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妻の味方になるということ

結婚したての二十代終わりごろ、夫婦喧嘩が絶えなかった。

恋愛時代と結婚してからの妻の主張が明らかに変化していた。
「結婚したからこそ、これからはハッキリ言いたい。」と妻は訴える。
男からすれば「そんな話は聞いてない!ダマされた!」と本気で後悔する。恋愛時代は私主導でものごとが動いていたため、その環境のまま、ただ一緒に過ごすのが「結婚」だと疑わなかった。

幾度かの喧嘩を乗り越え、「なぜそれを結婚前に言ってくれなかったのか。言ってくれれば納得できていた。」という男の思いと、「これから過ごすなかでルールが決まっていくんでしょ。」という女の思いをそれぞれが理解しようと歩み寄る時間があって、いつしかあの頃のような猛烈な言い争いはなくなっていた。

私の記憶では、沢山の不満を解決する、歩み寄ることは難しいという結論に達し、「ヒステリーにならないでほしい」という男の主張と「投げやりな言葉を口にしないでほしい」という女の主張をお互いが心にとどめ過ごすことで少し明かりが見えてきたような気がする。
結局お互いが求めたものは、日ごろ主張しあう生活のルールなどではなく、喧嘩に至るきっかけとなる感情をコントロールしてほしいという思いだった。

男は理論的にものごとを考える。
妻がその日に起こった出来事で嫌な気持ちになったことを訴えても「それは違うと思うよ。こうすることが正しいし相手はここが嫌だったかも。。」などと正解を口にするのだ。男というものは。

ある時、妻が同じように理論的な回答を聞かされたあと、半べそをかきながら「そういうときは私の味方になってよー。正しい答えが欲しいんじゃないよ。一緒になってあの人嫌な人だねーって言ってほしいの。」とすがるような言葉を言ってきた。
これまでの分かり合えない喧嘩の時間とは違う、スッと理解できる言葉だった。

それ以降、私は妻の嫌な気持ちになったお相手の話には完全肯定で「ほんと嫌だよねー」と言えるようになり、「なんだ、こんな簡単なことだったんだ。」と思えるようになった。

ただ思うのは、ヒステリックに主張されたり喧嘩腰だったり、なんでわからないの?のような会話では男は変わらないんだろうと。
半べそをかきつつ、すがるような言葉だったからこそ気づいたんだろうと思う。

やっぱり感情コントロールは大事ですね。
とかいう我ら夫婦はセックスレスで、また違う問題を持ってはいるのですが。。

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