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【NPB】WARで振り返る2014年ドラフト会議(12球団別)


2014年ドラフト

東京ヤクルトスワローズ

【総獲得WAR】-1.1
【最高WAR選手】土肥寛昌(0)
【寸評】外れ1位の竹下真吾は、最速150キロの本格派左腕。例年、速球派左腕は過大評価されがちだが、竹下もその例に漏れず、制球難が改善せず1軍登板わずか1試合で戦力外に。
2位指名の風張蓮は、身長185センチ、体重86キロ。恵まれた体格から最速150キロの速球を投げ込む本格派右腕。北海道の地方大学リーグ出身ながら、スカウトからの評価は高かったが、1軍で活躍できたのは2018年の1シーズンのみ。
3位指名の山川晃司は、強肩強打の捕手。184センチ86キロのがっしりした体格から、キャッチャーらしいキャッチャーとスカウトから高評価。プロ入り後は、1軍で出場することすらできず、投手兼野手の二刀流に挑戦するも戦力外に。独立リーグ入団後は投手に専念している。
この年のヤクルトは、指名選手8名中7名が5年以内に戦力外と、歴史的な失敗ドラフトに終わった。

東北楽天ゴールデンイーグルス

【総獲得WAR】-0.5
【最高WAR選手】安樂智大(2.1)
【寸評】1位指名の安樂智大は、最速157キロの高校生№1右腕。身長186センチ87キロの恵まれた体格を持ち、松坂大輔や大谷翔平に劣らない怪物級の選手だったが、2年時の春の選抜甲子園大会において、3日連投を含む5試合で通算772球を投球するなどの登板過多により右肘を故障。3年時の球速は最速148キロまで低下した。プロ入り後も球速は戻らず、怪我に悩まされ続けたが、2019年オフに右肘のクリーニング手術を受ける。その後は、リリーフ転向し3年連続で50試合以上登板するなどブルペンを支えたが、不祥事により退団となった。
2位指名の小野郁は、投手では最速153キロ、野手では高校通算25発の二刀流。プロ入り後は投手に専念し、人的補償で移籍したロッテでリリーバーとして開花。2022年にはオールスター出場を果たした。
3位の福田将儀は、俊足が売りの外野手。4位のルシアノ・フェルナンドは、長打力が魅力の日系ブラジル人4世の外野手。両者ともドラフト前から評価は高くなかったが案の定大成せず。

横浜DeNAベイスターズ

【総獲得WAR】17.1
【最高WAR選手】山﨑康晃(11.7)
【寸評】外れ1位で2球団競合の末山﨑康晃を獲得。最速151キロの速球とツーシームが武器の本格派右腕。日米大学野球ではクローザーとしてチームを優勝に導き最優秀投手賞を受賞した。プロ入り後は球界を代表するクローザーとして、チームに貢献したが、長年の勤続疲労でここ数年は不安定な投球が続いている。
2位指名の石田健大は、最速150キロの本格派左腕。大学4年時に左肩を故障し球速が低下したことで、ドラフト直前に評価を下げていた。プロ入り後は2年目の2016年に先発ローテに定着し9勝を上げる。その後はチーム事情でリリーフ転向するも、再び先発へ転向。現在は先発ローテの一角としてチームを支えている。
即戦力の遊撃手が欲しいという中畑監督の要請により、3位指名で社会人遊撃手倉本寿彦を獲得。走攻守三拍子揃った遊撃手という評価も、プロ入り後は伸び悩んだ。

埼玉西武ライオンズ

【総獲得WAR】34.1
【最高WAR選手】外崎修汰(24.2)
【寸評】1位指名で夏の甲子園優勝投手髙橋光成を獲得。188センチ88キロの恵まれた体格から最速149キロの速球を投げ込む本格派右腕。ドラフト直前に西武が1位指名を明言したことで単独での指名となった。プロ入り後は、ルーキーイヤーに5勝を上げ、いきなりブレイクを果たすも、その後成績が低迷。2019年以降は持ち直し、現在はエースとしてチームを牽引している。
2位指名の佐野泰雄は、タイ出身。大学時代は、通算30勝を上げ所属する関甲新学生野球連盟の記録を更新するなど、身体能力抜群の左腕として注目を集めるも、大成せず。地方大学リーグ出身者の評価の難しさを示す結果となった。
一方、佐野と同じく地方大学リーグ出身者ながら、3位指名の外崎修汰はプロ入り後、良い意味で周囲の評価を裏切った。177センチ、75キロと平凡な体格ということもあり、守備走塁に長けた内野手程度の評価だったが、プロ入り後に大化け。内外野複数ポジションを平均以上に守れるユーティリー性と、20本塁打を打てるパワー、4年連続で20盗塁以上を記録するスピードを併せ持つスーパーユーティリーに成長した。

中日ドラゴンズ

【総獲得WAR】-1.9
【最高WAR選手】遠藤一星(1.4)
【寸評】社会人を中心に即戦力選手を大量獲得したものの、1軍に定着できた選手はゼロという、チームの低迷期の遠因となったと言われるドラフト。
1位指名の野村亮介は、将来性が高く評価されていた高卒社会人右腕。プロ入り後は、3年で現役引退。1軍での登板はわずか3試合に終わる。
2位指名の浜田智博は、変則左腕が欲しいという球団方針により獲得されたが、1軍登板は1試合のみで引退。
3位指名の友永翔太は、俊足好打の社会人外野手。170センチ74キロと小柄ながら即戦力との評価を得て入団するも大成せず。
7位指名の遠藤一星は、守備に定評のある社会人遊撃手。1年目に4本塁打を放つなど、下位指名ながら一定の活躍を見せるが、レギュラー定着とはならなかった。

千葉ロッテマリーンズ

【総獲得WAR】25.1
【最高WAR選手】中村奨吾(23.6)
【寸評】1位指名の中村奨吾は、「獲得すれば10年はレギュラーに困らない」と評された大学№1内野手。二塁手のレギュラーに定着した2018年以降は、4年連続で全試合に出場。平均以上の打力と、安定した守備でWARを稼ぎ、中心選手としてチームを牽引している。
2位指名の田中英祐は、京都大学から直接プロ入りした史上初の選手。プロ入り後に投球フォームを崩し、1軍登板はわずか2試合に終わった。引退後は、三井物産に入社している。
3位指名の岩下大輝は、181センチ83キロの恵まれた体格から最速146キロの速球を投げる本格派右腕。1年目にトミージョン、3年目に椎間板ヘルニアの手術を受けるも、2020年に先発として7勝、2021年には8勝を上げる。2023年に国指定の難病「黄色靭帯骨化症」と診断され手術。その後はリリーフ転向しブルペンを支えている。

広島東洋カープ

【総獲得WAR】10
【最高WAR選手】野間峻祥(9.2)
【寸評】外れ1位で走攻守三拍子揃った外野手野間峻祥を獲得。地方大学リーグ出身ながら、バットコントロールの良い中距離打者として高評価。プロ入り後数年は精彩を欠くも、2018年にブレイクして以降は離脱は多いものの、外野のレギュラーに定着した。
2位指名の薮田和樹は、度重なる故障によりリーグ戦の登板は3年春の2試合のみ。本人も驚く上位指名だったが、3年目の2017年に15勝を上げ大ブレイク。その後は成績が低迷し2023年オフに戦力外となった。
4位指名で、最速150キロの素材型右腕藤井皓哉を獲得。2020年オフに戦力外となると、独立リーグの高知ファイティングドッグスへ入団。1年目から圧倒的な成績を残し、2021年オフにソフトバンクと育成契約。翌2022年早々に支配下登録されると課題であった制球力が改善され、55試合に登板、奪三振率12.94と支配的なリリーバーとして開花。2023年は先発転向を目指すも自身の怪我やチーム事情によりリリーフへ再転向。以降はセットアッパーとしてチームを支えている。

北海道日本ハムファイターズ

【総獲得WAR】19
【最高WAR選手】有原航平(13.6)
【寸評】今ドラフトの目玉有原航平を4球団競合の末獲得。身長189センチ、体重96キロ、最速156の大型右腕。右肘の違和感のためドラフト直前は登板機会が減少、球速も低下するなど影響が不安視されていたものの、プロ1年目から8勝上げ新人王を受賞。2年目の2016年はチーム最多の11勝を上げ優勝・日本一に貢献。その後は、好不調の波が激しいものの、2019年には15勝を上げ最多勝を受賞。2021年にMLB挑戦を果たすも結果を残せず、2023年からはソフトバンクに在籍し先発ローテの一角としてチームを引っ張っている。
2位指名の清水優心は、強肩強打の大型捕手。185センチ88キロの恵まれた体格、高校通算35発のパワー、二塁送球最速1.78秒の強肩を誇り、素材は群を抜いてたが、伸び悩み、レギュラー定着とはならなかった。
3位指名の淺間大基は、走攻守三拍子揃った大型外野手。高卒1年目から1軍レベルに適応。将来を嘱望されるも腰痛を発症しキャリアが暗転。2021年に規定打席に到達するも、その後は1.5軍レベルの選手に甘んじている。
4位指名で191センチ78キロの長身細身右腕石川直也を獲得。4年目の2018年にセットアッパーとしてブレイクを果たすも2020年にトミー・ジョン手術を受けて以降は成績が低迷している。

阪神タイガース

【総獲得WAR】1.6
【最高WAR選手】江越大賀(1.3)
【寸評】1位指名の横山雄哉は、最速151キロの本格派左腕。高卒社会人であり、調子の波が激しいことから未完の大器という評価。プロ入り後は、度重なる怪我に見舞われ1軍登板は、わずか9試合に終わる。
2位指名の石崎剛は、サイド気味の投球フォームから最速151キロの速球を投げ込む剛腕。プロ入り後は、投げれば支配的な投球を披露するも、右肘の故障により登板機会は限られたものに終わった。
3位指名の江越大賀は、高い身体能力とパワーを誇る右の長距離砲。将来的にトリプルスリーも狙える逸材との声もあったが課題のコンタクト能力が一向に上向かず代走守備要員に収まっている。

オリックス・バファローズ

【総獲得WAR】18.1
【最高WAR選手】宗佑磨(6.7)
【寸評】身長188センチ、体重88キロの大型左腕山﨑福也を1位指名。ストレートは常時140キロ前後と速くはないが多彩な変化球と緩急で打者を打ち取る軟投派。高校自体通算20本塁打を記録するなど打者としても注目を浴びる。プロ入り後は、中々結果を残せなかったが5年目の2021年から先発ローテに定着、チームのリーグ3連覇に貢献。2023年オフにはFA権を行使し日本ハムへ移籍した。
2位指名の宗佑磨は、身長181センチ、体重75キロの細身の遊撃手。脚力と身体能力の高さから将来はトリプルスリーを狙えるとの声も。プロ入り後は、チーム事情で内外野を行き来するなど、定位置を確保できないでいたが、2021年に三塁手のレギュラーに定着。その後は3年連続でゴールデングラブ賞とベストナインを受賞するなど不動のレギュラーとしてチームのリーグ3連覇に貢献した。
3位指名の佐野皓大は、最速152キロの素材型右腕。潜在能力を高く評価されていたものの、イップスを発症し3年目の2017年オフから野手転向。高い身体能力を生かして走塁・守備のスペシャリストとして現役を続けている。
7位指名の西野真弘は、身長167センチの小兵ながら、天性のバットコントロールが持ち味の二塁手。1年目からレギュラーに定着し規定未達ながら打率3割を記録。2年目には全試合出場を果たすも、その後は怪我や打撃不振により、不動のレギュラーにとどまることはできなかった。
8位指名の小田裕也は、守備・走塁に定評のある即戦力外野手。プロ入り後は控え外野手としてチームに貢献している。
突出した選手はいないものの、その後のチームの躍進を支える選手を多数輩出したドラフトと言える。

読売ジャイアンツ

【総獲得WAR】31.4
【最高WAR選手】岡本和真(28.6)
【寸評】単独1位指名で高校生№1野手岡本和真を獲得。183センチ95キロの高校生離れした体格と広角に打ち分けるバットコントロール、リストの強さが魅力のスラッガー。プロ入り後は、4年目の2018年から6年連続で30本塁打以上を記録し、本塁打王も3度受賞。大きな離脱もなく毎年安定した成績を残せる球界屈指の右の長距離砲に成長した。
2位指名の戸根千明は、173センチ90キロの巨漢サウスポー。最速148キロの速球と投げっぷりが評価されての指名となった。ルーキーイヤーからブルペンを支えるも、左肘を故障し、その後は成績が低迷している。
3位指名の高木勇人は、高卒社会人7年目でプロ入りを果たした苦労人。即戦力として獲得されると、その評価に違わず1年目から先発ローテ入りし9勝を上げる。2年目途中まで先発ローテを守ったが、その後は成績を維持できず2019年に戦力外となった。

福岡ソフトバンクホークス

【総獲得WAR】12.6
【最高WAR選手】栗原陵矢(8.7)
【寸評】1位指名の松本裕樹は、最速150キロの素材型右腕。ドラフト直前の夏に右肘を痛め、他球団が指名を回避したことでソフトバンクの一本釣りとなった。高校通算54発のパワーの持ち主であり、怪我持ちながら1位指名を受けたのは、野手転向の可能性も秘めていたこともあるだろう。プロ入り後は、中々芽が出なかったが、2022年に本格的にリリーフ転向後は、支配的なリリーバーとしてチームに貢献している。
走攻守三拍子そろった高校生捕手栗原陵矢を2位指名。U18日本代表の主将としてチームを牽引するキャプテンシーも高く評価されていた。4年目の2020年からは、内野の両コーナーもしくは外野を守り、レギュラーに定着。怪我による離脱が多いものの、左の中距離打者として優勝・日本一に貢献。2020年には日本シリーズMVPを獲得した。

お読みいただきありがとうございました。

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