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ECTに思うこと



ECTとは精神科電気けいれん療法のことで、1938年から行われている

専門療法の一つである


あまり馴染みがなかったし、「電気」と聞いただけで、

なんだか怖いと思っていた



初めてこの効果を実感したのは、昨年の春にコロナ禍で精神症状が

悪化した利用者さんを担当した時だった



日に日に状態は悪化するし、総合病院から紹介された精神科病院は

夫が拒否して四面楚歌の状態

そのうちに食事も取れなくなってしまった



精神科で働く家族に勧められ、ECT を行なっている病院に入院した


結果


認定調査時に全裸になった要介護5の利用者さんは、要介護1となり

今では穏やかに生活され、介護保険を卒業した

今まで、介護保険を卒業した人は初めてである


そして、今日

利用者さんが一人、無事退院して帰ってこられた

要介護4で、自傷がひどく意思の疎通ができない状態での入院だったが

ゆっくりだが、しっかり会話ができて

車椅子固定だった状態が、馬蹄式歩行器で自力歩行できている


本当に、すごい


もう、驚きしかない




認知症も精神疾患も

どんなにしても治らないと、どこかで思い込んでいた

けれど、こんなに明らかに状態が改善しているのを見せられると

驚きと喜びと反省でいっぱいである



知らないと言うことは

本当に罪なのである


もちろん副作用もある

「私、何にも覚えていないのよ」と利用者さんは言う

「恥ずかしいことに、夫が死んだことも、覚えていないの」と

約2年間分の記憶が抜け落ちている


それでも


片時も目が離せなかった状態から

みんなの中で談笑して、ケーキが食べられるまでに回復した現状

これは衝撃的な事実である



これからも内服と受診は続くけれど

涙声でお礼を言う家族の声が、全てを語る



人はまだまだ

可能性に満ちている

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