折井 陣

産むも辛し、産まぬも辛し、さりとていとおかし。 カクヨム:https://kakuyo…

折井 陣

産むも辛し、産まぬも辛し、さりとていとおかし。 カクヨム:https://kakuyomu.jp/users/yamadaMk2

最近の記事

キャラクターを動かすのが一番難しいと思うようになった話

どうも、わたくし折井陣と申す者。 最近は完全にNoteを創作におけるメモ帳として使用しているという現状を 一応ご報告させていただきます。 故にこの記事も表題の件で迷っているから執筆しているわけであります。 では本題へ行こう。 Q.キャラクターってどう作るの? A.よくわからん いやぁそりゃ見ましたよ。誰かを参考にするとか、自分の感情に理由をつけてあれこれするとか、それはもうたくさん。 ただね、前提として自分の産んだキャラクターにはキャラクターの域を出てほしいと思っ

    • 自叙誌#8

      知り合いに表現者がいる。名を仮にAとしよう。 そいつは自分の承認欲求の為、毎日表現と向き合い、血反吐を吐きながら努力している。 正直言って自分より圧倒的な存在。 彼は名も知れており、努力の量は私の10倍以上にも思えた。 だけどどこか脆く、そして危うく見える。彼は私以上に幸せだろうか。 自分の思いを素直に吐き出せない。 まさしくPOISONの「言いたいことも言えないこんな世の中じゃ」の フレーズと同じようなテーマ観を彼は抱えているように思えた。 分かっている。 世界が

      • ひとくち小説#6

        歴史の骸 今はもう見る影もない。誰かの紡いだ歴史を私は今更踏みしめる。 何かの意思に惑わされ争い合ったこと、誰かを想い、散った命。 不甲斐ない。 世界の行く末を見届ける。私にできることは他にない。 遠い遠い昔の話。かつて私が彼らと同じ種族だった時のこと。 代償として支払った記憶と存在の在処。今も私は探している。 「がっ…がはっ…!誰か…いるのか…?」 今まさにその命を終えんとする者が一人。 「聞き届けよう…」 「ははっ…背負う気かい?あんたが…?」 男は不敵に笑う。

        • 戦隊はぐれのピンクさん#1

          生きていると不思議な事があるもんだな。 泡銭で立ち上げたアイドル事務所。 個人的に初めての経験。 「お名前お伺いしてもよろしいでしょうか?」 「えっとー…あのー…」 「リーフィル・エグジュアリー・フィン・センチ・ラ・パオ…です」 「いや濃いわ!ピカソか!」 アイドル志望の女ってこんなヤツしかいないのか…? 「濃いというと…?」 「キャラがね!?」 「そんなことないですよ…♡」 「皮肉だよ!」 面接に来たこの女の恰好はおそらく普通ではない。 全身ピンクのヒーローコスチ

        キャラクターを動かすのが一番難しいと思うようになった話

          自叙誌#7

          気づけばあれから一か月が経ちました。 夢を追い始めたのはつい最近のことです。 小説と配信。この二つが今の私を作り上げています。 何度も言われました。どちらか一つに絞るべきだと。 だけど飽き性な自分にそれは難しかったんです。 同じ好きでも気分じゃないなんてことはざらで、そんな自分が嫌いだった。 好きなら貫けよって何度も何度も思いました。 でも性分ってものは変えられないから、だから私は今もその2つを追っています。 小説が書けないときは配信をして、配信がしんどい時は書の世

          ひとくち小説#5

          轟 会場は歓声で包まれる。 ある者は立ち上がり、全身を使って歓喜を表現し、またある者は涙をぬぐうのに必死でその場から動かない。 私は天才舞台女優だった。 整然とした病室で私はただ天井を眺める。 「気の毒よね…あんなことさえなければ…」 「本当残念よね…彼女の舞台楽しみにしてたのに…」 病室の扉は薄い。廊下の声は筒抜けだ。 「うぅ…ぐすっ…」 故に泣き声は容易にこだまする。 それに呼応するように廊下には足音が響く。 看護師二人はいたたまれずそそくさと立ち去ったようだ。

          ひとくち小説#5

          ひとくち小説#4

          私 「あみちゃん!今日はどんなお話する?」 「そうだな…死とは何か!死ぬのは簡単だが、それでも生きねばならない。それはなぜか!」 「ふふっ、難しい話が好きだね。あみちゃんは」 「そうでもないよ。人より多く物を考えているだけさ」 ふと、昔の自分を思い出す。 あの頃は哲学だとか、心理学だとかそういったものに憧れがあった。 当然、アニメや漫画の主人公にも憧れた。好きな台詞をバレないように引用したり、振る舞いや言動なんかも真似してた。 「新宿ー新宿ーお出口は左側です」 電車は

          ひとくち小説#4

          ひとくち小説#3

          星々 「ふぁあ…」 車窓からの眺め、走る列車。どれも普段通り。 ただ少し、車内が騒がしい。 私は乗客の応対のため席を立ち、1号車へと向かった。 「な、なんなんだアンタ達は!」 「こっちこそなんなんだよお前は!」 動揺。状況がのみ込めず騒ぎ立てていた様子の二人の乗客。 一人は重装に身を包んだ屈強な男。 もう一方は柄の入った薄布を身にまとうひょろひょろとした男。 「お二方、まずは矛を収めていただけますか?」 一転、二人の視線が私に移る。 重装の男が尋ねる。 「き、君は

          ひとくち小説#3

          ひとくち小説#2

          見えなくとも 「そういや、もう夏か」 (いやー暑くてやんなっちゃうねぇ) 「たっちゃん言うほど外出てないでしょ」 (出てるよ!それはもうたっくさん!) 木陰と日向。それはどちらに居ようと同じこと。 (覚えてる?私のこと。久しぶり過ぎて忘れちゃってない?) 「忘れるわけないよ」 君の笑顔は目をそむけたくなるほど眩くて、君の涙は透き通るように綺麗だった。 「お、ーーじゃん久しぶり!」 「お前は…」 高校の時の同級生。昔は一緒に馬鹿をやったそいつが、すっかり大人になって変

          ひとくち小説#2

          ひとくち小説

          ただそこにある景色 吹きすさぶ風、なびく髪。 その姿はとても孤独で、誰も理解の及ばぬ存在だと自然に思わせた。 校舎の傍らで蹲る小さな存在。誰もがそう思っていたあり方を彼女は覆した。 「あぁ!つらい!苦しい!だからこそ立ち上がらねばなりません!」 彼女は体躯に見合わぬほど大きな旗を大きく振りながら、そう宣言した。 彼女にカリスマが宿る。見る者を引き付ける演技。 そこにはまさしくジャンヌダルクが居た。 流れるように時が進む。気づけば彼女は血に塗れ、地に伏していた。 「私は、

          ひとくち小説

          誰がためにボスは行く第4話

          始まりの1 「アラター!行ってきまーす!」 「おう」 塾へ向かうリリをバス停まで送り届ける。リリと暮らし始めてから1週間がたった。目が覚めると既に日が沈んでいることや、日中の間ボーっとして、頭にもやがかかり続けるようなことはリリと暮らし始めてから一度とてない。どうやら、規則正しい生活というものは、守るべき何かさえあれば容易に成り立ってしまうらしい。 あれから俺たちはアパートを契約した。リリの生活費と俺が稼いだ金を元手にしたのだ。 リリがもらった今月の生活費は月10万円。俺の

          誰がためにボスは行く第4話

          書き出し 8/26

          給与明細とともに手渡された一つの封筒。 大きさはA3ほどの大きさで、手で持って帰るには少し煩わしい。 封を開け、中身を取り出す。 まず目に付いたものが黄色い封筒。そして健康診断の結果と思しきA3見開きの紙。 私はどうしてもその封筒が気になり、結果より先にその封筒を目にした。 途端に、不安、将来、嫌な予測、それらネガティブな思考が湧き上がる。 <大腸がん 精密検査依頼書> 私はどうやら異常らしい。 血便の症状が現れた2カ月前、肛門にカメラを入れた検査の結果は便を気張りすぎた

          書き出し 8/26

          トキシック女子 第2話

          第二話  梅雨が明け、季節は夏に差し掛かる。 私たち特別クラスは主に私の毒を洗浄する兼ね合いで、長期休暇の時期が大きくずれる。特にプールの清掃は大変だ。私が足をつければ、たちまちプールは汚染され、大規模洗浄が必要となる。 だから、プールは私達用と一般生徒用で分かれているし、プールの授業も洗浄のタイミングでずらさざるを得ないというわけだ。 はぁ…やだなぁプール。 去年のことを思い出す。窓から覗く、一般生徒達の好奇の目。 相次ぐクレームと誹謗中傷に怒る先生。 完全に隔離

          トキシック女子 第2話

          書き出し8/6

          最近少し夏の暑さが落ち着いてきた感じがしませんか? 昼休み。コーヒーとコンビニおにぎり2つを買い、ああでもないこうでもないと小説について考えながら真夏の空の下、一人会社の周りを練り歩く。 このルーティンが始まったきっかけは特になく、ただ散歩してるときの方がアイデアがたくさん湧いてくるというだけのことだ。 まあ、一人の時間が欲しいという単純な動機でもある。 誰がためにボスは行くという作品は自分が作家を志した始まりの物語だと思っている。大学生の時、通学途中の中でスマホをいじる

          書き出し8/6

          書き出し8/5

          暗がりで今日の振り返りと三題噺を考える。文章を書くことを習慣化しなければ小説を書けない私が心底嫌だ。 昔から何かしようとしてもそれ以上のやりたいことが邪魔をした。同じやりたいことではあるけれどそこには大きな差があって、いつしか等しくやりたいことがやりたくないものになっていく。 だけど今は少し小説を書くことが楽しくなってきています。もっとうまく文字に乗せたい。思い描く想像と言葉を紐づけたい。今はなんとなくそう思ってきています。 確かにあまり寝る時間はないけれど自分にとって

          書き出し8/5

          誰がためにボスは行く第3話

          夢々 「な、なんでいるんだお前!」 「へ?園を出てからずっと横にいたぞ?」 「う、嘘つけ!そこまで俺がボケてる訳ねえだろ!」 「嘘じゃないぞ!ずっといた!」 今日一日の労働で人としての尊厳というものが回復しつつあっただけに、この議論は引き下がるわけにはいかなかった。 「いーや居なかったね!あの婆さんがそれを許すわけがないからな!」 婆さんの話ではあそこは収容所。それならば、コイツが今していることは脱走に他ならない。 「ヴィリアには昨日卒業式してもらったんだ!んで今日はお別

          誰がためにボスは行く第3話