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【NPB】WARで振り返る2017年ドラフト会議(12球団別)


2017年ドラフト

千葉ロッテマリーンズ

【総獲得WAR】14.1
【最高WAR選手】藤岡裕大(5.5)
【寸評】外れ1位で3球団競合の末安田尚憲を獲得。188センチ95キロの恵まれた体格から高校通算65発を放った左の長距離砲。野手としては、清宮に次ぐ評価だった。プロ入り後は、高校時代のパワーは鳴りを潜め、中距離打者として三塁手のレギュラーに定着した。
2位指名の藤岡裕大は、大卒社会人の即戦力遊撃手。身体能力が高く、広い守備範囲を誇る。広角に打ち分ける打撃が魅力で一発長打も狙えるとの評価だった。1年目から遊撃手のレギュラーに定着し、全試合に出場。その後は怪我での離脱はありつつも遊撃・三塁のレギュラーとして活躍している。
育成1位指名の和田康士朗は、高校時代は野球部に所属せず、独立リーグを経てプロ入りした変わり種。プロ入り後は、代走・守備固め要員として活躍。2021年には24盗塁を記録し盗塁王に輝いた。

東京ヤクルトスワローズ

【総獲得WAR】42.9
【最高WAR選手】村上宗隆(26.8)
【寸評】外れ1位で3球団競合の末村上宗隆を獲得。高校通算52発、187センチ95キロの大型捕手。知名度、実力ともに清宮の後塵を拝していたが、逆方向への打球の伸びが高く評価されていた。プロ入り後即三塁手へコンバート。プロ2年目にレギュラー定着し、38本塁打を記録。2022年には三冠王を達成し、球界を代表する打者として活躍している。
4位指名の塩見泰隆は、走攻守三拍子揃った即戦力中堅手。いわゆる身体能力系の外野手で、最大の魅力は足。守備は穴も多いがファインプレーも多いタイプという評価。プロ3年目の2020年に外野手のレギュラーに定着。その後は、長打も打てるリードオフマンとしてチームのリーグ2連覇に貢献した。
5位指名で高卒投手としてはトップクラス評価の金久保優斗を獲得。183センチ78キロ、細身のスリークォーター右腕で、常時140キロ台の直球とスライダーが武器。プロ入り1年目にトミー・ジョン手術を受けるも、4年目の2021年に少ない登板機会ながらも先発として4勝をあげ、優勝に貢献。潜在能力の高さを見せるも、その後は鳴かず飛ばずに終わっている。

北海道日本ハムファイターズ

【総獲得WAR】2.5
【最高WAR選手】清宮幸太郎(1.5)
【寸評】今ドラフト最大の注目株清宮幸太郎を7球団競合の末獲得。184センチ、101キロの高校生離れした体躯を生かした力強いスイングで、歴代2位の高校通算111本塁打を放った左の長距離砲。リトルリーグ時代からマスコミで騒がれ、入団前から球団の顔となることを期待されていた一方、ほぼ一塁専といっていい守備については評価は低かった。プロ入り後は、1年目こそ7本塁打を放ち、大気の片鱗を見せるも、その後は怪我もあり結果を残せず、2021年には1軍出場無しに終わる。再起をかけ、トレードマークでもあったベーブ・ルース体型から減量を経て臨んだ2022年は自己最多の18本塁打を記録。その後は出塁能力の高い中距離打者としてリーグ平均以上の打撃成績は残している。
2位指名の西村天裕は、最速154キロの即戦力右腕。大学時代から上位候補も、4年時に左膝前十字靭帯を損傷し指名漏れ。NTT東日本へ入社後、手術を経て復活を果たした。プロ入り後は中々結果を残せずにいたが、2023年にロッテへトレードされると勝ちパターンのリリーフとして活躍、チームのCS進出に貢献した。

中日ドラゴンズ

【総獲得WAR】-1.2
【最高WAR選手】清水達也(1)
【寸評】外れ1位で最速157キロのパワーピッチャー鈴木博志を獲得。球威は抜群も制球に不安が残るという評価だったが、プロ入り後も制球には悩まされ続けた。1年目から53試合に登板するも防御率4点台と安定せず、その後はサイドスローへ転向し、再び上手投げに戻すなど試行錯誤を繰り返すも年々成績は下降。2023年オフに現役ドラフトでオリックスへ移籍となった。
4位指名の清水達也は、夏の甲子園優勝投手。アーム式の独特なフォームから投じられる最速150キロの直球と切れ味鋭いフォークが武器。いつ矯正されそうてもおかしくないフォームだったが、プロ入り後は独特な投球フォームを生かす方針で育成される。年々フォームの完成度を上げていくと、2022年以降は安定感のあるリリーフとしてチームに貢献している。

オリックス・バファローズ

【総獲得WAR】14.5
【最高WAR選手】田嶋大樹(7.9)
【寸評】1位指名の田嶋大樹は、最速152キロの即戦力左腕。課題の制球力もドラフト前年に向上し、評価を上げていた。プロ1年目に6勝を上げる活躍を見せ、2020年以降は先発ローテに定着し、リーグ三連覇に貢献した。
3位指名の福田周平は、169センチ69キロの小柄な遊撃手。守備走塁に定評があり、打撃においてもヒットを量産できる巧打者タイプ。プロ入り後は、1年目から二塁手としてレギュラーに定着。2021年以降はチーム事情から外野手に転向。出塁能力の高いリードオフマンとしてリーグ三連覇に貢献した。

読売ジャイアンツ

【総獲得WAR】12
【最高WAR選手】大城卓三(11.1)
【寸評】外れ外れ1位で鍬原拓也を獲得。最速152キロの速球とシンカーが武器の速球派右腕。身長は176センチと投手としては小柄な部類に入る。プロ入り後は、鳴かず飛ばずで育成落ちと支配下登録を繰り返した後、2023年オフに戦力外となり、トライアウトを受けソフトバンクと育成契約となった。
2、3位と続けて社会人捕手を獲得。2位指名の岸田行倫は、高校2年時まで投手だった経歴をもつ強肩強打の捕手。プロ入り後は、控え捕手としての起用にとどまるも、通算の盗塁阻止率は.538と高い数字を残している。
3位指名の大城卓三は、187センチ86キロの恵まれた体格の大型捕手。阿部慎之助を彷彿とさせる左の長距離砲で打撃には定評があったが守備面での評価は低かった。プロ入り後は、1年目から高い打撃力を買われ開幕一軍入り。2年目は一塁手兼捕手としてレギュラーに定着。3年目の2020年以降は正捕手として起用され球界を代表する打てる捕手として活躍。課題の守備力も年々向上し、2021年にはリーグトップの盗塁阻止率.447を記録した。2023年にはWBC日本代表入りを果たす。

東北楽天ゴールデンイーグルス

【総獲得WAR】1.7
【最高WAR選手】山﨑剛(3.5)
【寸評】1位指名の近藤弘樹は、186センチ96キロの大型右腕。最速153キロの威力ある速球と多彩な変化球を武器に、所属する中国地区大学野球連盟で傑出した成績を残した地方リーグの雄。プロ入り後は、わずか3年で戦力外となり、ヤクルトに拾われる。背水の陣で臨んだヤクルトでの1年目、2021年にリリーフとして一瞬の輝きを見せるも、怪我により離脱。2024年に再び戦力外となった。
2位指名の岩見雅紀は、東京六大学歴代3位の通算21本塁打を放った右の長距離砲。187センチ107キロの巨漢体型から「慶応のバレンティン」と呼ばれ、パワーは高評価も、守備力については不安視されていた。入団後はプロの投球に対応できず、鳴かず飛ばずに終わり2022年限りで現役を引退、現在は楽天で、スカウトを務めている。
3位指名の山﨑剛は、173センチ74キロの小柄な二塁手。大学2年時に東都大学リーグで首位打者を獲得したバットコントロールが持ち味。プロ入り後は俊足を生かした走れる内野のユーティリティーとして起用されている。

横浜DeNAベイスターズ

【総獲得WAR】13.6
【最高WAR選手】東克樹(9.8)
【寸評】単独1位指名で東克樹を獲得。170センチ78キロの小柄な即戦力左腕。所属する関西学生野球連盟での通算防御率は0.93と突出した成績を残していた。プロ入り後は、1年目から先発ローテに定着し、11勝を上げ新人王を受賞するも翌2019年に左肘を故障。2020年にトミー・ジョン手術を受けると、2022年から本格復帰。2023年には16勝を上げ最多勝に輝いた。
2位指名の神里和毅は、俊足好打の即戦力外野手。プロ入り後は、1年目から外野のレギュラーに定着。俊足を生かした広い守備範囲とシュアな打撃で打てる中堅手として活躍。2020年には打率3割を記録すも、2021年以降は打撃不振に陥り控えに回っている。

埼玉西武ライオンズ

【総獲得WAR】5.8
【最高WAR選手】平良海馬(8.7)
【寸評】外れ1位で、最速146キロの変則スリークォーター左腕齊藤大将を獲得。大学時代は主にリリーフとして起用されていた。プロ入り後は、鳴かず飛ばずで、2021年にトミー・ジョン手術を受け、現在は育成契約。
2位指名の西川愛也は、俊足好打の素材型外野手。打撃センスが高く左右に打ち分けるバットコントロールが魅力。プロ入り後は、打撃に苦しみ、1軍に定着できないでいる。
4位指名の平良海馬は、173センチと小柄ながら最速154キロの速球を投じるパワーピッチャー。低身長かつ高校時代の実績が少なかったため、素材は高評価もプロで通用するかは未知数とする声が多かった。プロ2年目から1軍に定着。3年目の2020年からは、3年連続で50登板以上を記録し、支配的なリリーバーとしてブルペンを牽引。2023年には先発転向し11勝を上げ、リーグ屈指のパワーピッチャーに成長した。

阪神タイガース

【総獲得WAR】7.1
【最高WAR選手】髙橋遥人(8.1)
【寸評】1位指名の馬場皐輔は、最速155キロのストレートが武器のパワーピッチャー。実戦では変化球を主体に組み立てる軟投派。投げてる球は高評価もメンタルの弱さが指摘されていた。プロ入り後は、主にリリーフとして登板。2020年は32登板、2021年には44登板と、一定の成績を残したものの、その後は成績を残せず2023年オフに現役ドラフトで巨人へ移籍した。
2位指名の髙橋遥人は、最速151キロ、出どころの見にくい投球フォームが売りの本格派左腕。素材は高評価も、制球力と投球の不安定さが懸念点として挙げられていた。プロ入り後は、1年目から1軍で先発登板し2勝を上げる。その後は度重なる肩肘の故障で、1年間通して先発ローテを守ることはできなかったものの、2020年、2021年は支配的な投球を披露。しかし、2022年にトミー・ジョン手術を受け、2023年は登板なしとなっている。
4位指名の島田海吏は、俊足好打の大卒外野手。脚力はアマ№1の評価で、中堅手として守備範囲も広い。プロ入り後は、2022年は外野手とのレギュラーに定着するも、2023年は控えに甘んじることとなった。

福岡ソフトバンクホークス

【総獲得WAR】12.9
【最高WAR選手】周東佑京(7.2)
【寸評】外れ外れ外れ1位で吉住晴斗を獲得。ドラフト前の評価は高くなく、1位指名は驚きをもって迎えられた。185センチ85キロ、最速151キロの体格に優れた高卒右腕。将来は160キロも目指せると評価されたものの、1軍登板を果たすことなく、2021年オフに現役引退。現在はソフトバンクの球団職員となっている。
2位指名の高橋礼は、187センチ80キロの長身サブマリン右腕。プロ入り1年目から1軍で登板。2年目の2019年には先発として12勝を挙げる。2020年は中継ぎとしてシーズンを通してフル回転しリーグ優勝・日本一に貢献した。2021年以降は投球フォームを崩し成績が低迷している。
育成2位で、俊足巧打の内野手周東佑京を獲得。地方リーグ出身ながら、脚力はアマでもトップクラスの評価で複数球団から注目されていた。プロ入り2年目の2019年に支配下登録を勝ち取り、3年目の2020年には50盗塁を記録し、盗塁王に輝いた。その後は脚のスペシャリストとして日本代表りも果たした。
育成4位の大竹耕太郎は、最速140キロの技巧派左腕。球持ちの良さと抜群のコントロール、緩急で打ち取るタイプの軟投派のため、プロ入り前の評価は低かった。プロ1年目早々に支配下登録を勝ち取り、2年目の2019年には先発投手として5勝をあげる。3年目以降は2軍で好投を続けるも1軍では結果を残せず、登板機会が激減。2022年オフに現役ドラフトで阪神へ移籍すると、先発ローテに定着し、エース級の活躍でチームの優勝・日本一に貢献した。

広島東洋カープ

【総獲得WAR】2.7
【最高WAR選手】ケムナブラッド誠(1.5)
【寸評】2球団競合の末中村奨成を獲得。高校通算45本塁打。3年夏の甲子園では6本塁打を放ち、一大会での本塁打記録を更新した強肩強打の捕手。高い身体能力を生かし、打てる捕手として活躍することが期待されていた。プロ入り後は、打撃が一向に向上せず、鳴かず飛ばずに終わっている。
2位指名の山口翔は、181センチ76キロ、長身細身のスリークォーター右腕。最速152キロの速球が武器も、コントロールが課題とされていた。プロ入り後は、鳴かず飛ばずに終わり、2022年オフに戦力外となり、現在は独立リーグの火の国サラマンダーズに所属している。 
3位指名のケムナブラッド誠は、192センチ91キロの大型右腕。制球力に課題が残るも、最速151キロの直球が魅力の素材型右腕。プロ入り2年目の2020年から3年連続で40登板以上を記録するも、2023年9月に右肘の故障で手術を受け長期離脱となった。

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