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(腐朽の条件についての基本的な講義)

京都の文化財建造物の維持管理についての講演の中から、腐朽条件の基本を講義いただいた。

この論文も、木材耐久性の科学的根拠を、環境の違う国での実績に頼る危険性を始めに論述している。(ボンゴシ材を例にあげて)
腐朽のメカニズムを細部にわたってわかりやすく述べられているので、どう耐久性を強化したらよいのか、非常に参考になるのです。
木材の腐朽条件は、SESO【すぐでるように、S-水分、E-栄養(木材内部のセルロース、ヘミセルロースなどで抽出物質でないもの)、S-酸素、O-温度)】と、こじつけて覚えた。
この一個でも数値を小さくすれば、腐朽しにくい。

水分・・・経験上、想像上わかることで、砂漠に腐りやすい材木があっても、腐朽しにくい・・、室内で木材も腐らない(水回りは別だが)。
酸素・・・貯木場で水に漬けられた木材は製材前に腐朽しにくくするため、昔の筏流しもその原理。せいぜい、水中のバクテリアが木材に多少害を与える程度。
温度・・非常に低温なら腐朽菌もシロアリも活動しにくい
栄養・・木材中の腐朽菌の栄養となる部分を、なくす。
たとえば、イペのラバコールは、抗菌成分があるのだが。(切削での木粉は、湿疹を引き起こすこともあるくらい、強烈)
ウリン(ポリフェノールが抗菌成分となる。一度ポリエチレングリコール、で内部の抽出成分をだしたら、PEG(ポリエチレングリコール)が真っ赤に、これも抗菌成分)
木材の栄養分を、できるだけ抗菌化させることが重要。

いずれにしても、この一つを極限までコントロールできれば、腐朽は、ないのだが。それは実験場ではできるが、普通の環境では不可能なので、これらの対応措置をマトリックスにして、腐朽条件をつぶすという考えに至ったのです。


この清水寺の”板屋根”も、直接、梁、桁に雨水がかからず緩慢な腐朽にするため、斜度のついた板で保護。錦帯橋と同じような納まりです。
清水の舞台も、すごい斜度がついていて、水が滞留しない設計になってる。中世の寺社の外部廊下も勾配がついている。
ウッドデッキは水平が普通だから、これをどう対応するか?で長い年月をかけたのです。

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