チャレンジ
昨年、ターミナルで関わった男性の妻
認知症が進んで、毎日に生活が立ち行かなくなっていると
息子さんから相談があった
何度か認定や福祉用具の調整で訪問していたが
大量の腐敗した食品や賞味期限切れの廃棄物で
大変な状況になっていた
とはいえ、本人の受け答えは、至極真っ当に聞こえるし
相談してきた息子さんも、母親には強く言い切ることはできない
途方に暮れていたが、本人から幻視の話が出た為、専門医を予約した
そして、息子さんに
「なんとかしたいと思っているなら、必ず受診に連れてきてくる」
事をお願いした。
受診予約に情報提供、その後のショートステイまで手配したが
無理かもしれないと思っていた
今回から担当変更したケアマネも、内心そう思っていたらしい
約束の時間を5分過ぎても来ないので
こちらに電話しようと思っていたら、息子さんと本人が
約束通り病院へ現れた
その後は、受診、検査、診察を終えて、
無事、ショートステイに来ることができた
待ち受けていた私の顔を見て、「あら?」と笑ってくれた
覚えていてくれたのかな?
泊まらないよ、と言う本人だが
息子さんの姿が見えなくなると、次第に落ち着き
食堂に入るなり、先にいた方々に
「お世話になります、よろしくお願いします。」と頭を下げた
息子さんには
受診すらできないかもと思っていたことを伝え
頑張ってお母様を連れてきてくださった事を讃えた
一歩を踏み出した本人には
新しいことをやってみよう、とお伝えした
周りの人たちも、優しく声をかけてくれて
「ここは楽しいよ〜」と話しかけてくれる
「年を取ったら、あかんね〜」と家族の写真を見ながらつぶやく姿に
心が少し、ヒリっとするけれど
息子さんの言葉を受け入れて、
ここまできた勇気を、一歩踏み出した強さを
たくさんたくさん、讃えたい
しっかり完食した夕食を見て、確信する
きっと、大丈夫
無事、次のステージに上がれたのだと