イージュー⭐ライダー🚛旅ガラス【エッセイ】
野鳥探偵で、マミチャジナイじゃないガビチョウの雛を見つけた日の帰り道。
実は、もうひとつの野鳥ミラクルに遭遇しておりました。
遠方での仕事を終え、車で幹線道路をひた走っておりますと…隣の車線から大型トラックが我々の前に入ってきました。
夜の闇が降りてくる時刻。周りも自分もライトを点灯して運転していたのですが、私はなんとなく違和感をおぼえました。
前のトラック、ナンバープレート横にうごめく影。
最初は猫かと思いました。子猫がエンジンルームに入り込んでしまう事例を聞いたことがあったので。
でも、トラック後方のすき間に、こんなスピードで走っているのに、しがみついていられるだろうか?
赤信号で停車したので、よーく目を凝らして見てみると…
「カラスだ!」
助手席の相方が「えっ?」と腰を浮かせます。
フロントガラスの先を指さし、居場所を教えました。それでも、暗がりに黒い羽なので、すぐには見つけられません。
「道路にいるの?」
「違う違う!前のトラックのナンバー横見て!」
「わっ!本当だ!大丈夫なのかな?」
信号待ちのこのときがチャンスだ。危ないからすぐ降りてすぐ飛びな!と願いましたが…この声が届くはずもありません。
我々の心配をよそに、カラスちゃんは身じろぎして体勢を整え、再び車が走り出したときにもじっと掴まったままでした。
次の信号待ちでも、余裕すら感じさせる飄々とした顔つきでさらに羽繕い。
「ひょっとして…このトラックに自らの意思で乗ってるのかい?」
とにかく無事に!と祈りつつ、車間距離をあけて気をつけながら走ることしかできませんでした。
口の中が赤かったので、まだ子どものカラスだと思われます。
私はふと、あとりえ・あっしゅさんのカラスのジュールのことを思い出しました。
遠く離れたフランスの空を、今ごろジュールは飛んでいるのだなぁと想像。
日本ではこのトラックに乗って旅するカラスの子が。
まだ自分の翼では遠くまで飛べないけれど、こうして長距離を移動する方法を見つけたのかもしれないと。
カラスがもっと好きになるきっかけをくれたあっしゅさんのジュール記事。
このとき、暗がりでもその存在に気づくことができたのは、あっしゅさんの記事に涙し、うれしくなり、生命の愛しさを改めて感じたからだと思いました。
旅ガラスのカラスちゃん、今日も日本のどこかで、次はどこナンバーのトラックに乗ろうか?行先を考えているかもしれませんね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました🍀