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『正体』染井為人
映画化で話題なのと、知人が好きな作家さんだと言うので、初めて染井為人さんの作品を読んでみた。
少年死刑囚が脱獄し、潜伏先で様々な人たちと関わり合う。
短期間の中でも、その少年と関わり合った人たちは、少年の優しさ、思慮深さに触れ、本当に少年が残忍な犯罪を犯した人物と同一人物なのか迷う。
その少年の「正体」とは。
警察の強引な手口、権力を持つ機関が間違いを認めようとしないこと、デジタルタトゥーの恐ろしさが描かれている。
わたしは、Youtubeなどのネット映像や、マスコミの持つ影響力によって、事実が捻じ曲げられる恐ろしさが印象に残った。
人は、分かりやすく噛み砕かれた、咀嚼しやすいもの、理解しやすいものを好む傾向がある。人は、煩雑は日常に消耗し、楽な方に流され、難解な思考を停止してしまう時がある。
マスコミの報道は、視聴者の興味に訴えるため、視聴率を稼ぐため、時として丁寧に事実を伝えない。また、誰でも発信できる現代において、「切り取り」や「ショート動画」として、物事を単純化して伝えたり、インプレッション稼ぎのために、扇状的なサムネイルをつけたりする。
それを見て、人は事実を理解したつもりになり、その誤った情報をリツイート、共有するのだ。事件とエンターテイメントの境界が曖昧になっている。
正しい情報を得ようとする時、ある程度まとまった時間が必要だ。
わたしは、正しい情報・知識を得る媒体として、やはり本の持つ力を信じたい。
安易な情報に流されず、確かな情報かを確認し、間違った認識をたないようにしようと考えた。