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THE CHATSUBO PEOPLE

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Chatsuboに出入りする、都市遊泳者たちのつぶやき。街のあちこちで、彼らの眼が風景を鮮やかに切り取る。敷衍された《俳句》としての、140文字のつぶやき、ともう少し長いスケッチ。
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#抽象世界

毎日書く #03 through the senses

僕がフェイ・フューの内部世界を漂っていたときのこと。 フェイの内部で何度も会った、あの四角いオブジェクト。真四角じゃなかったかもしれない。 ゆがんだ四角かもしれなかったけど。 そういう幾何学的なものがたくさん浮かんでいるのを僕は目にした。 それらは動いていたと思う。 僕は流れに逆らって漂っていた。 というか、僕も、流れていた。逆流と逆流どうしが、どうにかしてすれ違っていたんだ。 蜜豆の缶詰に入っている、ピンクや緑の色の付いた寒天。 あれに似た色合い。 というか、蜜豆の

ソルのつぶやき。ベルクソンの『物質と記憶』に出てくる「逆円錐」。逆円錐の上部は、無限の多義性=接続過剰な領域。無数のイマージュがランダムに離散集合する記憶の無辺だという。それはまさに今、僕が、致し方ないこととはいえ、溺れるに至っている状態を表している。逆円錐の先端部は、行為!

「うわ、すっげー月がきれ~!」アルジズがつぶやく。彼女の前を、野球帽をかぶった男の子が、ゆるっとしたジーンズとスニーカーという格好で歩いていく。リラックスした顔つき。アルジズに向かって親指を立てて見せる。彼にとって知り尽くした界隈、テリトリー。今日も機嫌よく流しているのだろう。