「あのときに
既に将来はあなたとと」
映画のワンシーンのように
思い出す
あなたが何気なく
「どんな音楽が好きなの?」
と
聞いて
私が
「ジャズが好き。
スタンダードなんじゃなくて
ノリノリの、汗をかくようなジャズが」
と
答えたとき
「モントレーのジャズフェスにいったことがある。
その時
音楽に合わせて
踊っていた老夫婦がいてね。
とても素敵だと思って
印象に残っている」
と
あなたは言った
私も
かつて
洋画を見て
パーティーシーンなんかで
手を取り踊るシーンが
好きだった
なかでも
老夫婦の
伴侶が車椅子でも
その手を取り
腰を屈めて
ダンスをする
そのシーンが好きで
だから
いつか
伴侶とダンスを習おうと
少女の
夢のように
思っていた
だから
あのとき
あ
この人とは
同じ夢を見れるのかもしれない
と
期待のようなものが
心に
灯った
密かに
彼との将来を
描いた
一時
それは
一連の流れが動き出した
そんな
瞬間だったのかも
しれない