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【NPB】WARで振り返る2018年ドラフト会議(12球団別)



2018年ドラフト

東北楽天ゴールデンイーグルス

【総獲得WAR】22.8
【最高WAR選手】辰己涼介(15.1)
【寸評】1位指名の辰己涼介は、外れ1位ながら4球団が競合した即戦力外野手。高い身体能力と4年秋に首位打者を獲得した高い打撃センスが魅力で、守備・走塁については、今すぐにでもプロで通用するレベル、特に肩についてはアマ№1との評価だった。プロ入り後は、期待通りに1年目からレギュラーに定着。2021年からは3年連続でゴールデングラブ賞を獲得。打撃についても、3年目の2021年以降は、高い出塁能力とを長打も狙えるパワーを併せ持つ、穴の無い打撃を披露し、チームの中心選手として活躍している。
2位指名の太田光は大学リーグにおいてチームを6度の優勝に導いたインサイドワークと、二塁送球1.9秒台の強肩が売りの守備型捕手。プロ入り後は、捕手併用の片割れとして起用。2023年は課題だった打撃成績が向上、OPS.686を記録し飛躍の年となった。
7位指名の小郷裕哉は、走攻守三拍子揃った身体能力系外野手。タイプ的には1位指名の辰己と被るが、大学時代は3年生からレギュラーに定着したため実績に乏しく下位指名となった。プロ入り2年目の2020年に開幕一軍入りを果たしops.843を記録しブレイクを果たすも、その後は打撃不振に陥りレギュラー定着とはならず。2023年に打撃成績を持ち直しレギュラーに返り咲いた。

阪神タイガース

【総獲得WAR】33
【最高WAR選手】近本光司(24.1)
【寸評】外れ外れ1位で、社会人№1外野手近本光司を獲得。170センチ70キロと小柄ながら卓越したバットコントロールでヒットを量産する巧打者。アマトップクラスの俊足を生かした広い守備範囲も高評価。ドラフト直前の都市対抗で打率.524を記録し首位打者を獲得、実績も十分だった。プロ入り後は期待に違わず、1年目からレギュラーに定着。セ・リーグの新人によるシーズン安打記録を塗り替え、36盗塁で盗塁王に輝くなど、新人とは思えぬ活躍ぶりを披露。その後も走攻守三拍子揃ったリードオフマンとしてチームを牽引し、リーグ優勝・日本一の立役者となった。
3位指名で長打力と堅守が売りの即戦力内野手木浪聖也を獲得。大学時代は目立つ選手ではなかったがHonda入社後の打撃改造で身に着けた長打力と安定したスローイングが高く評価されていた。プロ入り1年目からレギュラーに定着。その後打撃成績が低迷しレギュラーを剥奪されるも、2023年に遊撃手のレギュラーに復活し、堅実な守備でゴールデングラブ賞を獲得。チームの優勝・日本一に貢献した。
6位指名の湯浅京己は、最速151キロの独立リーグ出身右腕。高校時代はベンチ外のバッティングピッチャーだったが、独立リーグ入りから、わずか1年で本指名を勝ち取った。プロ入り4年目の2022年にセットアッパーとして支配的な投球を披露。58イニングを投げ、防御率1.09という圧倒的な成績を残すと、日本代表入りを果たした。だが、2024年に国指定の難病である黄色靭帯骨化症に罹患。手術を受け、2025年の復帰を目指している。

千葉ロッテマリーンズ

【総獲得WAR】8.1
【最高WAR選手】小島和哉(5.4)
【寸評】3球団競合の末藤原恭大を獲得。181センチ78キロ、走攻守三拍子揃った強打の中堅手。高校3年時の夏の甲子園で3本塁打を放ち春夏連覇の原動力となった将来のスター候補。プロ入り後は打撃が伸び悩み、2023年に初めて100試合出場を果たすも、成績は平凡なものに終わっている。
3位指名の小島和哉は、175センチ76キロの小柄なサウスポー。最速147キロと球威は平凡も、打たせて取る投球術には優れる。プロ入り2年目から先発ローテに定着し、貴重な先発左腕として活躍。2021年、2023年は10勝を挙げ二桁勝利を達成した。
4位指名の山口航輝は、最速146キロの速球派右腕。高校2年時に右肩を脱臼して以降は公式戦登板なし。プロ入り後は高校通算25本塁打のパワーを買われ、即野手転向。2022年、2023年には2年連続で二けた本塁打を記録し、右の長距離砲としてチームに貢献している。

中日ドラゴンズ

【総獲得WAR】2.5
【最高WAR選手】勝野昌慶(2.6)
【寸評】4球団競合の末投手兼内野手の根尾昂を獲得。投手としては最速150キロ、野手としては高校通算32発のパワーを誇る。高い身体能力を生かしてプロ入り後は遊撃手に専念するも、結果が出ず2022年に投手転向。リリーフとして25試合に登板するも防御率3点台と結果を残せずに終わる。翌2023年には、1軍出場僅か2試合に終わりキャリアの岐路に立たされている。
2位指名の梅津晃大は、187センチ92キロ、最速153キロの大型右腕。大学時代にイップスを発症し、4年秋にようやくリーグ戦初勝利を挙げた苦労人。プロ入り1年目で4勝をあげ上々のスタートを切るも以降は右肘の故障に泣き、2022年にトミー・ジョン手術を受ける。2023年に復帰し3年ぶりの勝利を挙げた。
3位指名で高卒社会人の勝野昌慶を獲得。最速152キロの威力ある直球が魅力だが制球に難あり。2020年、2021年と2年続けて先発として一定の成績を残すも、2023年にリリーフ転向し支配的なリリーバーとしてチームを支えた。

オリックス・バファローズ

【総獲得WAR】11.6
【最高WAR選手】中川圭太(6.2)
【寸評】外れ1位で打撃・守備に定評のある素材型遊撃手太田椋を獲得。高校通算31発、広角に打ち分ける打撃技術も持ち合わせ、守備センスの高さも買われていた。プロ入り後は、高評価の守備面でミスが目立つも打撃成績は年々向上している。
2位指名の頓宮裕真は、大学通算14発の大型捕手。打撃は確実性に欠けるも逆方向に長打が打てるバットコントロールも備える。捕手守備はスローイングにやや難があり評価は低かった。プロ4年目の2022年に捕手・一塁手として11本塁打を放つ。翌2023年は一塁に専念し打撃が開眼、打率.307で首位打者を獲得した。
7位指名の中川圭太は、180センチ75キロ、強打の二塁手。プロ入り後は、内外野守れるユーティリティープレイヤーとして1年目からレギュラーに定着。チャンスに強い中距離打者としてチームを牽引し、リーグ3連覇に貢献した。

横浜DeNAベイスターズ

【総獲得WAR】11.6
【最高WAR選手】大貫晋一(8.3)
【寸評】1位指名の上茶谷大河は、最速152キロ、抜群の制球力を誇る即戦力右腕。プロ1年目から先発ローテ入りし24登板で7勝を挙げる。その後は怪我もあり低迷するも、2023年にリリーフ転向し好投を重ね、復活を果たした。
2位指名の伊藤裕季也は、182センチ95キロの大型二塁手。堂々たる体躯を生かした力強い打撃が持ち味。プロ入り1年目に21試合で4本塁打を放ち華々しいデビューを飾るも、その後はプロの壁にぶつかり、成績を維持できず、2022年途中、楽天へトレード。移籍先の楽天では、長打も打てる内野のユーティリティーとして一定の成績は残している。
3位指名の大貫晋一は、179センチ68キロの細身右腕。ストレートの最速は148キロと平凡ながら、卓越した制球力と多彩な変化球を駆使する技巧派投手。プロ1年目から先発ローテ入りし、6勝を記録。2年目の2020年には10勝を挙げた。その後も、先発ローテに定着し安定した投球を披露している。

北海道日本ハムファイターズ

【総獲得WAR】7.1
【最高WAR選手】万波中正(5.8)
【寸評】外れ1位で甲子園のスター吉田輝星を獲得。176センチ81キロと小柄ながら最速152キロの質のいい直球を投げ込む本格派右腕。プロ入り後は、リリーフとして起用されるも結果を残せず、2023年オフにオリックスへトレードとなった。
2位指名の野村佑希は、185センチ90キロの大型三塁手。高校通算58発、天性の内角捌きが魅力の強打者。2年生まで投手兼外野手だったが、3年生から投手兼三塁手へコンバート。プロ入り後は、2023年に13本塁打を放ち、結果を残すも守備難のためレギュラーに定着できずにいる。
4位指名の万波中正は、190センチ88キロ、高校通算40発の大型スラッガー。推定飛距離143mの特大ホームランを放つパワーが魅力だが確実性に難ありとの評価だった。プロ入り後は、4年目の2022年からレギュラーに定着。徐々に打撃の確実性を高め、5年目の2023年に25本塁打を記録。また、球界有数の強肩が評価されゴールデングラブ賞を受賞した。

読売ジャイアンツ

【総獲得WAR】11.2
【最高WAR選手】戸郷翔征(10.5)
【寸評】外れ外れ1位で、最速152キロ左腕髙橋優貴を獲得。高い奪三振能力が魅力で、所属する北東北大学リーグの通算奪三振記録を更新する一方、制球力には難ありとの評価だった。プロ1年目から先発ローテに定着し、3年目の2021年には11勝を上げるも、課題の制球力は改善されず、その後は精彩を欠くシーズンが続いている。
6位指名の戸郷翔征は、最速149キロの速球派右腕。高校3年時、宮崎県選抜代表として、U18日本代表との壮行試合に登板。独特な投球フォームで快投を演じ評価を高めた。プロ入り2年目の2020年から先発ローテに定着。高い奪三振能力とタフネスぶりを発揮し、2021年から3年連続で規定投球回を満たし、2022年には奪三振王を獲得。名実ともにエースとしてチームを牽引している。

福岡ソフトバンクホークス

【総獲得WAR】3
【最高WAR選手】甲斐野央(1.7)
【寸評】外れ外れ1位で、最速159キロの速球派右腕甲斐野央を獲得。186センチの長身から威力ある直球と落差のあるフォークを投げ込む。高校時代は三塁手がメインで大学から投手に専念。3年秋に、最優秀投手に輝いた。プロ入り後は1年目から65試合に登板。2年目の2020年に右肘を故障し長期離脱。2021年に復帰後は最速160キロの速球を生かしリリーフとして活躍している。
2位指名の杉山一樹は、身長193センチ、最速153キロの大型右腕。制球に難ありもスケールの大きな素材型投手。プロ入り後は球速が最速160キロまで向上しポテンシャルの高さを見せるも、怪我もあり中々結果を残せずにいる。
4位指名で高卒社会人右腕板東湧梧を獲得。181センチ、76キロの長身細身体型で、ストレートの最速は148キロ。「甘いマスク」と完成度が魅力の即戦力右腕。2年目の2020年からリリーフとして起用、2022年途中からは先発も任され、2023年途中からは先発ローテに定着している。

東京ヤクルトスワローズ

【総獲得WAR】0
【最高WAR選手】清水昇(2.8)
【寸評】外れ外れ1位で清水昇を獲得。180センチ80キロ、最速151キロの即戦力右腕。制球もまずまずで完成度が高く試合を作れる投手として高評価。2年目の2020年からリリーフに専念。2021年は72試合に登板しNPB記録の50ホールドを達成し日本一に貢献。2022年には50登板で防御率1.16、被本塁打僅かに1本と圧巻の成績を残し、チームの2年連続リーグ優勝を牽引。2023年も56試合に登板し、4年連続で50登板以上を記録し、タフネスぶりも発揮している。
2位指名の中山翔太は、186センチ95キロの一塁手兼外野手。大学通算11本のパワーが魅力の和製大砲候補も、外野守備は難あり。プロ入り1年目に35試合で5本塁打、2年目の2020年も月間代打本塁打3本を記録するなど印象的な活躍を見せるも、その後は鳴かず飛ばずで、2022年オフに戦力外。現在は、オイシックスに所属している。

埼玉西武ライオンズ

【総獲得WAR】3.1
【最高WAR選手】松本航(2.8)
【寸評】単独1位指名で松本航を獲得。176センチ85キロ、最速155キロの速球と多彩な変化球が武器の安定感抜群の即戦力右腕。プロ入り1年目から先発ローテに定着。3年目の2021年には10勝を挙げるなど、入団以来、投手陣を支えている。
2位指名の渡邉勇太朗は、190センチ90キロ、最速149キロの素材型右腕。恵まれた体格と柔らかい投球フォームが高く評価されていた。プロ入り後は3年目の2021年に4勝を挙げるも、その後は鳴かず飛ばずに終わっている。
6位指名の森脇亮介は、174センチ66キロと小柄ながら最速152キロの速球を投げ込む右の本格派。プロ入り時点で26歳と遅咲きということもあり、プロ1年目から1軍で登板。2年目以降は安定感のあるリリーフとしてブルペンを支えたが、2023年途中に「右上腕動脈閉塞症」を発症し長期離脱。2023年オフに育成契約となった。
7位指名の佐藤龍世は、174センチ80キロの小柄な三塁手。大学3年春に首位打者を獲得した打撃と強肩が売りの打撃型内野手だが、突出した能力がなくドラフト前の評価は低かった。プロ入り後は、結果が残せず、日本ハムへトレードされるも、西武へ出戻った2023年にプチブレイク。規定不足ながら出塁率.390を記録した。

広島東洋カープ

【総獲得WAR】6.1
【最高WAR選手】小園海斗(4.7)
【寸評】4球団競合の末小園海斗を獲得。身体能力抜群で走攻守三拍子揃った遊撃手。プロ入り後は、3年目の2021年からレギュラーに定着。出塁率は低いが、高い打撃技術でヒットを量産するスタイルで打線の中軸を担っている。
2位指名で最速152キロ右腕島内颯太郎を獲得。大学時代は右肘の故障などもあり、登板機会は少ないものの、4年秋に5勝を挙げベストナインに輝き評価を高めた。プロ入り1年目からリリーフとして1軍登板。3年目の2021年に51登板。2023年は62登板し、リーグ最多の39ホールドを記録し、ブルペンを支えた。

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