人は見かけじゃわからない 美しすぎるママ友の意外な職業
小学校で、ひときわ目立つ、美しいママ友がいた。
女優の吉瀬美智子にそっくりのその人は、学校公開の時も、いつも、ひとりで、凛とした姿で、姿勢正しく佇んで、お子さんの姿を見つめていた。
ふだん美容やお洒落が好きな私も、小学校など子供が主役の場では、「浮いちゃうから」と、カジュアルでとおし、マスクをしないその頃もノーリップだった。(大の口紅好きだったのだが)
しかし彼女はいつも一人、完璧なメークを施し、きちっとした服装をしていた。
そんな彼女がなぜか私には話かけてきてくれて、会話をする機会があった。同じくワーママだというので、何の仕事をしているのかと聞くと、クールにみえていた彼女の顔が可愛らしくキラキラし始めた。
「私、母親がしていた仕事に憧れていて、今、その仕事をしているの。」
「何の仕事かって?介護の仕事だよー。もう、介護の仕事、大好き!」
「みんな本当に素敵なの!この仕事出来てよかったー、って思ってるんだ。」
全て彼女が実際に言った台詞である。
申し訳ないけれど、「他者貢献」に喜びを感じるというよりも、「私を見て!」という「自己承認欲求」が強い女王様タイプだと思っていた。
驚いた私は、今でも、その声も、そのトーンも、彼女の表情も、思い出せる。そして、介護に対して質問攻めにしてしまったのだが、お風呂に入れたり、お世話させてもらうのが本当に楽しくて仕方がないという様子だった。
彼女がそれを本心で言っていることはその瞳の輝きや口調からじゅうぶん過ぎる程伝わってきた。
当たり前のように自分が心地よく「お洒落で綺麗でいること」同様に他者に貢献するという「介護の仕事」も愛しているのだ。
どちらも諦めず、どちらも実現し、そして、小学校にひとりで颯爽と現れるのと同様、「母親らしさ」とか「介護従事者らしさ」とかに捉われることなく自分のやりたいことを楽しんでいるのだ。
その後母子ともに仲良くなり、一緒に習い事の発表会へ行ったり、バーベキューへ誘って貰ったりしてもらったが、その付き合い方も、いわゆる「ママ友付き合い」とは違った、とてもさっぱりしたものだった。
そんな関係なので娘たちの卒業後は全く会わなくなったが、先月その彼女と久しぶりに小学校で会った。同様に下のお子さんの学年で、朝の読み聞かせをしているらしい。
相変わらず吉瀬美智子似の美貌で颯爽と図書館をあとにしていた。
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人は見かけじゃわからない。
パンチャコーシャとは、ヨガ哲学で、人の本質(モークシャ)のまわりには5つのさやが覆っているというが。
ちらりとでも、その本質がみえる、その瞬間が、たまらなく好きだ。