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辞書の序文。
noteの扱いに未だ未だ不慣れである。運営殿から次月前に留保記事完結をやんわりと促すメールが来た。…違うのだ。あれらは自動保存機能が作る親切ゾンビである。軽く10ゾンビは超えている。迂闊に触ると生存記事を誤消去しそうで恐々消しているが気付くと増殖しているのだ。やれやれ困ったな(笑)
自分が有する言葉の少なさを如何はせむと辞書の通読を始めた矢先に小西甚一著「新装版 基本古語辞典」(大修館書店)に出逢った。「本当に使える辞書が欲しい」と高校生受け持つ先生方に請われ辞書作りに着手したとする文学者・小西先生の序文が嘉い。改訂の度に新たな序が加わるだが乃公出でずんば的な熱量の逓増に惹かれて即決購入してしまった。用例の引き方が巧く出典に興味津々となる。また訳し方の匙加減が出しゃばらず絶妙である。別の古語辞典で同じ言葉を幾つか比較してみたが実に正当だが読者を古典の門前に誘う面白さは弱い。──僕は辞書は読み物だと考える変わり者なので批評としては甚だ不当であろうが辞書としての機能は充分認めているのだから赦し給え。
序文と言えば新村出編「広辞苑」(岩波書店)も静かな情熱の炎揺れる美しい文章である。残念ながら(アプリ版は不明だが)電子辞書では割愛されている。早川東三・伊藤眞・Wilfrid Schulte著「初心者に優しい独和辞典」(朝日出版社)は「まえがき」から「この辞書の使い方」まで一貫して学ぶ者を軽妙に鼓吹する。何だか不思議と出来そうな気がしてくる。そして気持ちに実力が伴えば最高なのだがと自嘲する。──兎角《とかく》、序文(跋文共)は読み飛ばされ勝ちだが隠れた名文が多いので是非、折に触れていただければ本好きとしては欣快である。