
上田豪さんに名刺を作ってもらった
きっかけは令和5年5月27日に開催された「第3回ひろのぶと株式会社定時株主総会&第2回株主ミーティング」だった。
私は、ひろのぶと株式会社社長・田中泰延さんが大好きで、ささやかな株主になっている。
この株主総会で、twitterで知り合ったタカハシユカンチさんからもらった名刺があまりにも素敵で釘付けになった!
ボーイッシュでかわいいユカンチさんのイメージにぴったりのしゃれた名刺。
「素敵な名刺ですね」と言ったら、
「上田豪さんに作ってもらったんです」と。
なになになにー。
上田豪さん と言えば、冗談と本気の境目/素浪人、
乗り過ごしの達人で、
スポドリに合う料理研究家でもあり、
将来哀れみの例発令者として名をはせるとともに、
『全部を賭けない恋がはじまれば/稲田万里著(ひろのぶと株式会社』の広告・グッズ制作といったプロモーションのクリエイティブや、『スローシャッター/田所敦嗣著(ひろのぶと株式会社』の装丁などを手がけたことでも知られる、とてつもなくセンスがいいクリエイティブディレクターなのだ!
「いつか上田豪さんに名刺を作ってもらいたい」。
それは私にとって「いつか本を出したい」レベルの実現不可能な夢。
夢のそのまた夢を実現したユカンチさんにあやかりたい!とばかりにあれこれ聞いてみた。
●制作にあたって豪さんと一対一の対面で打ち合わせをした。
●打ち合わせでとても丁寧に話を聞いてくれた。
ぬぬぬーーー。
もうすでにうらやましい。
でも一番知りたい
●いったいどれくらいの金額で作ってもらえるの?
は聞けなかった。
聞くならご本人にだ。
おお、向こうの方に豪さんがいらっしゃるじゃありませんか。
今だ!
ずんずんと豪さんに近づくおばばひとり。
「名刺、作ってもらえますか?」
だいぶ省略しているが、ちゃんと名乗って、ユカンチさんの名刺が素敵だからと説明もした。
「もちろん、作りますよ!」
ほんとですか!!!
でも金額は聞けなかった。
後日あらためてDMで「名刺を作りたいです」と伝えて、デザイン費と印刷費(仕様によって異なる)の見積書をもらった。
やっと一番知りたいことを聞けた。
さて、年金暮らしの私にとって、見積書の金額はかなり贅沢だった。
そもそも名刺、必要?
今、特に何もしていないのに、いったい誰に渡すの?
いや、ほら、コロナがもう少し落ち着いたら、「らぶらく(落語会)」再開するでしょ。来てくれたお客様に渡すよ。
演者さんにも渡すし、落語会でよく会う知り合いにも渡す。
来年の株主総会の名刺交換でも渡すでしょ。
友達に渡したっていい。
それなら、去年ラクスルで作った名刺があるじゃない。
あれ何枚残ってる?

これで十分用は足りる。
そう、その通り。
足りる、確かに用は足りる。
でも……。
この「でも……」をそのままにしないことが人生では意外とだいじなのだと思う。
ここを流してしまうのと、「なら、こうしよう」と変えていくのでは、人生の彩りが違ってくる。
完全に豪さんに名刺を作ってもらうための自分への言い訳です。はい。
人生最後の贅沢。
思い切って上田豪さんに名刺を作ってもらうと決めた!!
まずは豪さんと対面でのヒアリング。
緊張したのしないのって、しました。
豪さん、ものすごく丁寧に私の話を聞いてくれた。
家族や親友以外で、こんなにじっくり、一言も遮らずに話を聞いてもらったことはない。
何度もうなずきながら、ただただ話を聞いてくれた。
まるで自分の人生の走馬灯を見ているような時間だった。
まだ死なないよ。
名刺に入れたい要素は、豪さんのアドバイスをもらって決めた。
肩書は悩んだ。
落語は私のライフワークで、「らぶらく(落語会)」は必ず再開したい。
自分へのエールもこめて、「love落語(らぶらく)席亭」の肩書を入れることにした。
デザインでお願いしたのは一つだけ。
ハートが好きなので、どこかにハートのモチーフをいれてほしい。
あとはお任せしますと伝えて、気が付いたら2時間近く私ばかり話していた。
よく知らない人に、こんな深い話をするなんて私には珍しい。
名刺を作ってもらうのに、まるで人生相談のようにこんなに時間をかけて聞いてもらっていいのだろうか?
そんなことをユカンチさんに話してみたら、
「上田さんにお会いして話を聞いてもらえたことが、思わぬギフトのように思いませんか」と。
ほんと、すごいオマケをもらった気分だ。
打ち合わせから5日後、デザインが送られてきた。
3つのデザインの中で、豪さんおすすめのものが圧倒的に素晴らしく、迷わずそれに決めた。
豪さんからのメールには、こう書いてあった。
シンプルながら驚きのある印象を残す。
私が作ってほしかったものをわかってくれてた……。
豪さん、ありがとうです。
印刷に特殊加工が必要で、その分印刷費が高くなる。
特殊加工なしでカスタマイズしたデザインも見せてもらったけど、やっぱり特殊加工の素敵さにはかなわない。
せっかく作るんだからと、清水の舞台から飛び降りた。たぶん骨折した。
さらにせっかく作るんだからと、noteのQRコードも入れてもらうことにした。
骨折し、せっかく作るんだから病にもかかり、満身創痍。
後からいろいろ追加してくる面倒くさいクライアントになり果てた私に、豪さんは、QRコードを入れたデザインをそっと送ってくれた。
豪さんこれでgoです!
あとは納品を待つだけ。
特殊加工の部分、きっとこんな感じと想像して。
そして届いた!!
箱を開けて、名刺を見た時、想像以上に素敵で、じんわり涙が出た。
いい……。
「こういうのを作りたかった」が、形になって目の前にあった。
そっと名刺をなでてみた。
一番上の一枚は豪さんに渡そう。
その一枚をポチ袋に入れた。
思い切って作ってよかった。
分不相応でも豪さんにお願いしてよかった。
これまでの人生のさまざまを話してよかった。
ユカンチさんが先頭を切ってくれたので後に続けたよ。
ユカンチさんに感謝。
この名刺にふさわしい人になる。
この名刺のように、かわいくカッコよく生きよう。
なにかこれから、すごく良いことがある気がしてならない。
田中泰延社長が名著『読みたいことを、書けばいい』のなかで
「文字がそこへ連れてゆく」と書いている。
「名刺がそこへ連れてゆく」こともあるに違いない。
さて、300枚作った名刺を生きている間に渡しきれるのだろうか。
だろうかじゃないよ。渡すのだ。
みなさん、私の名刺をもらってください!