ゆきお先生へ
会社の先輩。崇拝?いやいや、敬愛していた人やね。
何でもいいから仕事探しなと言われ、適当に応募して受かった会社にいた人やわ。幸せの男、良い名前やね。
生物は子孫に遺伝子を伝えることでしか己の存在を主張することはできない。だが、人間だけが歴史を持っている。人間だけが、言葉や愛や情報やモノを交わし、集団を形成する。人間だけが、その人の歴史を受け取って次の世代へ繋いでいくことができる。
「僕」は、この人の背中ばかり見ていた。
「僕」は、この人ともっと一緒にいたかった。この人が存在していることを「僕」は認識する。この人が存在していることに「僕」は喜びを感じる。それを次の世代へ伝えるために「僕」は生きなければいけない。