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ソルのつぶやき。ベルクソンの『物質と記憶』に出てくる「逆円錐」。逆円錐の上部は、無限の多義性=接続過剰な領域。無数のイマージュがランダムに離散集合する記憶の無辺だという。それはまさに今、僕が、致し方ないこととはいえ、溺れるに至っている状態を表している。逆円錐の先端部は、行為!
蝉の音、鳥の鳴き声が驟雨のように降り注ぐ。といって、一様ではなく、盛り上がったり、引いたりを繰り返す。海の波のような音のうねり。朝6時前。夏を言祝ぐ。
千葉雅也の言説をクリップし続けている。まるで中毒だ。読むやつ、読むやつのいずれもが、なーるほどー!の連続だ。千葉が「梅雨」とか「蝉」とかに度々言及しているのも好ましい。いろんな領域を大きく跨ぎつつ書かれているのだけど、どういうわけだか、弾かれずに、しんみりと染み渡る。
「うわ、すっげー月がきれ~!」アルジズがつぶやく。彼女の前を、野球帽をかぶった男の子が、ゆるっとしたジーンズとスニーカーという格好で歩いていく。リラックスした顔つき。アルジズに向かって親指を立てて見せる。彼にとって知り尽くした界隈、テリトリー。今日も機嫌よく流しているのだろう。
ソルは窓の外のアロエの茂みを見ている。全体は緑だが、白いティントを感じる。僕が「アロエって、白っぽいんだね」と言うと、ソルも「白いね。白と緑と、影のダークなとこが・・・」と言った。「束ねられてるね」「うん」僕らはスタバの窓際で、白と緑とダークな影色の隆起と沈降にしばらく没入する。