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『タローマンまつり』の謎、『展覧会 岡本太郎』の熱
展覧会 岡本太郎とタローマンまつりへ行ってきました。
週末に週末らしいことをするのは久しぶりで、前日は全然寝付けなかった。事前情報によると、開館前から行列ができているらしい。寝不足気味ながら朝一番で家を出て大阪中之島美術館へ向かった。
車を飛ばして1時間半、人があらゆる方向から中之島美術館へとやってくる。鈍く光りながら黒色が位置するさまは、さながら人々を引き寄る巨大磁石だった。
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巨大磁石の中は、交差する長いエスカレーターの線が架かっており機械的鳴動が感じられる。高い天井には人々の賑わいの声が響いていた。
まずは……と、モダンな建物を見回してタローマンまつりの展示スペースを探す。階下にはすでにそれらしき行列ができていて、老若男女あらゆる年代が並んでいる。
『タローマンまつり』へ
というか、そもそもタローマンとはなんぞや、という部分を説明したい。これが今回の『タローマンまつり』にとってのキモであり、ミソにもなってくる。
下記概要を参考とされたい。
岡本太郎が世に送った唯一無二の〈作品〉群、そして心を鼓舞する〈ことば〉たち。 両者ががっぷりと組み合い、超感覚的に岡本太郎の世界へと誘います。 10話それぞれのタイトルは「芸術は、爆発だ!」「真剣に、命がけで遊べ」など太郎のことば。それをテーマに「なんだ、これは!」という特撮映像が展開します。
主役は〈TAROMAN〉。正義の味方ではなく、シュールででたらめなやりとりで奇獣と戦います。対峙する奇獣たちは、〈疾走する眼〉〈駄々っ子〉など太郎の作品を造形化。
そう、つまりは、「ない特撮モノ」なのだ。
幻の特撮作品とは言い得て妙であるが、 なぜかこの奇怪な空気感漂う作品の会場には家族連れ、子供も多く、ここは円谷ジャングルかと錯覚しそうになる。
口々に「タローマン!」と、ない特撮ヒーローの名を呼ぶ 子供たちにとって、それが新しいとか古いとか、新しいけど古めかしいとか、古いのに新しいとか、そういう尺度は興味を持つという心の動きに対しては関係がないのだと気付かされた。
記念撮影スポットでは、お子さんを連れた監督の藤井亮氏をお見かけしたが、自意識が働いて「あ、タローマン監督だ」と思うことしかできなかった。
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監督は息子さんを抱きかかえ記念撮影をしていたが、 息子さんにはどのような説明をしているのだろうかと気になった。
「これはお父さんが手がけた、1970年頃に放映されていたとされる、岡本太郎の作品や言葉をモチーフにした嘘のヒーローなんだよ」 などと、まだ幼い子供に説こうものならタローマンと対峙してきた奇獣のごとく爆発してしまうだろう。
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会場には当時の資料から衣装、小道具、そしてサカナクション山口一郎氏の秘蔵コレクションが展示されていた。
「でたらめをやってごらん」
そう、岡本太郎も言っていた。
そんな風に、嘘に加担するという体験、だまされてもいいと思えるべらぼうな体験をできることこそがこの展示のもつ魔の魅力だったのである。
『展覧会 岡本太郎』へ
チケットカウンターでチケットを購入する。
エスカレーターで一気に4階へ昇り、入場していく。
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展覧会は先ほどまでのタローマンまつりとは、また違った賑わいがあった。順路に沿って列をなす大勢の人がまじまじと作品を見つめている。
岡本太郎を年代順に作品とあわせて追っていく展示形式が取られていた。
1925~35年頃は抽象的な作風の『コントルポアン』、一方でモチーフが具体的に描かれた『露店』や『痛ましき腕』が見られる。
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1940~50年頃は抽象的流線型デザインの確立。また、特徴的な人面が表れる。非常に安直な印象だが、ピカソのゲルニカを感じる部分もあった。
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1950~70年頃、流線が作品面積を広く占めていく。各地の祭り事を撮影した写真も見られ、それらをモチーフに組み込むなど文化の吸収も留まらない。さらに後年になると、作品に出現してきた眼は黒く大きくなっていった。晩年は公式に発表されていなかった作品の製作や、過去作を大幅な加筆していたりと、アップデートされていく価値観を感じられるものだった。
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メディア露出が増えた頃に手がけた作品は多岐にわたる。その印象的な色合いと、シュミラクラ現象のようになんでもかんでも顔に見えてきてしまって愛嬌を感じる作品群は今で言う「映え」の対象であったのかもしれない。
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生活と戦争と媒体、どの部分を切り取っても、岡本太郎という存在は今なお大きく黒い眼を見開いてこちらを見据えている。
「芸術は爆発だ」
そう、岡本太郎も言っていた。
今回の展覧会は映像と動画は撮影NGで、ほかは写真撮影OKだった。
私は一眼レフカメラを首から下げていて、撮影目的のために来たやつだと思われたらイヤだなと内心思いながら入ったが、それは普通に杞憂だった。
むしろ本当に一枚一枚を全部スマホに収めるだけの人なんかもいて、(私はその様子を見て、優秀な友達にノートを借りて全部写メってるやつを想起したが)写真を撮ってSNS用のネタを集める場という向きが強くなっているのを肌で感じた。
展覧会バブルの昨今、そこに是非を問う議論は無数にあるが、写真撮影NGで後ろで腕を組んで、じーーーっと見るという展覧会と、今回のような写真OKで同時開催でなんだか妙ちくりんなこともやってる展覧会では、後者の方が肯定的に見られる感じがする。
展覧会とSNSの間に、鑑賞する行為の中に、作家と作品に対するリスペクトがあるんかどうか。浅すぎる結論だけれど、そこがもっとも大切なところだと思う。
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余談:物販コーナーが一番ヤバかった
物販コーナーは2つあって、ひとつは中之島美術館に入ってすぐの売り場。そしてもう一つが今回、展覧会岡本太郎を開催していた4階の上の5階フロア。
一番の行列はより上の階層にあったのか……とレジに並ぶ長蛇を眺めて呆然としてしまった。岡本太郎&タローマンのダブルパンチ展開により、年初のバーゲンセールの様相。
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まぁ、もちろんしっかり買いましたけどね。
『タローマンまつり』
— nαgαki (@tree_113) August 21, 2022
当時(1970年頃)の資料や衣装、小道具はどれも非常によい状態で展示されており、まさにタローマンの軌跡と熱狂が現代に蘇ったといえる。山口一郎氏の貴重なコレクションの数々も必見である。 pic.twitter.com/7pE9BtAlFj
無論、展覧会『岡本太郎』も見てきました。
— nαgαki (@tree_113) August 21, 2022
黒い眼、男と女、大衆と悲壮、流線。ポップカルチャー的なる空気を纏いながらも激烈な情動を感じる、存在としての岡本太郎の変遷をたどる旅。#展覧会岡本太郎 pic.twitter.com/ySt4WO78PP
タローマンはYouTubeにて全10話が公開中。