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親より先に逝ってはいけないということ

昨日、柔道家・古賀稔彦さんが53歳で亡くなった。
私と同じ1967年生まれだ。

がんで手術をし、闘病生活を送っていたらしい。

心配をかけたくないと、母親には病気のことは隠していたとのことだ。

その報道を観ながら自分と重なる部分が多くあることに驚き、古賀選手のお母様のインタビューを観ていて、たまらなくなった。

何も知らされてなかったお母様。
突然我が子が自分より先に逝ってしまった。
その悲しさはいかばかりか。

         ***

1992年バルセロナオリンピック選手団主将を務めた古賀選手。

オリンピック直前に後輩・吉田秀彦選手との乱取り中に左膝を負傷してしまう。

全治1ヶ月の靭帯損傷だったらしい。

痛み止めを何本も打ちながら試合に臨み、なんと彼は金メダルを獲得した。

歩くことさえ満足にできなかった体で、それでも絶対あきらめないという強い気持ちを自分と相手にぶつけた結果だった。

試合終了直後の会見で、前日優勝した吉田選手のことを聞かれてこう話したという。

「けがをしたのは吉田との練習だったので、あいつは責任を感じていた。早くけがが治るようにいつも祈っていたという後輩の気持ちを聞いて、今回は本当にいい優勝をしたなと思います」

他にも古賀選手はその時こんな言葉を残していたそうだ。

「あきらめの先には何も生まれない」
「ピンチはチャンスだと思った」

そのふたつの言葉が今の私に突き刺さる。

そう、あきらめたらそこで終わり。
終わりなのだ。

ーーピンチはチャンス。

そんな言葉、今まで何百回も聞いてきた。

でも彼ほどその言葉を鮮やかに体現し、証明した人はいないだろう。

         ***

古賀稔彦さんは現役引退後も、園児から大学生まで幅広く柔道の指導をされていた。

彼は常々こう話していたという。

「柔道は〝勝つため〟でなく〝優しい人になるため〟にするもの」

それは彼が運営していた古賀塾の理念でも触れている。

【古賀塾の理念】

日本で1882年、嘉納治五郎師範によって柔道が生まれました。今や柔道は全世界に普及され競技人口においては世界第3位ともいわれています。

なぜ世界に受け入れられたのか?大きな要因として嘉納師範の理念でもある『柔道は教育』だと私は思います。

柔道を通した人間教育が世界に受け入れられたと思います。その教育の一つに嘉納師範が残された言葉にある『精力善用-自他共栄』です。

この言葉の意味として私が思うのは、人として生まれてきたからには社会の為に人の為に役に立つことが柔道家の役目であると思っています。

また柔道を通して心-技-体そして徳を積むことの大切さも伝えてくれています。

今!私たち大人が再度学ぶべきこと。
そして大人から子供たちへ学んでもらいたいこと。

それから日本、そして世界が平和でいられること、これらすべてを柔の道を歩きながら学べるのが柔道だと私は思います。

古賀塾が求める柔の道とは『優しい心を育てる』人間教育です。

『学び』に終わりはありません。

私たちと共にちっちゃい子からご年配の方々まで幅広い年齢層の中で、これからの人生の道を明日を見つめて今をひたすらに歩いてみませんか?

古賀塾で優しい人にもっともっとなりたい人たち!みんな集まれ~

塾長 古賀稔彦   (※古賀塾HPより)

          ***

彼は人生を全うした。

素晴らしい人生を。

もちろん、妻や我が子、たくさんの生徒たちを置いていくことにどれだけ未練があったのかは計り知れないが、何より無念に思ったであろうことは、自分の親より先に逝ってしまったことではないだろうか。

私だって、順番どおり母より後にあの世に旅立つ保証なんてどこにもない。

みんなそうだ。
人の寿命など誰にも予測できない。

もしも私の体に思いがけない変化が起き、突然旅立つことになってしまったら、私の母はどうなってしまうだろうか…。

娘ふたりに先立たれるって、どんな気持ちだろうか…。

親より先に逝ってしまうこと。
そんな親不孝は、やはりあってはならないのだ。



心より古賀稔彦さんのご冥福をお祈りいたします。





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