さかうえ かおる

落語love。2018年から月1回、自宅で落語会を開いています。(今はコロナでお休みし…

さかうえ かおる

落語love。2018年から月1回、自宅で落語会を開いています。(今はコロナでお休みしています)。 寄席の名前は「love落語(らぶらく)」。落語の面白さを一人でも多くの人に伝えたいのだ! 落語とともに洋裁、刺繍など手芸も好き。久しぶりに編み物にもチャレンジ。

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大島優子と何の役にも立たないボールペン ~元夫を見送った夏~

初めて降りる駅。駅前からタクシーに乗り、住所を告げる。 同じ住所が何軒もあり迷ったが、表札のような紙が貼ってあり、ここだとわかる。 主のいない家に入るのは、どこか後ろめたくてせつない。  鍵を差し込み、玄関を開ける。 ああ、こういうところに住んでいるのか。 部屋に入ると、大島優子が笑って出迎えてくれた。 ここは元夫の家だ。  8月3日(水)ものすごく暑い日だった。 7月末で仕事を辞めた娘が、8月はゆっくりする、まずは部屋を片付けると言い、ニトリで衣装ケースを探し、パフ

    • 2024年新作落語台本に応募して

      2024年落語協会新作落語台本の入選作品が発表になりました。 私がこれを書いているということは、 そうです、今年も陽の目みずです。 応募すること6回。 毎年、今年こそは!と思って発表を心待ちにしています。 なのに、残念無念また来年。 でもめげない。 いつか、寄席で私が書いた落語を聴く日まで、また頑張る! 謎の自信があった応募作はこちらです。 こみち師匠とか、桃花師匠とか、つる子師匠とか、きよ彦さんとかに演ってもらえたら身に余る金平糖。じゃなくて光栄のイタリアン。と夢見て

      • 『伝えるための準備学/古舘伊知郎著』を読んで

        古舘伊知郎さんは天才だと思っていた。 次から次へとスピーディに滑らかに魔法のように言葉が出てくる。 独特の表現、言葉の組み合わせ、喋りの神様に選ばれし者なのだと思っていた。 ところが『伝えるための準備学』の、はや5ページにして、 天才じゃない宣言。 え、古舘さんが天才じゃないなら、いったい誰が天才なの? じゃあどうやってあの実況は生まれたの? それは「準備」なのだと。 この本には、なぜ「準備」をするようになったのかをはじめ、古舘さんがこれまでしてきた「準備」の数々が

        • 落語を好きになってよかった。2023年心に残った高座7つ

          2023年どれくらい落語を聴いただろう。 手帳を見て数えたら116公演だった(配信含む)。たくさん聴けば良いというものではないし、かなり偏った聴き方で、出演者・演目までは書いていないから、記録としての価値もない。 ただ、私が楽しんだ証だ。 落語を聴き始めた当初は演目を詳しく書いていた。 でも元々几帳面なタイプではないから面倒になり、ちょうどその時、シブラクのポッドキャストでサンキュータツオさんがこんなことを言っていた。 「詳しく書いておかなくても心に残った高座は覚えている

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        大島優子と何の役にも立たないボールペン ~元夫を見送った夏~

          『令和版 現代落語論』は談笑師匠から落語への壮大な恋文だ

          落語はただ座って、見て聴けばいい。 面白ければ笑って、あー、楽しかった。 それでいい。 それがいい。 小難しい蘊蓄はいらない。 ましてや落語論? とんでもない。 論じたりするから、ハードルが高いだの、高尚な趣味だのと誤解される。 落語は庶民の娯楽だもんね。 あーだこーだ理屈をこねないでおくんなまし。 と、落語を好きになって5年の私は思っていた。 この本を読むまでは…。 『令和版 現代落語論』は、落語を愛する人と、落語をまだ愛していない人(みんなじゃん)に向けて書かれた

          『令和版 現代落語論』は談笑師匠から落語への壮大な恋文だ

          2023年落語協会新作落語台本に応募して

          私のライフワーク「落語協会新作落語台本コンテスト」応募。 今年も夢は夢のままでした。 2019年から応募を続けて5回目。 今年こそいけるんじゃないと思っていた私のなんとおめでたいことよ。 いとをかし。 so cute! 勘違いこそ生きる力。 めげない。 また来年! 根拠なき自信があった作品はこちらです。 坂上薫作『いとをかし』 さくら「あなたは突然パンツが破けたことがあるだろうか? 下着じゃなくてズボンのパンツだ。 私はある。つい、さっき、今しがた、パンツが破けた

          2023年落語協会新作落語台本に応募して

          上田豪さんに名刺を作ってもらった

          きっかけは令和5年5月27日に開催された「第3回ひろのぶと株式会社定時株主総会&第2回株主ミーティング」だった。 私は、ひろのぶと株式会社社長・田中泰延さんが大好きで、ささやかな株主になっている。 この株主総会で、twitterで知り合ったタカハシユカンチさんからもらった名刺があまりにも素敵で釘付けになった! ボーイッシュでかわいいユカンチさんのイメージにぴったりのしゃれた名刺。 「素敵な名刺ですね」と言ったら、 「上田豪さんに作ってもらったんです」と。 なになになにー。

          上田豪さんに名刺を作ってもらった

          心が洗われて、表れる『スローシャッター』

          毎週金曜日にnoteにアップされる田所敦嗣さんの文章が楽しみだった。 田所さんが書く、仕事を通じて知り合った世界各地の人たちとの心温まるエピソードを読むと、私が行ったことも聞いたこともない街の人が、まるで隣で暮らしている人みたいに思えた。 田所さんのnoteが一冊の本として、ひろのぶと株式会社から出版されると聞いた時、自分のことのようにうれしく思ったのは私だけではないと思う。 どんな書名で、 どんな表紙で、 どんな本になるんだろう。 これほど発売を待ち望んだ本ははじめて

          心が洗われて、表れる『スローシャッター』

          「全部を賭けない恋がはじまれば」を枕元に置こう

          初めて稲田万里さんの文章を読んだのは、noteにコスモ・オナン名義で書かれた「居酒屋で面接されバトンタッチされた事件」だ。 マッチングアプリで知り合った彼の元カノに、セフレとして合格がどうか面接される話。 荒唐無稽で理解を超えた。 フィクションなの?まさかノンフィクション? 知らない世界を見せてくれるオナンちゃん、 いっぺんで、いや一編でファンになった。 そのうちオナンちゃんは「日曜興奮更新」として小説を書きはじめた。 これがびっくりするほど面白かった! 彼女の非凡な

          「全部を賭けない恋がはじまれば」を枕元に置こう

          2022年落語協会新作落語台本に応募して

          私的老後を楽しむイベント「落語協会新作落語台本コンテスト」。 2022年の最終審査に残った作品がきょう発表になった。 2019年から応募を続けて4回目。 今年は自信があった。 最優秀賞は無理でも、最終選考には残るに違いない。 どう控えめに考えても二次選考には残るはず。 だってだって、すごく面白いものが書けたんだもの。 それがどうよ。 かすりもしなかった。 失礼しちゃう。笑 するってぇとなにかい?タイトルがひらがなだからダメだったのかい。 (そんなはずはない) するって

          2022年落語協会新作落語台本に応募して

          Facebookが毎年教えてくれる父の笑顔

          Facebookの「過去のこの日」機能。 8年前のきょう2004年6月21日は入院中の父を家に連れて帰り麻雀をやっていた。 父はゲームとしての麻雀が大好きで、若い頃小島武夫と卓を囲んだことが自慢だ。 小島武夫、誰それ? 知らない。 だから私にはもちろん、私の娘にも保育園の頃から麻雀を教えていた。 最初はおもちゃの「ポンジャン」だったが「物足りないな」とすぐに本物の麻雀になり、娘だけは役なしでも上がれるローカルルール適用。 雀士・父は、たとえ保育園児相手といえども容赦なし

          Facebookが毎年教えてくれる父の笑顔

          ポケットと残り布には服がある。

          夏が来る! 服つくる! 福も来る!(予定) 2022年も作りました夏物あれこれ。 なんと永遠の初心者(私)がパンツにポケットを付けられるようになった。 ポケットって、あるとないとじゃ大違い。 スマホとか、 買い物メモとか、 手とか、 入れるのに便利便利。 ポケットがあるとウエストゴムでもちゃんとした服に思える。 なんで今まで付けなかったんだろう。 ポケットができたことがうれしくて、意味なく何度も手を入れてみる可愛い私、65歳。 ポケット万歳! 黒のパンツと赤のブラウ

          ポケットと残り布には服がある。

          しおりを、あげたい。

          きっかけは、のりみやまもとさんのtweetだった。 「読みたいことを、書けばいい。(田中泰延著、今野良介編集)」という本のブックカバーを作られていた。 表紙は本の表紙そのまま、裏には本文の一部を刺繍。 最初に写真を見た時、あまりにもきれいで、刺繍だと気がつかなかった。 よーく見て刺繍だとわかった時の衝撃! 美しい…。 神技だ。 本や著者への愛があり、なおかつ技術と根気があってこそできること。 心を撃ち抜かれた。 ずきゅん。 そして図々しくも思ったのだ。 何かどこかほんの少

          しおりを、あげたい。

          渋谷のんべえ横丁に 「鳥重」という焼き鳥屋があった

          渋谷のんべえ横丁に「鳥重」という焼き鳥屋があった。 カウンターに10人座ればいっぱいになるわずか2坪のお店。 お世辞にもきれいとは言えないこの店は、70歳になろうかというお母さんがひとりできりもりしていて、びっくりするほど美味しい焼き鳥をびっくりするほど安く食べさせてくれた。 よく手を動かし、よくしゃべり、よく笑うお母さん。 2012年に店を閉じるまで、休業日以外は、雨の日も風の日も嵐の日も東日本大震災の日も営業を続けて、ひたすら焼き鳥を焼き、スープを作り、お客さんをもて

          渋谷のんべえ横丁に 「鳥重」という焼き鳥屋があった

          Little black sweater

          2020年、久しぶりに編み物をしてセーターを編んだ。 思いのほかうまくできて、次に手袋も編み、これはすごくうまく編めて、いい気になった。 それから1年。 冬がくる。 2021年のセーターを編まなきゃ。 1年に1作のニット作家の気分。寡作だ。 ところで、この1年の私のポンコツぶりがひどい。 仕事を辞めてのんびりしていることが大いに関係していると思う。 手帳に予定を書く時に一週間間違えて書いてしまうのはよくあるし、手元がおぼつかず、立て続けに2個もグラスを割った。 もっといろい

          Little black sweater

          2021年落語協会新作落語台本に応募して。今年も夢は儚く消え……

          2021年落語協会新作落語台本の最終審査に残った作品が発表になりました。 どきどきしながらページを開きましたが、 そこに私の作品の名前はなく。 せめて二次審査を通過しててほしい。 でも、そこにもなく。 どこにあるんだ私の作品。 どこにもないのでした。 残念、がっかり、しょんぼり。 20210年の今頃も、同じで内容でnoteを書いてました。 デジャブ。 いやデジャブは一度も体験したことがないことを体験したように感じることなので違う。 去年も一昨年も体験して、

          2021年落語協会新作落語台本に応募して。今年も夢は儚く消え……