子供のためのルーブル美術館(12)ああっ、ミロンの手が抜けない!/ルイ14世のために作られた傑作・ピュジェ
むかしむかしの
古代ギリシアのおはなし
クロトンに住んでいるミロンは
子供のころから 毎日 かたに牛を乗せて歩く訓練をして
有名なレスリングの選手になりました。
ミロンは一度に 10キロの肉と10キロのパン、8リットルのワインを飲まないと
おなかがいっぱいにならないくらいの大ぐいでした。
「わたしの体は誰よりも大きく誰よりも強い
わたしにかなうものなど
誰もいないぞ」
オリンピックでも ギリシアの大会でも
24年間ずっと 誰にも負けたことがないのが
ミロンのじまんでした。
そんな強いミロンが年をとってから イタリアに旅に出ました。
森のおくふかくに入っていくと 古いかしの木がたおれていました
いつものようにミロンは思いました。
「こんな木など、こっぱみじんだ。わたしの力にかかったら
なんでもこなごなだ!」
と 手をふりおろしましたら
なんと
すっぽりはまってしまって ぬけません。
足をふみしめても どうしてもぬけません。
助けをよんでも 森のおくふかくでは 誰もいません。
すると とつぜん
暗やみの中から
一頭のライオンが ものすごいいきおいでとびかかってきました。
やられた!
手がつかえないミロンは 戦うことができません。
自分が世界で一番強いと思いこんでいた ミロンは
最後に ライオンには勝てませんでした。
Pierre PUGET
Marseille, 1620 - Marseille, 1694
Milon de Crotone
Provient du parc de Versailles, placé en 1683 à l'entrée de l'Allée royale.
Marbre de Carrare, 1671-1682
ピエール・ピュジェ
クロトンのミロン 1671-1682
ヴェルサイユ宮殿の公園から1683年にアレー・ロワイヤルの入り口に設置された。
お読みいただきありがとうございました。
誰にも負けたことのないミロン、まさか振り下ろした手が切り株に挟まれて抜けなくなるとは思いもよらなかったでしょう。
11年の歳月をかけて作られた彫刻はルーブル美術館の中庭で、注ぐ日光を受けてひときわ輝いて見えます。この巨匠ピュジェの作品を意識しその表現力を目指していくつも後世に彫刻が作られています。その一つをご参考まで。
Étienne Maurice FALCONE
Paris, 1716 - Paris, 1791
Agréé à l'Académie royale en 1744, reçu en 1754
Milon de Crotone, 1754