毒親Xの奇行。①
はじめに
この物語は、ノンフィクションです。
とある女性の、
母としての、祖母としての、
生き様です。
本人の手記(A4用紙で文庫本並みの厚さ)から、
それを突然書留で送られてきたワタシ視点
で、綴ります。
(いや、まじでホラーだからね?笑)
「毒親」に悩まされている方
「毒親」かもしれないと思っている方
誰かの「親」になった方、なる予定の方
家族関係にお悩みの方
多方面に刺さるようなものになればと思います。
長くなると思うので、何回かに分けます。
そして、結構ダークでホラーな要素もあるので、
なるべく合間合間にギャグを挟む予定ですが、
心臓の悪い方や絶賛病み期中の方は、
閲覧注意です。
いざ、尋常に。(何と闘うん?)
毒親Xの誕生
終戦間近、
満州で彼女は生まれた。
2男3女、5人姉弟(妹)の上から2番目。
長女、毒親X(次女)、長男、次男、三女の
構成である。
終戦後、両親は北海道の片田舎に移り住んだ。
父はお役所で働き、母は工場で働き。
毒親Xは、
姉弟(妹)達に強い劣等感を抱いていた。
本人の自覚は無くとも。
毒親X曰く、
母親はなにかと他の姉弟を優先し、
自分だけ、なにかと我慢を強いられたとのこと。
例えば、進学。
自分には学力が十分にあるにも関わらず、
第一希望の高校や、大学に進学させてもらえず、
他の姉弟(妹)は希望通りの進路を
歩ませてもらえたという。
特に姉に対して、
「憎悪」にも似たような劣等感に苛まれていたようだ。
妹に対しては、
「嫉妬」そのものだともいえる。
弟(長男、次男)はともに、
母からの無条件の愛情と信頼を受けていた。
それを幼少期から、男だからってズルイと
感じていたようだ。
弟(長男)とは元々ソリが合わず、
唯一、弟(次男)とは良好な関係だった模様。
とはいえど、
後にこの弟(次男)にもコンプレックスを抱くことになる。
毒親Xは大学進学を希望していたが、
母親に「却下」され、
地元の会社に就職した。
そこで出会った男と結婚し、
1男2女を授かる。
ここで、
彼女の無自覚な「姉弟(妹)コンプレックス」が
知らず知らず顔を出し、
子供たちに様々な悪影響を及ぼしていく。
毒親Xの誕生である。
毒親Xの心情と実情
毒親Xは自身のことを
このように認識しているとワタシは感じた。
5人姉弟(妹)の中で、自分が一番不憫だ。
自分が一番優れているはずだ。
自分が優れていることを認めてもらいたい。
自分の方が能力が高いのに、
なぜ「自分が」妥協せねばならないのか。
行き場の無い「怒り」にも似た感情を、
ずっと燻ぶらせていた。
毒親Xがいつも口にしていた言葉がある。
「自分が親に差別されて苦しんだから、
自分の子供は平等に愛したい。」
と。
しかし実情はそうではなかった。
とワタシは思う。
面白いことに、
毒親Xは、自分がそうされてきたと
思ったとおりのことを、
自分の子供にもしていたように思う。
無条件に長男を寵愛し、
同じ女性である長女と次女は二の次。
それでも彼女は、
平等に愛しているし、平等に施していると言う。
第三者がそうではないと言ったとしても、
恐ろしいことに、彼女はそれを自覚しないし、
認めることも無かった。
毒親Xの旦那
結婚し、子供を3人も授かり、
幸せな生活を送った。
かと思えば、そうではないようだ。
旦那との不仲である。
旦那は当時、長距離トラックの運転手だった。
何よりも車の運転が大好きな男だった。
男は漁師の家に生まれ、
幼少期に父を戦争で亡くした。
母も別の男と再婚し、家を出て行った。
男は父方の祖母と叔父一家に
育てられたようだった。
小学生の頃から家業を手伝い、
中学には上がらず、
そのままいっぱしの漁師になるために
ひたすら家業を手伝った。
でも彼の努力はあまり報われなかった。
祖母が亡くなると、
家での居場所が無くなってきた。
叔父一家の当たりが強く、
「愛情」を受けるべき年齢に、
「愛情」を受けられなかった。
良くも悪くも、
彼はそれを自覚していなかったし、
悲観してもいなかった。
ひたすら、日々、海に出ていくだけ・・・。
大人になった彼は、
同じく「愛情」に飢えていた毒親Xと出会い、
結婚する。
不器用な彼は、
「愛情」の伝え方がわからなかった。
毒親Xも、
「愛情」の受け取り方をわからなかった。
そんな些細なすれ違いが、
子供たちを巻き込んで、
毒親Xの奇行を促進させてしまうのであった。
毒親Xの奇行。① 完
(まだワタシの正体は明かさないでおく)