秋田の伝統工芸・川連漆器の魅力
秋田県の伝統工芸の一つに「川連漆器」があります。
地塗りの工程を何度も繰り返すために堅く丈夫に仕上がる川連漆器は、漆がとてもつややかで、丁寧に扱えば長く使っていけるものです。地元では引き出物に使われることもあります。
川連漆器に携わる職人さんの作品はどれも個性的で魅力的。
私自身もそうした作品がとても好きで、地元民なのに土産物店をうろうろしてみたり、川連漆器のフェアや展示会には機会があるたびに足を運んでいました。
この記事では、川連漆器の歴史、好きな作品、蒔絵体験について紹介したいと思います。
川連漆器の歴史
川連漆器は鎌倉時代(1193年)、源頼朝の家人で稲庭城主小野寺重道の弟、道矩公が古四王野尻(現在の漆器の中心地)に館を築き、家臣に刀のさや・弓・鎧などに漆を塗らせたのが始まりとされています。
しかし、本格的に漆器産業が始まったのは17世紀中頃、元和から元禄にかけて川連村に椀師家業を営んだとの記録があります。
文化12年(1815年)、藩の許可を得て朱塗りの漆器をつくり販路を他国にひらき、江戸時代後期には藩の保護政策のもとに、椀・膳・重箱など幅広い漆器が作られるようになり、沈金・蒔絵などの飾りが加わり基盤をさらに大きく築き上げていきました。
明治には新しい技術開発が行われ、堅牢さを誇る実用的な生活用品として日常生活に密着し、800年を経た今日も、川連漆器として親しまれています。
漆工房 攝津の「みのり鉢」
あきたこまちの燻炭を用いた石目(表面がザラザラした感じ)仕上げの器です。この技法は攝津さんが考えた独自の方法だそうで、他の川連漆器には見られない独特の質感があります。
これは「食器のさかいだ」で購入したのですが、実際見て触ってみると、見た目が金属や石のようなのに木製で軽いというギャップに驚かされました。
お年寄りになると腕の力も落ちて、金属製や重めの陶器の食器は使えなくなってきたりするので、お年寄りの方の使う食器のバリエーションとしてもいいのではないかと思いました。
ただこの食器、ひとつで1万円以上するので、買うのは相当勇気がいります。作る手間がかかっている分お値段もそれ相応。大事に大事に長く使っていきたいと思います。
非常に固く丈夫なので、金属のスプーンなどを使っても傷つきにくく、サラダ、パスタやカレーライスなど幅広く使えます。私はパスタやサラダを入れたりするのに使っています。
▼漆工房 攝津のHPはこちらです。
蒔絵工房 五兵衛のグラス×蒔絵
この工房の八代目である加藤尚人さん、秋田県で開催していた東北六魂祭の屋台で、ぐい呑みを販売していたのをお見掛けしました。
透明なグラスの底に金粉などが散っている蒔絵の美しさに一目惚れし、それ以来いつか蒔絵グラスを作って貰いたいなと思っています。
(蒔絵は川連漆器の加飾技法の一つで、平塗漆で絵や文様などを描いて、乾かないうちに金粉や銀粉などを蒔いて定着させる技法です)
五兵衛さんのHPのギャラリーでは、加藤さんの様々な作品を見ることが出来ますので、是非見てみて下さい。
▼蒔絵工房 五兵衛のHPはこちらです。
左完漆器店
塗り師の佐藤完治さんと、蒔絵師の佐藤渉さんの親子で営んでいる漆器店。
完治さんは「活けるだけでなく飾りとしても使用できるような花活け」を制作しており、そのどれもが個性的です。
渉さんは父・完治さんの制作した花活けや漆器、仏壇などに蒔絵を施しています。
近年はガラスへの蒔絵も行っており、加藤尚人さんともコラボレーションしています。下記リンクで佐藤渉さんの蒔絵が施されたオールドグラスとバルーンタンブラーを見ることができます。
川連漆器の蒔絵・沈金体験が出来る「湯沢市川連漆器伝統工芸館」
湯沢市川連漆器伝統工芸館は、秋田県湯沢市川連にある施設で、川連漆器を中心とした地場産品の展示・普及・販売の促進、歴史・文化資料の保存・紹介、情報発信等の機能を備え、地域活性化に寄与することを目的としています。
一階には展示販売フロア、物産観光インフォメーション。二階には歴史資料館、体験室などがあります。
「川連漆器を見たい! 知りたい!」という方は、是非一度訪れてみて下さい。川連漆器に蒔絵を施したり、沈金を施してみる体験も予約制で受付ています。
以前、家族とこちらで蒔絵体験をさせて頂いたことがあります。
図案を作って、転写シートみたいなもので漆器にそれを移して下書きとします。そうしたら、筆に白い漆(平描漆)を取り、下書きを丁寧になぞっていきます。丁寧に、でも乾かないうちに急いで塗ります。
白い漆が乾ききる前に、予め選んでおいた金粉や銀粉をぱっと上から散らして、渇くまでおいておき、漆が乾き切ったら余分な粉を落として出来上がりです。
シンプルな工程ですが、完成させるまでに2、3時間くらいかかりました。完成品はこちらです。
漆器は輪島や川中、会津など色々な産地がありますが、私は川連の漆器が一番好きです。地元びいきなので。
これを見た誰かが川連漆器に興味を持って頂けたらとても嬉しいです。
参考🍋
今まで頂いたサポート、嬉しすぎてまだ使えてません(笑) note記事を書く資料や外食レポに使えたらなと思っていますが、実際どう使うかは思案中です←