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静嘉堂文庫美術館-Open記念響きあり名宝-国宝がところせまし

10月14日丸の内の静嘉堂丸の内美術館が開館した記念展覧会に行ってきました。国宝が豊富に展示されているこの展覧会は岩崎家が明治後美術品が海外に輸出されてしまう中、流出を阻止した品々であり、その国宝一つでも、単独の美術展を開けるのではないだろうかと思いました。
中でも私が注目したのは、「付藻茄子」という茶道の茶入であります。

大名物 唐物茄子茶入 付藻茄子
このツクモナスと名付けられた茶入は所有者が名だたる有名人です。
足利義満、織田信長や松永久秀、徳川家康等です。
この「茶入」は釉薬がかからず土の部分が見えていたからつけられた名前でもともとは「九十九」でありました。
在原業平の伊勢物語に出てくる和歌「百とせに一とせ足りぬ九十九髪我を恋ふらし面影に見ゆ」からとられています。この和歌はイケメン主人公に惚れてしまった壮年の女性がこそっと主人公を盗す見を行うことを主人公は気づいており、それを和歌にしたものです。
一目でも会いたいという恋心はいつでも何歳でも訪れ常軌を逸する行動に人を駆りたてるというものの表現でもあります。
このような「和歌」の例えが用いられた名前が付いたこの茄子は、アンバランスの曲線を描くフォルムであり、そのあえて形を崩した「もののあはれ」が多くの茶人を虜にしたことからかも知れません。
※「もののあはれ」・・・趣がある
そして釉薬が足らぬ箇所が「長い年」を表す「百とせ」ではないが「長い間」という「九十九」という意味合いにつながるものになっています。

私は美術館で見て、それがなぜ「付藻」という当て字に変化したかというとを推測しました。この「茶入」は本能寺の変や大阪城落城の際、罹災し破片となるが、修復師の藤重父子により、蘇ります。釉薬の欠損はその修復で無くなったのかもしれない。なぜなら漆で継ぎ合わされた「付藻茄子」は本物の茄子のように鈍い淀黒色を放ち趣がある変化がある茶入となっていたからです。

このように今回の美術展は一つ一つの鑑賞物に物語があります。それは本当に「付喪神」みたいです。
※「付喪神」・・・日本に伝わる、長い年月を経た道具などに精霊(霊魂)が宿ったものである。人をたぶらかすとされた。(Wikipedia)

一度は目にしたい国宝たちに一度皆さんもお会いしに行ってみたらいかがでしょうか。

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