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読書感想『小説』野崎まど
この小説は、昨年末くらいに読了。
年末バタバタしていて、感想を記録できていなかった。(本を読む時間はあるけれど…)
けんごさんが、Youtubeで本作を紹介しているのを見て読みたいと思った。その同じタイミングで、野崎まど作品を大好きな長男がこの本を買ってきた。
著者の作品は、『タイタン』と短編しか読んだことがない。
『タイタン』は読み応えがあった。SFの設定に慣れていないわたしでもとても面白く読めた。
短編は、「小説家になろう」ではなく「お医者さんになろう」というWEBの世界があるナンセンスな設定の物語だった。野崎まどさんは、自分が読んだことのないタイプの切り口の小説だったので、新鮮に感じた。
『小説』は、とても面白かった。わたしは、主人公が本を読むことの意味を突き詰めて考えるシーンを読んでドキッとした。
わたしは自分のことを本好きだと自認しているけど、そもそもスタートはなんだったんだろうと思い返した。
「親が褒めてくれるから」「賢くみられたいから」、そんな純粋でない理由が本当はあった。そして、本を読んで知識を得ることで、自分の劣等感を克服して、他者より強くなりたいと武器を身につけるような感覚をどこかで持っていた。
この小説は、内面を深く深く掘って、突き詰めて探って行く話だと感じた。
そのため、先日この小説が本屋大賞にノミネートされたのを知った時、少なからず驚いた。もちろんエンターテイメントとして楽しめる作品だとは思うけれど、割と屈折した人に受け入れられやすいのでは、と考えててしまったから。読書しながら読書について考えさせられる珍しいタイプの作品だと思った。