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ゴリラ先生お元気ですか?④最終話



3話で完結しなかった #忘れられない恋物語
今日こそ最終話として書いていきたいと思います。



2485文字です。
どうかお付き合いください。




ゴリラ先生お元気ですか?これまでのお話


要約文にチャレンジ!!

このお話はノンフィクションです。
美術部顧問の高校教師(ゴリラ先生)と、部員の女子高生(私、ラブ子)の微妙な関係。

部活の見学のつもりが入部決定と次期部長に任命されたラブ子。

ラブ子のお弁当をゴリラ先生に販売することになり、毎日のコミュニケーションは密に。

夏休みに長期アルバイトをして帰ってきたラブ子にゴリラ先生は告白めいた言葉を残します。

そんな時に、先輩部長からの突然の告白。
告白現場を見たゴリラ先生は「勝手にしろ」と駆け引きをしてきた。
付き合うも、1年後にはお別れ。

3年生になったラブ子にゴリラ先生はお守りのようなプレゼントを突然してきたけど・・・。


勉強が好きだから


私は勉強が好きだから、H先輩と別れた。
と思っていたけれど。

やっぱりゴリラ先生のことが気になっていたのかもしれないと
手のひらのなかのスノーマンを見つめながら思っていた。

でも、自分でもその気持ちは認めたくなかったし
認めたところで面倒な気がして封印していた。
その頃もその後も。


ひまな受験生


大学に進学するための勉強をする高校に入っておきながら
いざ、進学するとなると私は嫌になっていた。

特に目的もない大学に行くよりも、美容師になりたかった。

美容師の夢は親の大反対にあって進学を決めた。
でもそれならば、と猛勉強。
指定校推薦で年末には受験を終えていた。

勉強に集中するためにH先輩とお別れしたというのに、自主勉強もしない予備校にも行かない受験生、ひまになってしまった。

進学先が決まった生徒は自動車学校に通ったり、アルバイトも許された。
私は興味のあったケーキ屋さんにアルバイトに行くことにした。

すると、そのケーキ屋の喫茶にゴリラ先生はお客様として何度も訪れた。

♥「ケーキ、好きなんですね!」
🦍「チーズケーキしか食べられないけどな」

知ってた。お弁当にある日、甘く煮たカボチャを入れたら「甘いものは苦手だからカボチャはちょっとキツかったわ」と申し訳なさそうに言われたこと、忘れてないからね。


チーズケーキとホットコーヒー、この組み合わせで何度も来て食べて帰る。

私も気づいたら、ゴリラ車が駐車場に止まるのを楽しみにしていた。
聞くと、ゴリラ先生は私の赤い自転車がケーキ屋の駐輪場にあるのを確認してお店に入っているんだという。

なんなのコレ。


ハプニングはつきもの


恋の急展開のポイントになるハプニング。

クリスマスの営業日は、ケーキ屋さんの掻き入れ時。
その年のクリスマスは23日から雪が降り始めて、イヴになっても止む気配はない。記録的大雪。

24日の朝、自転車は置いて歩いてお店まで行った。行けた、といった方が良い感じ。親に送ってもらっても良かったのだけど、車で渋滞に巻き込まれたりする方が遅刻しそうな感じの雪だったから、ソロソロと歩いて行ったけれど正解だった。
国道沿いのケーキ屋の前は車がピクリとも動かないほどの渋滞だったから。

大量のクリスマスケーキ、誰が買いに来るんだろうと思ったけれど、ほとんど売り切れた。
さぁ、帰ってまた明日頼むね。とマスターに言われてアルバイトのメンバーは帰って行く。
私以外の学生アルバイトは徒歩で5分くらいの場所に住んでいたり、ちょっと年上のお姉さんアルバイトたちは彼氏さんが迎えにきた。

そりゃクリスマスイヴだもんね。

私はお店にあるピンクの公衆電話から家に電話して、迎えを頼もうと思ったその時に、ケーキ屋さんのドアが開いた。

「すみませ~ん」

ゴリラやん!!

♥「すみません、先生、さっき売り切れて私がもらったケーキならありますけど・・・」
🦍「そっか、それは残念。じゃ、ラブ送ってくわ」


いよいよ卒業


クリスマスイヴに送ってくれたことで、何かあったかというと何もなかった。
何もなくて良いのだけど、私でも解かった。ゴリラ先生はケーキを買いに来たんと違う。

誰に送ってもらったのか親に聞かれて、ゴリラだと答えると流石に親も怪訝な表情を見せた。
「ゴリラ先生は良い人だけど、ラブ子、先生も男なんだからね」
ママが真剣な目をして言うから、私もなんだかゴリラ先生との二人きりの時間はもう持ってはいけない気がしてきた。

クリスマスまでのアルバイトだったケーキ屋さんで会うこともなくなり、授業が終わったら直ぐに帰るようにもなったラブ子とゴリラ先生は会わないまま卒業式になった。
卒業式の日も、特に二人で話すこともなく、写真も部活の皆で1枚くらいは残ってるかもしれないけど私の手元には残らなかった。


結婚しました


高校生の頃の淡い恋物語は、その後の私の日常からは薄れてなくなってしまっていた。

大学に入学するもバイトに明け暮れて起業までし、単位不足になり短大に編入して何とか卒業、その後は美容の道を志して順調に生きていたと思う。

そんな23歳の頃。
お正月に年賀状を見ていたら、見覚えのあるクセ字の宛名。

あ、ゴリラ先生からだ。

卒業してから、私は年賀状をゴリラ先生とやり取りしていなかった。
なんとなくクリスマスイヴが最後になり、その後ちゃんと話せてないことが引っかかって連絡は取ってなかった。

ゴリラ先生からの年賀状は、スポーティーなカップルが自転車を持って写っている写真だった。
「結婚しました」という旨の印刷、その横に手書きで何か書いてあったけれど、覚えていない。

ショックだった。

なんの保証もないけど、どこかでゴリラ先生は会えなくてもずっと私のことを好きなんだと思っていた。
なんだか勝手に告白されて、勝手にフラレたような、不思議な感情になった。

ゴリラ先生のことを思い出す時間なんて、ほとんどなかったくせに!

年賀状を見たママが「あらあら、ゴリラ先生、ラブ子のこと好きだったからね〜」と言った。

何故かと聞くと、好きだったから伝えたかったのよ。ウフフ。と笑うママが色っぽくて綺麗だった。




おわり



あぁ
こういうときこそ



ゴリラ先生とラブ子に最後までお付き合いくださいまして、ありがとうございました🩷




あと半月🌗










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