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友だちにお手紙を書くようなフリーペーパー『えんを描く』9通目

発行年月:2013年3月
娘:5歳、保育園児の時
私:30歳

『えんを描く』とは?

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<当時を振り返って>
日々、さまざまなニュースを見ながら、つらくなったりかなしくなったり。なんで、こんなことが起こるんだろうと思うことがあります。

身近でも、地域でも、日本でも、世界でも、さまざまな出来事が起こっていて、時には失望することもあるけれど、その中でもよりよい今、よりよい未来をつくろうと、懸命になっている人たちも。

ライターとして取材する日々の中で、「わぁ、こんなところで!」「こんな思いを持っている人たちが!」と、心動かされることが多いです。そんな一人ひとりと出会うと、勇気と元気をもらいます。同時に、自分には何ができるかと、いつも考えます。そんな一人ひとりから受け取ったメッセージを、多くの人に届けられたら・・・と思うから。

9通目から約12年が経ちますが、それは変わらず。だから、人と接することやその場での即興的なコミュニケーションが苦手で、滝のような汗をかいてしまうくらい、頑張らないとできなくても、ライターという仕事を続けているのだと思いました。

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こんにちは。お元気ですか?
私は元気です。

私は大学生の頃、社会学を学んでいました。
社会学とは、1人の行動の原因を、その個人からではなく、
社会全体の視点から追究する学問です。
そこで、印象に残っていることがあります。

社会を1つの有機体とみなして、
個々の器官にそれぞれの役割があるように、
個々の風習や制度場のになう役割(機能)に注目する立場である。
禁忌や冗談関係といった一見すると奇異なあり方も、
その社会全体にとってはなんらかの実用的・象徴的な意味があり、
巨視的に社会的な不安・葛藤の解消とか社会的統合の機能などを考えれば、
それはただの風変わりな奇習ではない
(山下晋司・船曳建夫編『文化人類学キーワード』より抜粋)

つまりは・・・こういうことかもしれないと思ったのです。

社会を1つの有機体とみなす。
個々がいろんな役割を担って、それぞれが補うようにして成立している。
ひとりの人にできることは限られている。

だから、その一人ひとりが、
それぞれの分野において、それぞれの活動をする。
ひとりの人がすべてを背負わなくても、
ある人が担えなかったことを、誰かが担って・・・
それが連鎖して世界は成立する。

ライターとして、いろんな方々に取材させていただく中で、
そういうふうになっているなあと感じるのです。

いろイロな人と出会う、まいにちで。

まちのなかには、素晴らしい人たちがいます。
そんな人と出会うたびに、ココロが躍ります。

☆★☆

児童養護施設附設の子育て家庭サポートセンターへ行きました。
そこでは、子育て相談や地域の親子が集えるイベントなどを多彩に実施。
親のサポートをしながら、子どもとも顔見知りになることによって、
家庭でも、学校でもなく、頼れる大人がいる第3の場所となっていました。
そういう場所、そういう大人の存在って、大切ですよね。

☆★☆

あるまちのカフェでは、
持続可能な社会の実現に向けて、
わくわくすることを実験的にやっていらっしゃいます。
「あんなことしたら、いいんじゃないか」
「こんなことも、いいよね!」という
アイデアをみんなでわくわく広げて。
いろんな人たちが集うからこそ、
そのいろんな人の知恵や技術を使って、少しずつ、叶えていく。
お話を聞いていて、とても、わくわくしました!

☆★☆

今日は駐輪場のおっちゃんに取材。
放置自転車のこと、多発する自転車事故のことを憂いて、
自分のまわりから、できることを、コツコツと。
利用者さんとのコミュニケーションを大切にしていたり、
地域と連携して取り組んだり。
あんなおっちゃんが身近にいたら、心強いわー

☆★☆

2011年度の医療費総額は約37兆8,000億円。
医療費だけで、なんと税収の8割以上も占めるそう。
このままだと、今は湿布400円が、
いずれ5000円もかかるなんて事態も!
医療を受けたくても、
お金持ちしか受けられない時代になってしまうと。

そんな現実をぴしゃりと、でも愛あるメッセージで、
お年寄りの方々に伝えていらっしゃった体操の先生。
みなさんが健康でいることが、
ご自身のためであり、
まわりにいる人たちのためでもあり、
未来にもつながると。

個人のことはみんなにつながり、みんなのことは個人につながる。
だから、個人の生活を見直す、
そのささやかなことでも、全体につながっていくんだなあと。

☆★☆

経済成長していく中で、失われていく緑。
その緑を残すために、増やすためにと、
取り組んできた人たちがいて。
だからこそ、まちなかに、
緑が残っているのだなあと思いました。
そういう人たちがいるからこそ。

☆★☆

一昨年に出会った美容師さんを思い出します。
その美容師さんは、
美容室では、
たくさんの人をシャンプーして、その水を流す…
それによって水を汚していると意識していて、
なるべく汚さないためにはどうしたらいいか、
考えていらっしゃいました。

大切なのは、そういうことなのかなあと思います。
一人ひとりが、
自分がしている仕事について、そういう視点を持っていったら・・・
仕事に限らず、暮らしにおいても。
何気ない、日々の行為。その先を想像したら・・・
いろんな“わっか”が見えてきて。

目の前の相手にとっても、
みんなにとっても、地球にとっても、
自分にとっても、よりよい方へ。

☆★☆

百貨店で夜近くになっても、てんこ盛りになっている商品を見ると、
なんだかかなしくなるのです。
あれ、ぜんぶ、捨てちゃうんだろうなあと。
食品はもちろん、お弁当・お惣菜なんか、
包装込み(トレイなど)で捨てられちゃうわけです。
全国規模で考えたら、一体、一日どれくらいのごみになっているのかと。

そんな現実を受けて、
一つのアクションを起こしていらっしゃる方がいます。
毎日、たくさんの種類を作って、たくさん並べて、
たくさん捨てることに疑問を感じて、
食べる量に合わせて、
お弁当箱にお弁当を詰めるスタイルの弁当店をオープン。

そうやって、「おかしいなあ?」と思うことを見過ごさず、
自分なりのアクションを起こしていらっしゃるの、
素晴らしいなあと思います。

「わたしも、続かなくては!」と勇気をもらいますね。

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小森利絵(えんを描く/フリーライター)
「これでいいのかな」「大丈夫かな?」と不安いっぱいで、ドキドキしながら、書き綴っています。だから、リアクションやサポートをしていただけると、とても嬉しく! 舞い上がります。励みになります。