取りあえず、1999年の木材保存の論文を、何度も読み返してきている。一度読み、二度読み程度では理解が深まらない。2007年から、迷ったら読み返すのだけれど。
読むのは、遅いほど直に伝わってくるような気がする。西田幾多郎も、読書はゆっくりすべし、と言っているが、故あってのことだと理解している。
また、エビデンス無きネットの情報で、動かされるのも困ってしまうから、余計、論理の運び・実際に自分自身のフィールドワークで確認できたことをふまえつつ、読み進めていた。
生材ほど、この拡散性保存剤の入りはいい。工程的に、乾燥したほど銅系保存剤の加圧注入が入りやすいので、その工程終了後に、含水率が高くなったあと、DOT(ホウ酸)処理と工夫。
拡散性のホウ酸の保存処理のメリットは、ホウ酸の人畜への有害性は低いことであり、銅系保存剤(固定・・一度入ったらその場所から移動しない・・)をこの拡散型保存剤で、木材の中心部をさらに保護
拡散型保存剤は、大量の水分で拡散して溶脱もありうるので、シリコンゴムで塗膜を形成させる。浸透系塗料もいいが、造膜形塗料(ペンキ)はさらに良い。が、塗装しない場合は、このシリコンがカギ
杉の平角にDOTを減圧注入している。(減圧注入は浸漬よりも、早く内部に入りやすくなるからだ)DOTの入りは、この赤い部分の呈色反応(クルクミン反応)でわかるし、この赤色の彩度で大体のDOTの濃度もざっとわかる。
角田邦夫氏は、後世に有用な研究を残され、鬼籍に入られたが、論文を何度も読み返していくと、その研究のすばらしさが、わかってくる。自分の教科書である。