3.やさしさの代償「実りなき親切心の落とし穴」
理想的な保護者という誤解
生徒が一人退会しました。この生徒の保護者はとても熱心で、ピアノに対して積極的な姿勢を見せていました。その熱心さは次のような行動に表れていました。
子どもがピアノを習う前に、保護者が直接教室を訪れて詳しい情報を集めた
私の説明を聞いて入会を決め、アドバイスに従って2週間以内に電子ピアノを購入した
入会直後に、ピティナステップへの参加希望を伝えてきた
足台が必要だと聞くとすぐに購入した
このような行動から、私はこの保護者を「理想的」だと思っていました。
ある日、その保護者から授業の振替を頼まれました。子どもの学習塾の都合だったのです。
この保護者は上手に頼み事をするので、私は嫌な気持ちにならず、むしろ協力したいと思いました。保護者は要望が通った後、必ず感謝の言葉を伝えてくれました。
私のピアノ教室では、生徒の都合による振替は学校行事と冠婚葬祭だけに限っていました。今まで振替の要求はなかったのに、学習塾に入ってからこうなりました。最初は「特別に」と一度だけ許可しましたが、その後も何度も振替を求められるようになりました。
私はこれを一回きりにしたかったのですが、要求が続き、次第に苦しく思うようになってしまいました。理由は次の2つです:
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