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京都市はほんとに子育てしづらいのか

京都市はお金がないらしい。
観光で潤っているのかと思いきや財政は火の車、こと教育に関する予算がケチられている。
だから京都市は周辺地域に比べて子育てのしやすさを実感できない…


という声をたまに聞くことがあります。
でも個人的には、いまの場所で子育てをしづらいと感じたことは一度もありません。


京都市からおなじ京都府内の南丹市というところに移った女性(2児の母)が、「南丹市は子育て支援の手厚さがぜんぜん違う!もう京都市には戻れない」と言っていたし、おそらく京都市の子育て支援が手薄いというのはほんとうなのだろうけれど。


いちおう子育て当事者なのに、まるで他人事かのようにぼんやりしていられるのも、まだ2歳の子どもが一人いるだけでお金がそうかからない、というのもあるかもしれません。


「へえ、京都市って子育て支援が手薄いのかあ」と思っても、そこからほかの市町村との施策の違いを調べたり、京都市に物申してやろうと積極的に動くわけではない私。
育児まっただなかの市民がこんなだから、きっといつまで経っても小さい子どもに割かれる予算が少ないままなのでしょう。

とりあえず、2年とすこしのあいだぼうやと暮らしてきたいま現在、「京都市って子育てしにくいわ~」と感じたことは、それでも、ないのです。


子育てのしやすさって、具体的にはどんなことを指すのでしょう。
指標はいろいろあると思います。

人口あたりの保育所や医療機関の数、子育て支援施設の数。
妊娠出産のさいに受け取れる支援金。医療費や教育費の助成金。
待機児童の有無。子育て世帯の税金優遇の有無。公共交通機関の充実度などなど。


どうやら周辺地域と比べて(おもに経済面での)子育てサポートがお粗末らしい京都市だけど、私個人としては、けっこうごきげんに子育てすることができています。


いつでも街中でうつくしい鴨川と山々を眺められるし、地域に世界遺産がいくつもあるのは贅沢ともいえる。
たしかに公園は街中にすくないけれど、京都御所や神社仏閣など子どもを遊ばせることができる場所はそこここにあります。
図書館、博物館、美術館といった文化施設も充実しているし。

知人のお子さんは幼い頃から花街で日本舞踊を習っているけれど、そんなふうに伝統文化の本流に触れる機会が身近にあるのもすてきだなあと思う。

そしてなにより、すれ違う人たちがぼうやにむけてくれる視線がやさしいのです。
…ってこれは、京都市うんぬんの話ではないけれども。

でもあのまま東京のまんなかに暮らす生活だったら、その辺で知らない人といっしょになってのんびりとぼうやの可愛さを愛でること、あまりなかったのではないかと思ったりします。


チェーン店も増えているけれど、まだ個人店ががんばる気風が残っているところも京都のいいところ。
マニュアル接客ではない店主や従業員の方がぼうやを歓迎してくれ、なにかとかまってくれるお店に出会うと、そのありがたさをあたたかくかみしめます。


そうそう、世界に名だたる観光都市で海外の人が多いという点も、じつはいい。

海外の人はぼうやを見て「可愛い!」と思ったらそれをわかりやすく表現してくれて嬉しくなってしまうし、階段の前やバスの乗り口でベビーカーともたもたしていたらサッと手を貸してくれるのも、日本人より外国人の方が多かったりします。
いままで何度、親切な異国の人に助けられたことか。

子育てのしやすさって行政の支援の充実度だけで測れるものでもないんだなあ、と近頃の私は思います。
(私は行政の育児支援にかんして無知なので、測るもなにもないのですが…)


先日、幼い子どもにまつわるとあるYouTube動画のコメント欄に、こんなメッセージを見つけました。

保育士をしていて、よく子どもたちに顔の表情のイラストを見せて『今日はどんな気持ち?』『今はどんな気持ち?』と聞くのですが、笑顔のイラストを指して『ママがニコニコだったからわたしもニコニコなの!』と言う子がすごく沢山います。
子どもってほんとに自分がどうこうより親をよく見てるんだなと改めて感じました。


自分が母親になってつよく思うけれど、母親がきげんよくいて、そういう状態で子どもと接することが、なにより子の情緒に安定をもたらすものだ、というのはたぶんほんとうです。

だから母親はもう自分がいい気分でいられることを最優先にしていいし、とはいえ赤ちゃんを抱えながらそれもむつかしいのが現実ではあるので、夫がそこを理解して妻のごきげんのためにフルスイングするのが理想。


どんな場所、どんな市や町であろうと、究極は母親がにこにこ笑って子どもと暮らすことができたらいいのだろうと思う。

きれいごとみたいだけれど、あこがれだった、大好きな京都に越してきてこちらのゆったりとした空気と風土に私は生かされているので、そう思います。


そういえば、この前、小さい子のいる女性たちで集まっておしゃべりしていたときのこと。

山梨のどこかの市では第三子を出産すると100万円がもらえるという政策があり、「このあいだ私の友だち、そこに引っ越して3人めを産んだんですよ~」と友人が。
100万円の子育て支援金がもらえるから、他県からわざわざ山梨のその市に一家で移住したのだといいます。

そう話す友人のお腹にはなんと4人めの赤ちゃん。

京都市には4人めを産んだから〇〇万円支給!という支援がないのはつくづくざんねんだよねという話になり、京都市の出産祝いとやらがいかに貧相かという話題でもりあがりました。

いちおう私も受け取っているはずですが、産後のどさくさで記憶にはなく。
新鮮なきもちで聞いたのですが、なんと京都市は新生児誕生のお祝いの印として、有料ゴミ袋引換券を贈呈してくれていたそうです。笑
ゴミ袋引換券。笑
もう語尾に「笑」をつけないと書けません。笑

いくら予算がないからって…出産祝いがゴミ袋(と引き換えられる券)とは…!

「赤ちゃんが産まれるとおむつごみが増えるでしょう、気兼ねなくじゃんじゃんごみを出してくださいね」ということ…?
京都市に歩み寄った推測をしてみても、なぜ出産祝いがゴミ袋なのか、なぜそのような決定に至ったのかはやっぱり謎。

ゴミ袋本体ではなく引き換え券なのは、さすがにゴミ袋そのものを送るのは見栄え的にどうなの?と思ったのだろうか、などと邪推してしまいます。


京都市ではゴミを指定の有料の袋に入れて出すことになっています。
ただ、わが家もそうですが、マンションが契約している回収業者さんが持って行ってくれるところはゴミを出す際、透明や白であればどんな袋でもいいので、そもそも指定の袋を使わないでいいのですよね…

京都びいきの私も、さすがにこの出産祝いにかんしては「おーい!」とつっこみたくなるのでした。


ちょうど先週、書類を整理していたところうわさの出産祝いの封筒を未開封の状態で発掘。
たしかに内容一覧にゴミ袋引換券が書いてあるのを確認し、開けずにまたしまったのでした。

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anna
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