通謀虚偽表示 わるもの!わるもの! 水曜の夜会
こんばんは。lotterです。
記事をのぞいていただきありがとうございます。
水曜日は法学部生向けに法律知識や思考を解説しています(もちろん法学部生以外も大歓迎!)
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前回は少しまとめをしたので、今夜は新しい条文にチャレンジしましょう!
いわゆる「通謀虚偽表示」と呼ばれる条文。
通謀!虚偽!
いかにも悪そうですねー!
まあ、実際よからぬことに使われるのですが、事の善悪というよりも「通謀とはなにか」「虚偽とはなにか」をなんとなくイメージすることをまずは心がけましょう。
1.条文
(虚偽表示)
第九十四条 相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
2 前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
今回は2項はとりあえず無視します。
1項を見ると
・相手方と通じてした(通謀)
・虚偽の意思表示
が無効となると書かれています。
「虚偽」というからわかりにくいのですが、心裡留保のときの「真意ではない」と同じ意味で、
表示に対応する効果意思がない
ということです。しかもそれを「自覚している」という点でも、心裡留保と同じです。
違うのは、意思表示の相手もそのことがわかっていて、なんなら加担しているということです。
なので、そもそも意思表示の効力を持たせる理由がない。だから無効。
理屈は単純です。
2.気持ち
でも、そんなのいつ使うの・・・?相手はグルなんだよね?意思表示の無効とか有効とかどうでもよくない?
あれだ、仲間割れしたときでしょ!
となったあなた!勘が鋭すぎます!もうちょっとゆるく生きてください(大きなお世話)
確かに話はそっち方向には進んでいくのですが、ここではもうちょっと手前の話をしましょう。
AさんはSさんから借金をしていました。
その借金をなかなか返すことができず、このままではAさんが所有して住んでいる土地(甲と名付けます)をSさんに差し押さえられるかもしれない、という状況でした。
そこで、Aさんは仲の良いBさんと示し合わせて、甲土地をAさんからBさんに売ったように見せかけることにしました。
見せかけるためにやったこととしては、契約書を作成し、土地の登記も移しました。
図にするとこんな感じ。
なんでこんなことをするかというと、差押えの対象とすることができるのは、その人(Aさん)の財産だけだからです。
このとき、Sさんは、
A・B間の売買契約は無効だから、土地はAさんのものだ!
だから差し押さえられるはずだ!
と言って構いません。
※実際にはあまりこの方法は使われませんが。
これが気持ちです。つまり、
当事者(Aさん・Bさん)以外の他の人(第三者)が
不利益を被らないようにする
というのが虚偽表示が適用される際の気持ちです。
もちろん、単純な仲間割れパターンもあります。
虚偽だったはずなのに、なんか契約書通りのことをしろと言ってきた(Bさんが甲土地を明け渡せと言ってきた)とか。
そのときに、Aさんはそれを拒むことができます。
でも、こんなストレートなことはあんまりないかな・・・年数が経って相続が起きて、当時のことを誰も覚えてないとかなら別ですが。
今日はこの辺で。
次回からどんどん込み入ってきます!ご期待!(イヤだ・・・)
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