【NPB】WARで振り返る2019年ドラフト会議(12球団別)
2019年ドラフト
東京ヤクルトスワローズ
【総獲得WAR】5.3
【最高WAR選手】奥川恭伸(2.6)
【寸評】3球団競合の末奥川恭伸を獲得。最速154キロの速球と切れ味鋭いスライダーが武器の本格派右腕。3年夏の甲子園で準優勝投手となり全国的な人気を得た。プロ2年目の2021年に中10日ながら先発ローテに定着し9勝を挙げ、チームの優勝・日本一に貢献するも、以降は右肘の故障により、ほぼ投げられていない。
2~4位指名で即戦力の大卒右腕を獲得。2位の吉田大喜、3位の杉山晃基は、2023年オフに戦力外。4位の大西広樹は、リリーフとして、2022年から2年連続で40試合以上に登板しブルペンを支えている。
5位指名の長岡秀樹は、175セント74キロの小柄な遊撃手。俊足を生かした守備と、広角に打ち分ける打撃が持ち味。プロ入り3年目の2022年から遊撃手のレギュラーに定着。2022年には球団最年少でゴールデングラブ賞を受賞した。
オリックス・バファローズ
【総獲得WAR】12.5
【最高WAR選手】宮城大弥(10.7)
【寸評】外れ外れ1位で宮城大弥を獲得。173センチ70キロと小柄ながら最速149キロの速球を投げ込む本格派左腕。プロ入り2年目の2021年から先発ローテに定着し、2023年まで3年連続で規定投球回・二桁勝利をクリア。エース級の活躍でチームのリーグ3連覇に貢献した。
2位指名の紅林弘太郎は、高校通算40発のパワーと強肩が魅力の大型遊撃手。3年目の2021年から遊撃手のレギュラーに定着。2023年は打撃成績が向上し、ベストナインを受賞した。
中日ドラゴンズ
【総獲得WAR】7.7
【最高WAR選手】岡林勇希(6.5)
【寸評】3球団競合の末石川昂弥を獲得。185センチ87キロ、高校通算55発の大型三塁手。3年春には投手として選抜甲子園に出場し3本塁打を放ち優勝を果たした。プロ入り後は度重なる怪我もあり成績を残せなかったが、4年目の2023年には121試合に出場し13本塁打を放った。
2位指名の橋本侑樹は、最速152キロの速球派左腕。球持ちの良さと多彩な変化球が高評価も制球には難あり。プロ入り後は左のリリーフとして活躍。2023年はわずかな登板機会ながら防御率1点台と好成績をおさめた。
5位指名の岡林勇希は、最速153キロの速球派右腕。プロ入り後は俊足と強肩を生かすため、外野手へ転向。3年目の2022年からレギュラー定着すると最多安打のタイトルを獲得。2023年は全試合に出場し若くして、チームの中心選手へと成長した。
北海道日本ハムファイターズ
【総獲得WAR】1.2
【最高WAR選手】河野竜生(1.6)
【寸評】外れ1位でアマ№1左腕河野竜生を獲得。ストレートの最速は151キロ、変化球のキレ、制球も良く、総合的な完成度の高さが売り。プロ入り当初は先発での起用がメインだったが、結果が出ず、2022年途中からはリリーフに専念。2023年にはセットアッパーとして防御率1点台の活躍を見せた。
2位指名の立野和明は、181センチ78キロ、最速152キロの本格派右腕。2年目の2021年に10試合に先発登板し4勝を挙げるも、その後は成績を残せず、2023年オフに戦力外となった。
4位指名の鈴木健矢は、176センチ82キロの小柄なサイド右腕。最速147キロの直球とスライダーが武器。プロ入り後はロングリリーフやスポット先発など、チーム事情によって様々な場面で起用される便利屋として活躍。2023年には12試合に先発し、6勝を挙げた。
広島東洋カープ
【総獲得WAR】10.3
【最高WAR選手】森下暢仁(10.2)
【寸評】単独1位指名で大学№1投手森下暢仁を獲得。最速155キロの直球と130キロ台のカットボールで打者を打ち取る本格派右腕。競合必至とみられていたが広島が単独指名に成功。プロ入り1年目から先発ローテに定着し10勝を挙げ新人王を獲得。その後もエースとしてチームを牽引している。
2位指名の宇草孔基は、185センチ83キロの大型外野手。俊足かつ長打力も備え、ポテンシャルを高く評価されていた。プロ入り後は2年目の2021年に一定の成績を残すも、その後は成績を維持できずにいる。
6位指名の玉村昇悟は、最速147キロの素材型左腕。制球・球持ちの良さが高評価。2年目の2021年に先発ローテに定着し4勝を挙げるも、その後は不安定な投球が続き結果を残せていない。
千葉ロッテマリーンズ
【総獲得WAR】14.9
【最高WAR選手】佐々木朗希(11.6)
【寸評】4球団競合の末ドラフト最注目の佐々木朗希を獲得。190センチ86キロ、ストレートは歴代高校生最速の163キロ。高校生時点でワールドクラスの注目を浴びていた「令和の怪物」。夏の甲子園予選決勝にて登板回避したことも話題を呼んだ。プロ入り2年目の2021年に1軍登板デビュー。3年目の2022年には13者連続奪三振と完全試合を達成。2023年は怪我により登板機会こそ減ったものの、球界№1といっていい投球を披露した。
2位指名の佐藤都志也は、強肩強打俊足の打撃型捕手。地肩は強いが送球精度に若干の難があり日米大学野球では主に外野手として起用されていた。プロ入り3年目の2022年に捕手・一塁手としてレギュラーに定着。2023年は捕手併用の一角として起用された。
俊足巧打の外野手髙部瑛斗を、3位指名。俊足かつバットコントロールに優れた1番打者タイプ。3年目の2022年にレギュラー定着し、44盗塁。盗塁王に輝いた。翌2023年は度重なる怪我で1軍出場無しに終わった。
阪神タイガース
【総獲得WAR】0.1
【最高WAR選手】西純矢(0.6)
【寸評】外れ1位で最速154キロ右腕西純矢を獲得。佐々木、奥川の陰に隠れるも、素材は一級品で、スライダーのキレが高評価。プロ入り3年目の2022年に6勝、2023年には5勝をあげている。
2位指名の井上広大は、187センチ94キロの大型外野手。高校通算49発、夏の甲子園で3本塁打を放ち、優勝の原動力となった甲子園のスター。プロ入り後は鳴かず飛ばずで、一軍で成績を残せずにいる。
3位指名の及川雅貴は、183センチ74キロ、最速153キロの速球派左腕。ポテンシャルは高評価も投球の不安定さや、制球力が課題とされていた。プロ入り後は主にリリーフとして起用され、まずまずの成績を収めている。
東北楽天ゴールデンイーグルス
【総獲得WAR】9.6
【最高WAR選手】小深田大翔(7.8)
【寸評】外れ1位で小深田大翔を獲得。168センチ67キロの小柄な遊撃手兼三塁手。俊足と広角に打てるシュアな打撃が売りの選手で即戦力として期待されていた。プロ入り1年目から二遊間のレギュラーに定着。その後も非力ながら一定の打撃成績を残しつつ、俊足を生かし2023年には盗塁王にも輝いた。
2位指名の黒川史陽は、バットコントロールに優れた素材型二塁手。プロ入り後は芽が出ずにいる。
6位指名の瀧中瞭太は、大卒社会人3年目の即戦力右腕。制球重視、変化球主体の軟投派。プロ入り2年目の2021年に先発ローテに定着し10勝を上げるも、その後は成績を維持できずにいる。
横浜DeNAベイスターズ
【総獲得WAR】1.1
【最高WAR選手】伊勢大夢(3.9)
【寸評】走攻守三拍子揃った遊撃手森敬斗を単独1位指名。175センチ75キロと小柄ながら抜群の身体能力と強肩を備えたポテンシャルの高い選手。プロ入り後は、打撃面で苦しみ1軍定着できずにいる。
2位指名の坂本裕哉は、最速148キロ、制球力抜群の技巧派左腕。プロ1年目から先発ローテに定着するも、成績は奮わず、その後は主にリリーフとして起用されている。
3指名の伊勢大夢は、最速151キロのスリークォーター右腕。ほぼサイド気味のアームアングルから威力ある直球とスライダーを投げ込むパワーピッチャー。プロ1年目からリリーフとしてフル回転し、2022年には71試合に登板し防御率1点台と、圧倒的な成績を残した。
福岡ソフトバンクホークス
【総獲得WAR】7.6
【最高WAR選手】柳町達(4.3)
【寸評】外れ1位で強肩強打俊足の社会人外野手佐藤直樹を獲得。守備はプロ級との評価も、打撃の確実性が課題とされていた。プロ入り後は、課題の打撃が一向に改善されず2023年オフに戦力外となり育成選手となった。
3位指名の津森宥紀は、最速149キロのサイド右腕。大学3年生時は、全日本大学野球選手権大会にて最優秀選手賞を受賞するなどドラフト上位候補だったが、大学4年時に不調に陥り評価を落とした。2年目の2021年からリリーフとしてフル回転。2022年にはオールスター出場を果たした。
5位指名の柳町達は、高いコンタクト能力を誇る中堅手兼三塁手。大学1年から、中堅手のレギュラーを務め、通算113安打を記録したヒットメーカー。線が細く一発長打を期待できるタイプではないが、広角に打ち分けるバットコントロールが高く評価されていた。プロ3年目の2022年から左翼手のレギュラーに定着。外野の層が厚いチーム事情もあり規定到達は一度もないが、強力打線の一角としてチームを支えている。
育成2位指名で186センチ95キロの大型左腕大関友久を獲得。地方リーグかつ、大学時代の成績も突出したものではなかったため、調査書が届いたのはソフトバンクのみだったという。2年目の2021年に支配下登録を果たすと、3年目の2022年は先発ローテに定着し2度の完封を含む7勝を挙げる。その後、腫瘍摘出手術を乗り越え、2023年も先発投手として活躍しチームを支えた。
読売ジャイアンツ
【総獲得WAR】-0.1
【最高WAR選手】井上温大(0.4)
【寸評】外れ外れ1位で最速151キロの素材型右腕堀田賢慎を獲得。185センチ80キロの長身から投げ下ろす直球が最大の武器。2年生の冬から体重を増やし、球速が+13キロアップするなど、伸びしろを感じさせる逸材。プロ入り後は、1年目にトミー・ジョン手術を受け育成落ち。2022年に復帰するも、その後は鳴かず飛ばずに終わっている。
4位指名の井上温大は、最速144㌔の素材型左腕。球持ちの良さとバランスのとれた投球フォームの評価が高かった。プロ2年目の2022年に左肘の手術を受け育成落ち。2022年に支配下に復帰するも結果を残せずにいる。
埼玉西武ライオンズ
【総獲得WAR】-2.4
【最高WAR選手】宮川哲(0.2)
【寸評】外れ1位で即戦力右腕宮川哲を獲得。最速154キロのキレのあるストレートと、カットボール、フォークを織り交ぜた完成度の高いピッチングが武器。プロ入り後は、リリーフに転向し3年目の2022年には45試合に登板し防御率2.59と活躍。4年目の2023年に先発再転向するも、結果を残せず、2023年オフにヤクルトへトレードとなった。
2位指名でこちらも即戦力候補のスリークォーター左腕浜屋将太を獲得。175センチ77キロと小柄ながらキレのあるストレートとスライダーで三振を奪う貴重な左腕。プロ入り後は、主に先発投手として起用されるも結果を残せずにいる。
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