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〜虎に翼〜航一さんが抱えていたもの

どうも。
こりーぬ、です。
初めての方も、また読んでくださってる方も
ありがとうございます。

今週もはじまっちゃったけど、
とりあえず、先週の話をまとめて。

先週は、まず朝鮮人の男性が
放火の嫌疑をかけられ、
その裁判がありました。

朝鮮人は日本で生きていくにあたり、
なかなか良い仕事には雇って貰いにくくて
自分で遊戯場などを経営するようになりがち。
しかも、日本人からは見下された扱いを
されやすい。

この事件も、経営がうまく行っていないから
直前に入った保険金目当てで
自分の店に放火したのだろうということの
他にも
色々な事が重なって被告人となっていた。

この裁判は、進んでいくうちに
被告人が留置場から弟に出した手紙が
証拠として提出される。
朝鮮語から日本語に翻訳されたものが
読み上げられると、
自分が「完全に中を燃やしてしまった」から、
こんなことになってすまないという内容だった。

被告人の顔は諦めたような表情で、
弁明はなかったのだけど、
それを不審に思った寅ちゃんは
意を決して朝鮮人である崔さん、
いえ、今は香子ちゃん、
に手紙を書くのです。

実は三条支部で事務員として働いてる小野さんが
朝鮮人と婚約したものの
周囲の大反対の末、
婚約を解消した、という過去を持っていた。
今回の裁判も、
自分の選択が本当に正しかったのか、
この苦しい気持ちが、
周りの人の言う普通が「おかしい」
と言う寅ちゃんが担当する裁判を傍聴したら
何か変わるのではと
仕事を休んで傍聴したりしていました。

翻訳に不信感を持つ寅ちゃんが
「燃やす」という朝鮮語を書いて欲しいと
この女性にメモを書いてもらい、
夫妻で新潟まで来てくれた香子ちゃんに
この手紙を翻訳して欲しいと、
日本語で読み上げてもらうのです。

すると、件の箇所は燃やしてしまったという
意味ではなく、直前の語と組み合わせると
「気を揉ませる」という慣用句になり、
裁判で提出されたのは誤訳だった
ということがわかったのです。

裁判でこの被告人を弁護していたのは
杉田弁護士たち。

寅ちゃんは裁判長である航一さんに相談し、
弁護人と検察へ
異例ながら意見を求めることに。
弁護人の杉田兄弟に、自白の証拠として
提出された手紙の翻訳の正確性について
意見を求め、裁判の中で誤訳を主張。

その他の証拠とされていたものも
証拠能力が不十分とされ、
この朝鮮人の男性は無罪を言い渡された。

そして、この冬一番の雪が積もった日。
新潟地方裁判所まで
杉田兄弟が
雪の中わざわざ出向いてきていた。
控訴の申し立て期限が昨日だったため、
気になって確認しに来たのだという。

寅ちゃんが、検察からの申し立ては
出ていないと伝えると、
「じゃあ、無罪確定ですな(ニヤァ)」
「あの兄弟はしょっちゅう隣近所と
諍いを起こしていたから、
あの火事も周囲の誤解を招いたんでしょう」
「とにかく火事で犠牲者が出なくて
済んでよかった」と晴れやかな顔で、
二人仲良く去っていくのでした。

そして、寅ちゃんは窓の外の雪を眺めながら
「お腹空きましたね」と、
これまでなんとなく小生意気だった
若い裁判官の入倉を、
奢るから一緒に食べに行きましょう
とご飯に誘うのです。

そして、寅ちゃんと航一さんが、
彼を引き連れて雪の中をLight houseへ行くと
杉田兄弟もハヤシライスを食べていて、
奇しくもみんなで語り合うことに。

入倉は寅ちゃんに説教されると
思っていたようだけど、
寅ちゃんとしてはそんなつもりはなく、
なんだか苦しそうな顔をしていたから
誘ったのだという。

入倉は、初対面から冷めた態度の若者で、
(直言役の岡部さんの実の息子さん!)
今回の裁判でも、どうせ被告である
朝鮮人がやったんだろう、と
寅ちゃんが手を尽くそうとするのを
なんとも訝し気に見ていたのだけど、
誤訳のことや、証拠品が検察の思い込み
に近い形にだったのが判明したことで、
自分の見方が間違っていたことに
気づいたようだった。

それでも、彼が苦しそうだったのは、
被告人の弟が、判決文を読み上げられた時に
憎々し気にこちらを睨んでいたこと。
自分は何もしていないし、
彼らに対して思うところはなかったにも関わらず
街中であう朝鮮人たちも皆、日本人というだけで
自分に突っかかってくるような態度を見せる。
こちらも嫌な気持ちになるし、
そう思わざるを得なくなってくることが
要因だったよう。

それは、異国人として
色眼鏡で見られ、何かにつけて
不利な状況にさせられる経験を重ねた
彼ら朝鮮人が、
日本人全般に対して敵意を持っても
仕方がないほどに積もったものだったのだろう。

関東大震災の時のことにも
ドラマ内でも少し触れられている。
航一さんは40過ぎ位の設定っぽいけど
寅ちゃんは微かに記憶にある程度の
大正12年の関東大震災。

この時、朝鮮人が井戸に毒を入れた
といった流言飛語が瞬く間に広がり、
罪のない朝鮮人が何人も殺されたことを
まだ若い入倉は知らなかった。

寅ちゃんは、寅ちゃんで
憲法14条の平等の意味を考えてしまっていて、
それでも少しでも進まなくてはと思う、
ということをぽつぽつと語る。

でも、杉田兄は
ご立派だけども、そんなことを考えられるのは
学があるか、余裕があるかのどちらかだ。
憲法が変わったのだから変われ!
と言われても、戦後10年も経っていない
世の中で、受け入れられない人も多いのでは、
と言うのだ。

杉田兄が麻雀大会で号泣していたシーンが
挟まり、航一さんが
「『ごめんなさい』。
僕に言えるのはこれだけです」
と、うっかり自分のことを
語り始めることになってしまう。

彼は戦前、内閣直轄の
『総力戦研究所』にいた。
これは30代の若手エリート達が集められ、
日本が米国と戦争をした場合を
さまざまに検証するというところで、
実在していた秘密の研究所。

彼らは机上演習を繰り返すが、
何度やっても
資源の自給率の低さ等から
日本の敗戦という結果になった。

それを政府に進言するも、
この結果はあくまで机上演習であり、
政府の方針とは何ら係わりはないとされ、
口外を禁じられて研究所は解散。

戦争は始まり、
原爆投下までは
さすがに予測できなかったものの、
机上演習をなぞる様に戦争は進んで
敗戦を迎えた。

敗戦を予測しておきながら
開戦を止められなかった責任を感じ、
誰にも裁かれないまま罪を背負っている
と思っている。

航一さんが、
麻雀大会の席で優未ちゃんを見て
孫娘を思い出して号泣してしまった
杉田兄を抱きしめながら、
ごめんなさい、を繰り返したのは
自分がその研究に関わっていながら
戦争を止めることができなかったのを
とても悔やんでいたからだったのだ。

そして、戦争のせいで
病気の妻にも満足な治療を受けさせてやれず
死なせてしまったことも
彼の後悔に拍車をかけていた。

杉田兄も、涼子様も、
その場にいたみんなが
航一さんのせいではないと
心から言い切ってくれた。

でも彼は、言われたとおりに
しただけだからといって
誰にも裁かれない罪を抱えたままの
そんな自分を信じられないし
何かを変えられるとは思えない。
だから、大事な人を失ってしまった人に
謝ることしかできないと言う。

それでも、子どもを育てきるために
裁判官は続ける、と。
自分を信じられなくても
法律は信じられるから。

杉田兄も、布団に入ると
なぜ娘や孫が死ななければならなかった
という言葉がぐるぐると回ると言った。
でも、誰を恨んだって二人は帰ってこない。
お前さんは十分苦しんできた。
だから、もう謝ることはない。
そんな風に航一さんに声をかけた。

この新潟の空襲が酷いものだったというのは
あまり知られていないかもしれない。
長岡の花火大会が8/2に開かれるのは、
この慰霊のためだというのを
私も今回知りました。

航一さんは、洟を啜りながら
外で頭を冷やしてきますと店を出る。

そこで、寅ちゃんが
後から外に出て、航一さんに声をかけるのです。
「航一さんの抱えているものを
私にも分けてください。
あなたが抱えているものは誰しもに
何かしらの責任があることだから
寄り添って一緒に藻掻きたい。
少しでも楽になるなら……」
それを聞いて、しゃがみ込んで泣く彼の
背に手を置いて摩り、寄り添うのですよ。

空の色が、曇天から晴れ間が覗いてくる
そんな演出で、航一さんの苦しみが
少し軽くなったような、
そんな気にさせてくれる
素敵なエンディングでした。

本当にね、寅ちゃんって
天然のタラシだよね。
あなたの苦しみを私にも分けて、なんて
この人、航一さんのこと
この時点ではたぶん、
そこまで明確に恋心を抱いて言っている
わけではないのよ。

これまでの、
ハヤシライスの
「誘ってくださってるの⁈」とか、
いつぞやの星長官の本の監修が終わって
「終わってしまうのはさみしい」とか
↑これなんか、ほぼ二人っきりでやってたから
自分と会えなくなるのを寂しいと
思ってくれてる?と勘違いしそうになるわ!

どれもこれも、純粋に、
おすすめを教えてくれたから、
ハヤシライス美味しそう、
本のチェックが楽しくて終わるの寂し~、
という寅ちゃんの思いから
言葉を発しているだけ。

寅ちゃんの机上に麻雀の本が置いてあったから
麻雀が好きなのかと思った航一さんは
恐らく半ばウキウキしながら
自分も好きな麻雀をネタに話ができる、と
思っていたに違いない。

でも実は、寅ちゃん、
あんまり仲良くできてない
杉田兄弟弁護士との距離を詰めたいから
麻雀大会に参加したくて、
とりあえずルールを覚えるところから
始めようとしていただけだった、
というのがわかって、
ちょいテンション下がってた(と思う)のとか
なんだか可愛かったし。

もーう、罪な女だね!
思えば優三さんの時もそうだったわ。
全然そんな気ないのに
自分のこと好きなのかと思わせるその態度。
でも、全く嫌な感じじゃなくて
カラッとしてるところが
寅ちゃんの魅力なんだよねー

なんか、めちゃ長くなってしまった。
ここまで読んでくださった方、
ありがとうございます!

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