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風が吹いている~障害者差別解消法を使って~

私は、4ヶ月ほど前から、フロアの出入口のドアを一般的なドアノブを回し、手前に引くドアから、スライド式のドアへの変更を求めて要望を出していた。

最初は、直属の上司に提出したけれど内容も見ずにごみ箱行きとなった。
別にそんなもんだと思っていたから、大丈夫。残念ながら、直属の上司との相性が悪く障害者になる前から私は疎まれていたから。

次は本社のダイバーシティ担当という部署にメールと添付ファイルつきで直属の上司に提出した物と同じものを送信した。
規則があり、必ず要望する時は直属の上司に相談する事となっていたから。
ごみ箱行きとなるとわかっていても手順として手続きを踏んだ。
調停前置主義のようなもので調停をしなければ裁判には出来ない。

というわけで、本社のダイバーシティ担当に自分の所属と氏名を明かし調査をしてもらった。このダイバーシティ担当は、最近設置されたもので、障害者だけでなく、LGBTQの方やいろいろな個性を持っているがゆえに、働きにくい人達の要望を聞き働きやすい環境作りを目的に作られた部署。

その要望書に私が使ったのが、障害者差別解消法。
ここには、障害者を雇用する場合に事業者がすべき義務や努力義務が書かれている。

注目したのは、合理的配慮義務だった。
障害を持つ労働者から要望があった場合、合理的配慮をしなければならないというもの。
それが、私の場合は、出入口のドアの変更という事になる。

昨年6月に法改正され、努力義務から義務へと文言が変わった。
これは、とても大きな事。
例えば、努力義務なら条文は~するように務めなければならないと。
ニュアンスでいえば、やれる範囲でやってねぐらい。
この努力義務ならばやらなくてもいいと捉えている企業がほとんどだと思う。
義務となればそうはいかない。
~しなければならないと条文が強い効力を持つ。
だから、敢えて義務化された後に要望書を提出した。
ドアノブ式からスライド式のドアへの変更。
1日に何度も出入りするから、本当に大変だった。ドアを少し手でひきながら車イスを少し中ヘ入れ、今度はその車イスで引いたドアの隙間を押さえ、中に入る。
ドアも車イスも傷つくし、私が出入りする度に大きな音がするので、電話対応が主な私の部署ではとても嫌な顔をされていた。

ついに、先日要望が認められ、工事が入り出入口のドアがスライド式になった。
嬉しかった。
会計の人が私に「60万の価値があなたにあるの?」とわかりやすい嫌味をいいに来たけど、本社が経費の支出を認め、動いたのは、この法律のお陰だと思った。
やはり、法律は強い。
それから私の呼び名は「60万の女」になった事は言うまでもない。
でも、少し働きやすい環境を手にした。
確かに追い風を感じる出来事でした。

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