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【ドイツ】キリスト教のお祭りの名前が差別になる話

11月11日、日本ではポッキーの日とか言われていましたね。
ドイツケルン辺りでは、カーニバルが始まる日としても有名です。
日本人にはなじみはないですが、子供を持つと、聖マルティン祭としても知るようになるかもしれません。


聖マルティン祭とは

ローマ時代にも遡り、ローマ軍の兵士聖マルティンを祝う祭りです。
彼は、夢にイエスキリストが現れ、自分の赤いマントを裂いて貧しい人に与え、最終的には聖人になったそうです。
この時期が近づくと、保育園や幼稚園、もしくは小学校でもランタン作りがあります。娘もランタンを作りました。

人生初のネズミランタン

1歳にしてはすごいできじゃないですか?!
・・・・・・なんて、ネズミの形までは保育士の方が準備して、娘は灰色で色を塗りました。かわいいでしょ?
娘の人生初の工作です。こういうのって皆さんとっておきますか? 
いずれ宇宙人みたいな似顔絵とか描いてくるのかもしれないですが、娘が作ったもの/描いたものとなったら愛着がやっぱわいてきます。
ひとまず、このネズミランタンは飾っておこうかと思います。

ランタンというだけあり、日暮れぐらいに子供たちが集まり、街中を歩くようです。

ケルンの聖マルティン祭 (dpa/Rolf Vennenbernd)

毎年娘の保育園でどうしているのかわからないですが、入園前に「今年は親なしで子供たちだけで祝います」と言っていました。
実際当日何があったかといいますと、わかりません。(へ?)
私は聖マルティン祭がいつかも忘れており、気づいたら、各個人の棚の上にランタンが置いてありました。つまり、ランタンを家に持って帰っていいよということなのですが、あれー?ランタンが置いてあるなぁ、ぐらいにしか思っていませんでした(爆)
お迎え時に保育士から一日何をしたのか軽く説明があるのですが、「聖マルティン祭だから何をしたよ」なんてことはなく。。。
もしかしたら、廊下に掛けてある「今日の1日」という掲示板に何か書いてあったのかもしれませんが。今となっては何をしたのか分からず、初めての聖マルティン祭は終わりました。

聖マルティン祭 ?ランタン祭り?

さて、今までは「聖マルティン祭」と言われていましたが、ここ最近ドイツでは名前がLaternenfest(ランタン祭り)やLichterfest(光の祭り)と言われるようになってきています。入園前の説明でも、園長先生が「いわゆる聖マルティン祭は、聖マルティン祭と言ってはいけないので、Lichterfestというのですが」と言っていました。バックグラウンドを何も知らないので、私は聞いてる最中は「は?Lichterfest?St.Martin?なんじゃそれ」としか思っていませんでした。
旦那に後々確認したら、聖マルティン祭はキリスト教のお祭りです。要は昨今の情勢(ドイツへの大量の移民)から、幼稚園や学校はキリスト教の生徒だけではなく、イスラム教などが一定数います。他宗教(主にイスラム教)の子への差別となってしまうため、名前を変更し始めているそうです。
正直耳を疑いましたね。ここはドイツですよ?もともとキリスト教の国家であり、キリスト教のお祭りをそのまま祝って何がいけないんですか。
極端な話、「お釈迦様の誕生日を祝う「花まつり」、移民が増えてきてるから名前を変更してください」みたいなものですよ。

郷に入っては郷に逆らえ?

海外に住むなら、「郷に入っては郷に従え」だと思っています。海外の文句を言うのは個人の勝手ですが、侵略じゃないので、その土地に住むならその土地のルールに沿った暮らしをするのは当たり前ではないのでしょうか。なのに、ドイツでは人種の多様性から「キリスト教系のお祭りの名前は差別になるから変更しよう」なんて動きになっています。

世論は反対者のほうが多い

ドイツ人全体がそういう動きなのかというとそんなことはありません。
2016年に、差別になるからと名称変更するべきと政界現れたそうです。実際は、11人に1人ぐらいの割合でしか賛成する者はおらず、2019年度に行われたアンケートでは、約66%が名称変更に反対していました。一般市民だけではなく、FDP(自由民主党),AfD(ドイツのための選択肢),CDU/CSU(ドイツキリスト教民主同盟)といった政党も70%以上の割合で反対しています。非キリスト教の人が賛成しているのかと思いきや、反対者の中には、イスラム学者もいたそうです。

AfDの名称変更反対しているポスター

聖マルティン祭で文句を言うなら、クリスマスなんてどうなるんでしょうね。昔、大学の教授がゼミで見せてくれた動画でこんな場面がありました。実際のドイツの小学校の宗教(イスラム教専攻のクラス)の授業で、「クリスマスを祝うと地獄へ行くから、周りの子供たち(イスラム教ではない子供)にクリスマスを祝うなと広めなさい」と、先生が教えていました。
その時は「やばいこの先生何言ってんだ」と思い私は笑っていたので、「何がおかしいんだ?」と教授にいわれた記憶があります。しかし、今思えば、実際に子供にそういう風に教えていたら怖いですね。まるで、刷り込み?洗脳?

結論

普段は伝統を大事にしてお菓子やお祭りの屋台など滅多に新しいものを取り込まないのに、こういう伝統行事こそ大事なのではないのか。。。
果たして、移民に押し寄せられたドイツの将来に未来はあるのか……

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