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日記 未来のための思い出を貯める日々
大人の真似をして、ぼうやも「乾杯」を覚えた。
だけど彼流の乾杯は「ぱんかーい!」。
そして合わせるのはグラス同士でなくともよく、お茶碗とコップで「ぱんかーい」、左右の手に持った靴下で「ぱんかーい」、大人の足と彼の足とで「ぱんかーい」……
可愛くて溶けそうになる。
自己流に覚えた言葉を卒業して子どもが「正しい」言葉遣いになることをさみしく思う親は多いと思うけれど、私たち夫婦もそう。
ぼうやがずっとぱんかい、と言ってくれるといいよねえ、などと話す。
夫は「わが家ではこの先ずっとぱんかいって言おうね、ぼうやが『乾杯』と言うようになってもね」と愛おしそうに言っていた。
なんて温かな、いい提案だと思った。
ぼうやが乾杯とはっきり口にできるようになっても。
私たち夫婦はグラスを合わせる時、「ぱんかーい」と言っては、この愛おしい日々の記憶に目を細めるのかもしれない。
そうやって、未来の私たちの心を温める思い出を貯めているような日々だ。