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心に巣食う 心を掬うと 心は救われるか?

文学フリマ福岡10を境に、色んなことがわが身に訪れた。

大好きな人達はもっと好きになって、さらに大好きな人達が増え、人間関係運がぐーんと上がった。

昔から人とのつきあいにおいて、ある面では優しいぬくもりを湛え、その一方で心が荒むくらいダークという両極端さがあったが、ここ二週間は、そのダークサイド(隣人か親類関係😹)を打ち負かすくらいの温かいパワーに包まれていた。


そして、最近の出来事というと、私も応募していた秋ピリカの結果発表があった。賞はとれなかった。

秋ピリカのマガジンから応募作をいくつも拝読したが、とにかくみんな面白いし書く技術もすごい。胸を打つ作品から、ゾクッとするものまで、読んでいて色んな感情を揺さぶられた。

書いているときはすごく打ち込んでいて、「もうこれ以上どうすべきかわからん」というところまで書き直したが、そのやりきった感さえ粉々になるほど、集まった作品達はすごかった。

そんななか、読者賞候補のひとつに、『魔女の誕生日 ~紙のみぞ知る~』がノミネートされていた。

他の候補者さんは、クラクラするくらい錚々たる面々。
私の心をガツンと感動の真っ只中に突き落としてくれた作品ばかり。打ちのめされたのに、読後は面白いお話に出会えた幸せに浸るという複雑な感情を味わった。

自分にとっては、まさかまさかの読者賞候補。本当にありがとうございます。

私の秋ピリカは、終わった瞬間に再び始まった。

候補へ推してくれた方がいた、という事実が最高にありがたくて、涙ぐむほどうれしかった。

しかし、投票となるとおそらく自分に票はあまり入らないかもしれないと覚悟もしている。
色々、力のなさを痛感しているが、それを一つ一つ羅列するのはやめておく。

ただ、応募するまでの道のりを振り返ると、やはりあの作品を出してよかったなと思うのだ。

最初、『紙』をテーマに書くに当たって、いくつかのお話が思い浮かんだ。


まずは、神社で大祓の頃に使う、人形の紙に息を吹きかけ穢れを移すという儀式があるのだが、そこに自分の魂が移ってしまって……という展開。
でも、そういうミステリアスなお話は、深みと格調のある素敵なお話に書き上げる方がいるだろうな。
それに、納得できるラストが浮かばない。という理由で却下した。

次に、林間学校のキャンプファイヤーで子ども達がこっそりお焚き上げするというもの。0点の答案(のび太か)や親の離婚届、渡せなかったラブレターなど。
でも、燃やす直前でそれらが紛失して……というお話。
とても1200字には収まらないと断念した。しかも収拾つかなそうな内容だった。

そしてもうひとつは、最初の紙の人形から派生して、街から街へ移動する人形使いの男が、子ども達の魂を紙の人形に移し、連れ去って、また次の街で彼らを芝居の登場人物として操るというハメルンの笛吹きのようなホラー系。
面白く展開させる自信がない。と頭を抱えた。

ボツになった愛しきネタ達


最後に、チラチラと頭にちらつくアイテムがあった。
「紙ナプキンにはインクがにじむから」というユーミンの歌の一節に出てくる「紙ナプキン」である。
恋愛ものと見せかけて、インクの滲みを利用したミステリーはどうだろう?
俄然、やる気が出てきた。
なのに、なぜだかやる気以外の気持が乗ってこなかった。なかなか書き出せないのである。

私はガチガチの頭をほぐしたくて、スピッツの歌を聴くことにした。スピッツファンだと言いながら、ここ最近はあまり聴けていなかった。

そして、スピッツがカバーした『タイム・トラベル』(原田真二さんの歌)が鳴った瞬間、自分の中の塩釜がガシャーン⚡️ボロボロ))と崩れた。(すると鯛の尾頭つきが現れ……ウソデス)

曲を聴きながら、大好きな世界観がどんどん脳ミソを洗い流してゆく感じがして、恥ずかしながら泣いていた。(ひとりだから心置きなく浸っちゃった六太)

読んだ人が読む前より少しでもハッピーになれる物語が書きたい。日常の憂さが晴れてくれたらいいな。
と、(出来ているかどうかは別として)noteで投稿をはじめた頃からそう思って書いてきた。
これまで私は物語に救われてきたから、物語への恩返しのようなつもりで。

まずは、書いた自分が読み返してそういう気分になれなきゃいかんよね。こうなったら、自分の大好きな要素を詰め込んじゃおう。
そう思った途端、するすると言葉がスマホの下書きに浮かんできた。

「書ける……私、書けるわ……。月影先生!」
「フッ、今の気持、忘れないように」


月影先生が妄想に出てきてくださったなら、あとは最後まで演じきるのみ! じゃない、書き上げるのみ!

お話を二日かけて書き、応募までの約二週間は言葉を削ったり入れ替えたり、登場人物を減らしてまったく違うふうに文を書き直したりしながら、『魔女の誕生日~』をつくっていった。

しかしこの作業、いくらやっても終わらない。
読み返すたびに「ここ、意味が伝わらなくないか?」「ああ! 文字数超過! なんで記号を多用するような物語にしちまったんだよう」と自分で課した設定にプンスカ o(*`ω´*)o しながら書いた。


この物語で、魔女にいつか出会えると心の片隅で信じて、信じたくて、でも、時々忘れる「私」。
余裕もなくて、自分がいま生きている意味がよくわからなくなって、年をとってきた実感を抱えながらさらに人を介護して、あるとき突然、魔女になれる資格を与えられる「彼女」。
ある部分において母のことではないかな? と感じるようになった。
どんなにツラい状況にあっても文句も言わず、目の前のやるべきだと思ったことを全うする。
でも、決して自分を見失わない。
自分の好きなものを寝る前や運転しているひとりの時間に、たくさん思い浮かべる。それらはみんな母の味方になって、明日は笑顔を連れてくる。
もしかしたら、この物語を読んだ誰かが同じように「これ、自分のことだ」と思ってくれるかもしれない。
いつどの時点でかは人それぞれだけど、私たちは魔女になれる未来を持っている(男子も)。そんなふうに感じてもらえたら……。
何度も何度もこの物語と向き合っているうちに、そういうお話になっていった。(黒糖ミルク烏龍ティーで酔ってます)

さて、もう少しで読者賞の投票が締め切られる。すでにみなさんの投票もぼちぼち終わっている頃かなと。
ならば勝手に無礼講じゃ~! と好きなだけ思いを書き連ねた。(作品への愛着で、ちょっとだけでも自分の物語への思いを知ってほしい心境になった)

どれが一番ガツンときた作品か? となると、私は他の人へ投票することになる。しかも、ひとりに絞れない。さらには、受賞作や候補の中にない作品で推したい物語がいくつかある。5票くらいほしい。

なので、一番好きな作品はどれか? という視点で投票することにする。
自分にとっての大切な物語に。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました🍀

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