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片付けられへんかった!
季節に変わり目には、体調を崩す利用者さんが増える
日中は蒸し暑く、夜には寝冷えもしやすいので
エアコンは嫌がる
そんな高齢者の体調は、気候の変化に敏感である
ここ数日、夜間の徘徊が目立つようになって来た女性
今日はいよいよパニック発作を起こしてしまった
職員からは「次男を呼んで〜と泣いて泣いて治らないんです」
かなり長時間慰めているがどうにもならずに連絡したらしい
「長女さんは、すぐには行けないと言われて」
そりゃ、そうだろう
長男、次男も共に平日の午前
もちろん仕事中である
部屋に伺うと、
過呼吸も大したことはなく、SPO2も異常無し
本人は自分の子供ら3人の名前をよび
「呼んでくれた?来る?」
と泣き続ける
「私は、もう死ぬ。なのに誰も来てくれへん」
「長男はどこ?あの子を片付けないと死ねないのに」
「次男はまだ?かわいそうに(略)」
現場職員の手を止めるわけにいも行かず
結局、本人の手をケアマネが握り、
その方のベッドサイドで、総勢4人、
本人を入れると5人で
業務会議をする
行事の企画の傍で
泣きながら子供達を呼ぶ本人
「材料費用を抑えないといけないので‥」
「〇〇(名前)はまだ、来うへんの⁉︎」
「風鈴はこんなデザインで‥‥」
「△△(名前)〜⁉︎」
「‥‥。」
「あの子を片付けんと、私は死ねない〜!」
手を握り続けるケアマネが、半分会議に入りつつ慰める
「もう、ええ大人なんやから」
「親の責任があるから、このままやったら死なれへん!」
「死なんでええよ」
「もう死にそうやのに〜!!!」
掛け合い漫才みたいになっている
そのうち、ケアマネの口調が説教調に変わり出した
「A さん、子供は子供の人生なんやから、自分で決めたことやから
何も責任感じなくていいの!」
「私のせいや、このままやったら死なれへん、
子供を片付けられへんかった〜!もう死ぬのに!」
「‥‥死にません!!!」
そして、枕元で会議している4人を見て
「お宅、誰?」
「〇〇(職員)ですよ」
「まあ!〇〇さん、私のために見送りに来てくれたの?」
と泣く
結局、次男が駆けつけるまで、泣いたり治ったりを繰り返した
午後、職員が、歩行器で歩く本人声をかける
「Aさん、元気になったんやね」
「はい?なんのことですか?」
次男がガクッと肩を落とす
Aさんは、他の誰よりも子供に恵まれ
長男、次男、長女が毎日本人のところへ訪問している
そして、毎日言うのである
「子供は、だーれも来てくれへん」
ブラボー
認知症
大好きAさん