テレワーク中に音楽を聴いて、母娘の絆を感じた話。
世界中をコロナウィルスが席巻したとき、
今年はオリンピックとパラリンピックに頼る気満々だった弊社(というか、弊事業部)は、粛々と、しかしながらドラマチックに予算を下方修正していた。
その流れで、会社に住んでいるのではないかと噂されるレベルだったこの私でさえも、テレワークの荒波には逆らうことはできず、部屋でひとり寂しく、粛々と、制作中だったイベントのキャンセルフィーを計算していた。
最近ではその作業内容がThe Creative Academyの課題にすり替わっている。
((すみません。ちゃんと仕事もしています。割と忙しいです。))
そんなこんなで、私の毎日は専らラジオと音楽漬けの日々である。
いや、もとい、実は元々ラジオと音楽漬けに近い状態ではあったのだけれど、それにすっかり拍車がかかって、そしてずるずると続いているのだった。
元来、音(雑音含む)が無いところで作業できない性分なので、ソファの横に鎮座したラジオ付きのコンポは、私の救世主である。
コンポからはいろいろな声が流れてくるが、
私にはトークと音楽、共通して好きな声がある。
それは、“色気のある声” である。
音域というよりも、耳当たりが重要で、
自分がどうもピックのように先の尖った、勢いで押す声しか出せないので、
飄々と当たりが柔らかくて、耳心地が良いのに鮮明な“色気声”には、大層憧れがある。
そういうことで、
私は1年半ほど前からKing Gnuの色気に魅了され、その群れに属しているのだが、
小学校からピアノでクラシックを叩きこまれ、
中学でスイングガールズの真似事をし、
高校で劇団四季ならぬ劇団好季に入団し、
大学でK-popとハロプロの楽曲を駆使してカラオケウケを狙ってきたため、
群れに居ながらも、かなり雑食で、いろんなジャンルを食い散らかしている。
しかし、どのジャンルでも心に引っかかるものは、結局“色気”のあるものだった。
そして、最近は巡り巡って、“色気”の権化とも言える80年代のシティポップをルーティンしている。
海外で今になって山下達郎や竹内まりやがめちゃくちゃバズっているのを、遅ればせながら知って、何時でも何処でも、結局良いものは良いのだなぁとつくづく思い、そして二人を天才だと勝手に崇めるのだった。
ちなみに、日本のシティポップを世界で流行らせたのは韓国人のDJだそうで、音楽に国境はないというのは本当だなと。そんなことを、巷のヘイトスピーカーたちに端から説いて聞かせてやりたい思いである。
昭和の、父や母の世代が青春を謳歌した時期に生まれたシティポップは、たぶんSuchmosあたりが皮切りだと思うが、平成から令和の境目に、再びメジャーへ躍り出た。
そして今の音楽のメジャーシーンを作っているのは、まさに自分と同世代の、アラウンド30のアーティストたちである。
それを考えると、いま流行っているものは結局、新しい新しいと言いながら、親世代の影響をガッツリ受けまくっている結果に他ならない気がする。
そんな矢先に、あいみょんが何かの番組で「私の楽曲は浜田省吾です。」と言っているのを聞いて、自分の考えに判を押してもらったような気持ちになった。
思えば私の実家では、シティポップを代表するアーティストの1人、南佳孝を母が毎日のようにかけていた。
色気のある声、ジャンルミックスな構成、シティポップらしいサウンドワーク。
浜省を差し置いて、ちょっとコアな路線から拾ってくることも含め、私のハマりポイントとガッツリ被っていて、そのことにふと気づいたときは目の覚めるような衝撃を受けた。
なぜなら、実家に居た頃は、「なんで古い曲毎日かけてるんだろうな…。」と超絶失礼なことを思っていて、母とは趣味が合わないと認識していたのに、結局母と似たような趣味に落ち着く結果になっていたからである。
振り返ってみると、南義孝が当時の私に刺さらなかったのは、生活の一部として溶け込んでしまって、私にとっての新鮮味に欠けてしまっていたからであるように思う。
そのリズムや感覚は、実は脈々と私の中に染み込んでいて、要素が共鳴するものを自然と呼び寄せているような気がする。
それは習慣を軸にした親子間の感覚の共有であり、
それはつまるところ、「絆」と表現されるものなのかもしれない、と思った。
某映画のおかげで、東京と埼玉の越境には手形が要ると言われて久しいが、それを差し引いても、80代の祖母のことを思って二世帯である実家には帰らないようにしていた。
そんな日々の中で、図らずも自分と母の繋がりを、お気に入りのコンポが運んでくる音楽からぼんやりと感じたのであった。
今では、母がレコードやカセット、CDで聴いてきた南佳孝が、私のサブスクにも入っている。
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<課題MEMO>
●感情の源:「自分の音楽の趣味が、実は母と似ていると気付いた瞬間」
●伝えたい感情:「驚嘆」「関心」
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