夢のかけらを 永久にちりばめ
今日は何も予定がない。
マルシェ準備で寝不足だった昨夜は11時前に就寝し、今朝は8時近くに起床した。
単純に9時間寝た計算になるが、実際には1時と3時に目を覚まし、特に2度目は明け方まで眠くならず、目だけ閉じて音楽を流し続けていた。
「睡眠」といえるのは、せいぜい4~5時間程度。それだっていつもよりは寝れた感じだ。
ここ数年、朝を快眠ですっきり迎えた記憶がない。原因は運動不足と加齢によるところが多いと予想もつくし、さして気にせず過ごしている。
目覚めた時の爽快感は皆無で、頭がボーッとし続け、エンジンがかかるまでに数時間を要する。
いつもやたらと夢をみる。というか、夢を何度もみた自覚があるという表現の方が、正しいようだ。
睡眠の質が、よろしくないということだろうか。
人はレム睡眠とノンレム睡眠の両方で、夢を見ているそうだ。
通常、レム睡眠とノンレム睡眠のサイクルは一晩に4〜5回起こるとされていて、正常な睡眠リズムであれば、レム・ノンレム合わせて最大8〜10回ほどの夢を見ているという。
そこまでの記憶はないな。4〜5回ならざらだが。
「今日は夢を見なかった」「普段から夢を見ない」の違いは、単に「見た夢を覚えているかどうか」というわけだ。
夢を見ている時は起きている時と比べ、記憶を固定する神経伝達物質があまり分泌されない。
レム睡眠時に見た夢は、その後にノンレム睡眠がやってくると忘れてしまうという特性もそこに重なる。
見た夢を記憶として残しておくのは、そもそも難しいということだ。
では、レム睡眠とは何だろう。
瞼の裏で左右に眼球が動く「急速眼球運動(Rapid Eye Movement)」の現象から、頭文字の「REM(レム)」をとってレム睡眠と呼ばれる。
レム睡眠中の脳波は、起床時や浅いノンレム睡眠時の脳波の動きと似ているために、「浅い睡眠」とされてきた。
ところがレム睡眠中は、外部からの刺激を遮断する機能が働いているため、ちょっとした物音で簡単に目が覚めるということがない。
一方、身体は全身の筋肉が弛緩して休んでいる状態で、力が入らず動かなくなる。そのためレム睡眠は、「身体を休めるための睡眠」と考えられている。
全身に力が入らない「レム睡眠」中に脳だけが覚醒し目覚めてしまう、つまり身体は動かず脳は起きているという状態になることがある。
これがいわゆる、「金縛り」とよばれるものの正体だ。
レム睡眠中は呼吸や心拍数・血圧などの身体機能が不規則に変化することも、特徴の一つになる。
レム睡眠には考えをまとめたり、記憶を整理し定着させたりする重要な役割があるとされる。
ここで言う「記憶」とは知識に関するものだけではなく、各種スポーツのテクニックや楽器の演奏、作業等の技能に関する「記憶」が含まれる。
レム睡眠中は扁桃体(感情の処理に関わる脳の一部)が活性化することから、感情やそれにまつわる記憶の処理を行なわれる。
レム睡眠の間は明晰な夢を見るが、これは記憶や感情の処理といった脳の強い活動の過程が、脳内イメージとして現れるからだと考えられている。
僕の場合、現役中は夢でうなされることがよくあったようだ。自覚はまるでないのだが。
今だと、具体的内容は別にして不快な夢をみたという感覚がほとんどない。
むしろ最初の夢から目覚めその続きがみたくなり、意識しながら二度寝することでその通りになっていたりする。これなど、眠りが浅いことの効用かもしれない。
自分が夢を見ていることを自覚して夢の展開をある程度コントロールできる、あるいはそれが夢であることを認識しつつ、その成り行きを観察できるような夢のことを「明晰夢」と呼ぶそうだ。
明晰夢を見る人は意図的に悪夢に介入し、別の結末に修正できることまであるという。
ホンマか!そこまでいけばまさに、「夢よ醒めるな」の気分だぞ。
明晰夢を極めることは、もしかしたら快眠復活への第一歩かもしれない。少なくとも悪夢でギャッ!と飛び起きるより、精神衛生上はるかによさそうだ。
夢のかけらをせめて心に、永久にちりばめようじゃないか。
イラスト Atelier hanami@はなのす