ZEROから始める血盟生活 No. 20
ラムとエミリア護衛役の決定戦をするため屋敷の中庭に出た私達は、決闘の準備をしていた。
「スバル。ちょっとお腹の調子が悪いから御手洗いに行きたいんだけど…」
「ダメだ! お前さっき行ったばっかりだろ?それでなくても 今日だけで何回トイレに行くつもりなんだ!早く準備しろ。」
「そんなぁ〜……。」
私はスバルに言われるがままトイレは諦め、渋々戦いの準備をする事にした。
「ねこ!武器は何にする?一応一通りの物は用意出来ているからな。」
リネの世界から、こちらに連れてこられたので、私の職業はソードシンガーのままのようだ。
なので、スバルに双剣を用意してもらう事にした。
「ねこは双剣使いかぁ!こりゃラムとどれだけやれるか楽しみだなぁ。くれぐれもこんな所で死に戻りを発動させるのだきゃやめてくれよ!」
オイ!! 誰のせいでこうなったと思ってるんだ!っとは言えない小心者の私は準備運動もソコソコに済ませ、決闘開始位置に立ってしまった。そしてエミリアの合図で、ラムとの対決が始まってしまう。
「二人共用意はいい?行くよ〜始め〜♪」
エミリアの合図はタイミングがイマイチわかりにくいw
開始早々ラムの攻撃が放たれる!
「ふんっ!お客様に恨みはないけど一瞬で決めさせてもらうわ。『アルヒューマ!!』」
ラムの魔法は風を操る風魔法だ、まともに受けたら鎌鼬の要領で切り刻まれてしまう、私は素早く後ろに跳びのき風の刃を躱す。
スバルは戦いの前に予め作戦を立ててくれていた。
「いいか ねこ。ラムは角折れの鬼族なんだ。だから本来の力を出すだけのマナが普通の鬼に比べて極端に少ない、まともに戦闘が出来るのは精々10分が限度ってとこだろ。序盤は兎に角ラムの攻撃を躱し続けてろ。そしてマナが切れたら一気に接近戦に持ち込んで勝負を決めて来い!」
スバルの作戦通り私はラムの攻撃を躱し続けた、鋭い風の刃を体を捻って躱し、双剣で受け流す。的を絞らせないようにランダムに右に跳び縦に走りまた横に飛んだり、攻撃を躱し続ける事約10分。
私の息も段々と乱れ始めて、徐々にラムの攻撃が体の皮膚を掠めるようになって来た。
しかし、疲れたからって動きを止める事は出来ない、重く感じる体を奮い立たせてなおも躱し続けること約15分ほど経過したか……。
あれ!?ラムの魔法の威力が全然衰える気配がないんだけど…。あれれれぇw
「ふんっ!どうせバルスの浅知恵で、私のマナがすぐに切れるとでも言われたんでしょうが、魔犬の時と違って今はロズワール様の加護があるのよ!よほど大規模な魔法を使わない限りマナが尽きる事はないと思いなさい!『アルヒューマ!』」
そ、そんな〜!!ロズワールの加護というある意味チートな方法で、スバルの立てた作戦は根底から覆る事になってしまった。
私はこの作戦の立案者であるスバルに、次の作戦をどうしようかアドバイスを貰おうと目を向けると、彼は肩を竦めて両手の掌を捻り、もうお手上げ状態であったw
(わりぃ!この作戦しか考えてなかった。一人でどうにかしてくれ。)
今、こんなことをアイツは考えているんだろうなぁと思いながらもラムの攻撃を躱しつつ、私はスバルにジト目を向けるのであった。
もうこうなったら体力が少しでも残っているうちに接近戦に持ち込んで勝負をかけるしかない。
私はラムの攻撃を躱すと同時に彼女の懐に飛び込んだ!
しかしラムは待っていたとばかりに『ニヤッ』っと私に笑いかけた。
「お客様ならそうすると思っていたわ。これで私の勝ちね!『ベルヒューマ!!』」
ラムの呪文と共に地面から無数の風の刃が迫り出し、私の体を貫く!!大きく空中に吹き飛ばされながら意識が遠のくのを感じた時、ZEROの皆んなの顔が走馬灯のように私の頭の中を駆け巡って行く。
「あぁ…。皆んなゴメン。こんな弱い盟主で本当にゴメンね…。」
ルウ(ねこにゃんは弱くなんてないよぉ♪)
「ルウっちありがとう!」
牛かつ(ねこさん頑張って下さい応援してます。)
「牛かつさん大好き♪」
ネオン(ねこにゃん最後に おぱんちゅー♪見せて!)
「ネオにゃん、それはちょっと…。」
カルロス××(まんまさん ガ )
「ゴンさん????
レオニール(はんっ!こんな所でお寝んねか!情け無い。)
「何お〜!このバカニールめ!!」
ZERO全員
『頑張れ!!ねこまんま!!!!』
ドクンッ!
ドクンッ!ドクンッ!
ドクドクドクドクドクドクッン!!
胸の奥から急激に何か熱い物が込み上げて来た!
身体の底から力が漲って(みなぎって)来るのを感じる!!
皆んなの声援に後押しされて意識を取り戻した私は、空中で身を翻して着地し、決着がついたと思い安堵しているラムとの間合を一瞬で詰め寄る、それに驚いたラムは咄嗟に防御態勢を取るが間に合わず、私の後ろ回し蹴りが先に彼女の脇腹に炸裂した。
「がっ!!」
ラムの綺麗な顔が苦痛に歪むのを見て、私は畳み掛けるようにクルッっと半回転しつつ双剣の柄部分で彼女の背中に渾身の一撃を加えた。
衝撃の勢いで地面に叩きつけられたラムはその場で立ち上がろうとするが、上体を起こしたところで力尽き気絶してしまった。
私は全身ボロボロになりながらも辛うじて立っている状態であったため、審判役であるエミリアが勝者に勝ち名乗りを上げたのだった。
「そこまでね!勝者ねこ!!」
「はぁはぁ…。危なかった。ZEROの皆んなが応援してくれたから…勝て…た……。」
バタンッ
そう言いながら疲労とダメージの蓄積で、私はその場に倒れ込んでしまった。
こうして激しい戦闘の末、私はエミリアの護衛役になることが出来たのである。
らんちゃん♪
@rantyann_0627
https://twitter.com/rantyann_0627
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