雨の日には思い出して
雨の日は私を思い出せばいい。
私は雨の日が好きだ。それを話した相手がいて、彼も雨の日が好きだと話してくれた。だから会えない日に雨が降ると、どちらからともなくちょっと甘めのメールのやりとりがあったことを思い出す。私はそんな彼が大好きだった。
雨の日が好きな彼と付き合い2年半、残念ながら甘めのメールと甘めの時間は別の人にもかけていたと知った。私には離れることしか選べず、今ここにいる。雨の滴を見る度に思いが引き戻されるのが辛くて、今は雨粒だけを感情を込めずに見る無駄な努力をしている。
雨が続くと、喉の奥が辛い。悲しみが上がってきそうな、溜まっているような息苦しさが増すから。まだ愛しているからだ。
あなたはまだ覚えているのかな、私のこと。雨の日には、そんな私のことをちょっとぐらい思い出せばいい。私じゃない大切な誰かと傘をさしながら、あなたと一つの傘に一緒に入れたことがうれしいと笑顔で言った私を思い出せばいい。
ちょっとぐらい思い出して。