真相を知る女(ひと)
「……ぉきさーん
球沖さーん
球沖 地世さーん」
ピッ ピッ ピッ ピッ
「球沖さーん
球沖 地世さーん」
「ん、んん……」
「気が付かれましたか?
球沖さん」
「……ここは?」
「病院です
ご自宅の前で倒れているところを運ばれて
3日ほど眠っていらっしゃいました」
「……3日も?
……!! えっと、今日は何日ですか?」
「2025年1月16日 朝の8時です
1月12日の深夜遅くに運ばれてきたんですよ
先生を呼んできますね!」
1月12日
約2年2ヶ月ごとに巡ってくる日
地球と火星が一番近づく日だった
あの日、私は迎えに来た宇宙船に乗った……はず
そう、迎えに来たのは
火野原 星矢くん
高校3年生の夏
突然やって来て魅了された不思議な転校生
なんとその正体が火星人だと知ったのは
あっというまに訪れた別れのときだった
あれから20年が経って
私は理科の教員としてなにげない生活を送り
星矢くんは火星で実業家として活躍してて……
ちょうど1ヶ月前
「来月
地球と火星が最も近づく日に
キミを迎えに行く」
ってホログラムレターが
星矢くんから届いたんだった
「やぁ 久しぶりだね
地世……いや 球沖さん
キミ 全然変わらないね!」
「うそよ 20年ぶりだもの
でもありがとう
また会えて嬉しい!
……で そのタコのスタイルは
地球仕様にはならないかしら」
「あはは ごめん
宇宙船の中が火星の大気のままだから
そのうち地球人の姿に馴染むよ」
そう言う間に
10本あった手足は2本ずつに
懐かしい日焼けした顔になっていく
「本当は20年前にも乗せてあげたかったんだけど
でもこうして最新装置で迎えに来られて
俺も嬉しいよ
さぁ なかへ どうぞ」
手を引かれ
なかに入って……
それから……
思い出そうとすると頭痛がする
星矢くんは
光の速さで移動できる宇宙船だって言ってたけど
出発したのかしら
私は火星に行ったのかしら
ううん 12日の深夜に病院に運ばれたのなら
出発してないわ
星矢くんは無事かしら……
コンコンコン
「はい」
「球沖さん 具合はいかがです」
「先生 わたし…」
「どうやら 球沖さんは雷に打たれたようです」
「えっ 宇宙船は?」
「は? 宇宙船?」
「地球と火星が最接近したあの日
同級生が火星から迎えに来たんです」
「球沖さん……
雷に打たれて現実とファンタジーが
分からなくなってるようですね」
「えっ 最近テレビでも話題の
火野原 星矢を知りませんか
彼と一緒だったんです
彼はどこですか」
「やー アニメは最近見ないので
それに あなたは1人で倒れているところを
通報されて運ばれてきましたが」
おかしい……
アニメだなんて
彼は今や地球でも有名人よ?
地球温暖化が進んだ今
火星移住についての検討は進んでいるはずなのに……
そもそも
光の速さで移動できる宇宙船が
雷なんかにやられるはずないじゃない
コンコンコン
病室に入って来たのは
高校時代の同級生であり
勤務先の同僚 瑠美子だった
お読みいただきありがとうございました🕊
昨年出来なかった「創作」に再トライも……
えぇ〜😱 どうしよ……
ノープランで続き書いちゃって
また終わらなかった🤣🤣🤣
もう一度読みたい!?
第一話はコチラ↓
第二話はコチラ↓