投球回を上回る奪三振を奪う、パワーピッチャーとして活躍した。
3位指名で即戦力右腕井納翔一を獲得。1年目から開幕ローテ入りし、2年目の2014年には二桁勝利をマーク。エース級の活躍とはいかないまでも、長年先発ローテの一角として活躍した。
6位指名で強打の社会人野手宮﨑敏郎を獲得。172センチという小柄な体格が邪魔したのか、ドラフト時の評価は低かった。プロ入り後は巧みなバットコントロールで二度の首位打者を獲得。バットに当てる技術は球界でも群を抜いており、通算の三振率は8%代と異次元の数字を残している。
オリックス・バファローズ
【総獲得WAR】9.2
【最高WAR選手】松葉貴大(6.9)
【寸評】1位指名で最速149キロ左腕松葉貴大を獲得。大学で野手から投手へ再転向、圧倒的な球種は無いが打たせて取るピッチングが評価されての1位指名となった。プロ入り後は1年目から先発ローテ入り。その後も好成績では無いものの先発ローテの一角として活躍した。
3位指名の伏見寅威は、強肩強打の大型捕手。打てる捕手として期待されるも打撃は伸び悩み不動のレギュラー捕手にはなれなかった。
阪神タイガース
【総獲得WAR】20.8
【最高WAR選手】藤浪晋太郎(17.2)
【寸評】最速153キロの長身右腕藤浪晋太郎を4球団競合の末獲得。藤浪は、春夏甲子園を連覇、今ドラフトの目玉として大谷翔平と並ぶ注目選手だった。粗削りな面があり素材型と目されていたが1年目から先発ローテに定着。3年目の2015年まで3年連続で二けた勝利を記録するなど、怪物ぶりを発揮。球界を代表する投手に成長するも2016年から、突如として成績が下降。元々コントロールはよくなかったが、さらに制球難を極めキャリアは暗転。2023年にMLB挑戦を果たすも、芳しくない結果に終わっている。
2位指名の北條史也は、攻守に優れた素材型遊撃手。打撃はもちろんのことドラフト時点では守備センスも評価されていた。2016年に遊撃手としてレギュラーに定着したが、その後は成績が下降。1軍に定着することはできなかった。
千葉ロッテマリーンズ
【総獲得WAR】12.6
【最高WAR選手】田村龍弘(7.4)
【寸評】外れ1位で社会人出身の松永昂大を獲得。スリークォーターから最速151キロの速球を投げ込む即戦力左腕として評価は高かった。1年目からリリーフとして1軍に定着、その後7年連続で40登板を記録しブルペンを支えた。
3位指名の田村龍弘は、小柄ながら打撃が持ち味の高卒捕手。3年目からレギュラー捕手に定着し、打撃も年々向上。2016年にはベストナインにも選ばれた。
広島東洋カープ
【総獲得WAR】46.5
【最高WAR選手】鈴木誠也(44.9)
【寸評】1位指名の髙橋大樹は、高校生外野手としては№1評価の右の長距離砲。プロ入り後は大成せず。
2位指名の鈴木誠也も高い身体能力が魅力の投手兼内外野手。プロ入り後は野手に専念し打撃開眼。外野手としてレギュラー定着後は球界を代表する5ツールプレイヤーとして活躍。チームのリーグ3連覇の原動力となった。2022年にはMLB挑戦も果たしている。
3位指名の上本崇司は、俊足好打の小柄な遊撃手。プロ入り後は内外野守れるスーパーサブとして重宝されていたが、2022年に規定未達ながら打率3割を記録するなどブレイクを果たした。
東北楽天ゴールデンイーグルス
【総獲得WAR】41.9
【最高WAR選手】則本昂大(42.4)
【寸評】1位指名の森雄大は、長身から投げ下ろす最速148キロの直球が魅力の本格派左腕。素材が高く評価されたものの度重なる怪我で大成せず。
2位指名で最速154キロ右腕則本昂大を獲得。出身の三重中京大学は、この年をもって閉校。則本は同校最後の卒業生となった。投げているボールは一級品ながらマイナー大学出身ということで1位指名候補とはなっていなかった。入団後は、1年目から6年連続二けた勝利を記録。5年連続で奪三振王を獲得するなどエースとして君臨。2019年に右肘の手術を受けて以降はパフォーマンスは落ちたものの、2021、2022年には二桁勝利を記録している。
東京ヤクルトスワローズ
【総獲得WAR】34.7
【最高WAR選手】小川泰弘(24.1)
【寸評】外れ1位で最速146キロの即戦力右腕石山泰稚を獲得。プロ入り後は1年目からリリーフとしてフル回転。支配的なセットアッパー、クローザーとして活躍しチームの優勝、日本一に貢献した。
2位指名の小川泰弘は、171センチと小柄ながら最速146キロの速球が武器の本格派右腕。左足を高く上げる独特の投球フォームから和製ライアンの異名をもっていた。1年目から16勝を上げ最多勝と新人王を受賞。その後も先発ローテの一角として投手陣を支え、チームを3度のリーグ優勝に導いている。
福岡ソフトバンクホークス
【総獲得WAR】16.3
【最高WAR選手】東浜巨(12.2)
【寸評】大学№1投手東浜巨を3球団競合の末獲得。キャリア序盤こそ苦しんだが、2017年には16勝を上げ最多勝を獲得しチームの優勝・日本一に貢献。その後もエース級の活躍とはいかないまでも先発ローテの一角としてチームを支えた。
6位指名の山中浩史は、27歳の遅咲きサブマリン投手。ドラフト時点では、ほぼ無名ながら、ヤクルトへ移籍後の2015年に先発ローテに定着。チームの優勝に貢献した。
中日ドラゴンズ
【総獲得WAR】8.8
【最高WAR選手】福谷浩司(4.7)
【寸評】1位指名の福谷浩司は、最速155キロの速球派右腕。2年目の2014年には72試合に登板。その後は怪我などもあり精彩を欠くも、先発転向した2020・2021年は先発ローテを守り一定の成績を残した。
7位指名の若松駿太は、投手転向1年目の完全素材型投手。3年目の2015年に先発ローテ入りし10勝を上げ、翌年も先発として活躍したが、その後は怪我もあり成績が下降。2018年オフに戦力外となった。
埼玉西武ライオンズ
【総獲得WAR】15.3
【最高WAR選手】増田達至(12.3)
【寸評】外れ1位で最速152キロ右腕増田達至を獲得。社会人時代から抑えとして起用されており、1年目からリリーフとしてフル回転。その後もリーグ屈指のクローザーとして活躍した。
4位指名の髙橋朋己は、最速148キロのサイド左腕。大学まで無名ながら社会人で名を上げての指名となった。2014年・2015年は、支配的なクローザーとして活躍し日本代表入り。その後は怪我に泣き、ほぼ登板できずに2018年に現役を引退した。
読売ジャイアンツ
【総獲得WAR】43.5
【最高WAR選手】菅野智之(42.1)
【寸評】東海大を卒業延期していた菅野智之を単独1位指名。菅野側が巨人以外なら「MLB挑戦」と公言していたこともあり他球団からの指名は無かった。菅野は、1年目からエースとして活躍し、最多勝利3度、最優秀防御率4度、最多奪三振2度、沢村賞を二年連続で受賞するなど球界を代表する投手として活躍。2020年オフにポスティング制度を利用しMLB挑戦を目指すもコロナの影響により断念。その後成績は下降するも、現在も先発ローテの一角としてチームを支えている。
4位指名で社会人左腕公文克彦を獲得。172センチと小柄ながら、最速152キロの速球が高く評価されていたが、巨人では登板機会を、ほぼ与えられず、日本ハムへ移籍。移籍後は、左のリリーフとしてブルペンを支えた。
北海道日本ハムファイターズ
【総獲得WAR】25
【最高WAR選手】大谷翔平(24.4)
【寸評】1位指名で「MLB挑戦」を明言していた最速160キロ右腕大谷翔平を強硬指名。日本ハムは昨年の菅野に続いて、選手側の意向を無視した指名となったが、大谷を翻意させ無事、入団にこぎつけた。大谷は、1年目から投手兼野手の二刀流として起用され、2年目の2014年から3年連続の二けた勝利を記録。打者としても2016年に3割20本を達成。2018年からは活躍の場をMLBに移し、二刀流選手として唯一無二の活躍を見せている。
3位指名の鍵谷陽平は、最速152キロの速球派右腕。プロ入り後は、突出した成績ではないものの毎年40登板はできるリリーバーとして重宝され、通算400登板を達成した。
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